あのばねは、トルクの問題を長さの問題に置き換えている

CPU クーラーを留めるねじにどうしてばねが付いているのか、という質問が出て、スレッドは良い答えを二つと、見事な傍注を一つ出しました。良い答えは、公差と熱膨張、そしてあのねじは止まるまで回す前提でできている、というものです。傍注のほうは返信で、ねじやボルトはもともとばねであって、ただ非常に硬いだけだ、場所さえあれば十分に長いねじとスペーサで欲しいばね定数は出せる、と述べていました。三つとも正しく、合わせると一つの意図的な取り替えを説明しています。

傍注のほうが正しく、しかもそれが全体のモデル

ボルトは弾性部材です。締めれば伸び、締結力はその伸びに剛性を掛けたものです。 そのあと継手がどう振る舞うかを決めるのはボルト単体ではなく、 ボルトの剛性と被締結部材の剛性の比で、それが the bolt is a spring(英語)です。

最初に出会う帰結は、硬いボルトと硬い継手の組み合わせが 長さのわずかな変化にとても弱いということです。 数ミクロンのへたり、熱膨張係数の違う二つの材料をまたぐ温度変化、 公差の積み上がりが悪いほうの端に出たとき。どれも小さな変位ですが、 硬い組み立てでは小さな変位が大きな荷重変化になります。 温度だけで何が起きるかは temperature moves preload(英語)にあります。

ボルト継手での通常の答えは、つかみ長さを増やすことです。 長いボルトは柔らかいばねで、同じ変位をより多くの材料に薄めるからで、それが screw length and grip(英語)です。 クーラーには足せる長さがありません。 積み上げは数ミリで、下のパッケージには収まっていなければならない荷重の窓があります。 そこで、その柔らかさを別部品として買うことになります。

底付きが実際に買っているもの

あのねじは止まるまで締める、と書いた返信は本当の機構を述べていて、 はっきり言い直す価値があります。ねじがいったん硬いストッパに当たれば、 それ以上のトルクはばねではなくストッパに入ります。 ばねは幾何が決めた一定の距離だけ縮められていて、 出す力はその距離にばね定数を掛けたものです。

ですから荷重は、誰がドライバーをどれだけ強く回したかの関数ではなくなり、 ねじ部の摩擦や、ねじに油が付いていたか湿っていたかの関数でもなくなります。 それらはまさにトルク値を当てにならなくする変数で、 トルク仕様がそれについて黙って置いている前提は a torque spec assumes a friction condition(英語)にあります。

荷重制御がトルクから変位へ移りました。 角度制御や降伏点制御と同じ系統の判断です。力の測定を回転の測定に置き換える。 違いは、ここではそれを幾何がやっていて、作業者は訓練を受けている必要すらないことです。

効いている条件は、その当たりが締付け経路のにあることです。 外へ動かすと、たとえば閉じた端のナットが長すぎるボルトに底付きするときのように、 同じ機構が逆の結果を出します。 レンチは同じように上がって鳴り、何も締め付けられていないのです。

不確かさは消えず、仕入先が変わる

ここが持ち帰る価値のある部分です。あのばねは無料の精度に読めてしまうからです。 違います。ばらつきは一つの場所から別の場所へ移っただけで、 移った先には価格表があります。

トルク制御は摩擦条件を連れて歩きます。VDI 2230 が 実際の継手で校正したトルク締付けに与えている値は ±17 から 23 %で、 よく聞く ±25 % が実際にはどこから来ているのかは how badly your tightening method controls preload(英語)で追ってあります。 どれも組立者の制御下になく、どれも後から見えません。

圧縮ばねが連れて歩くのは自分の製造公差で、 そしてその公差は規定され、等級で選べるものです。 EN 15800 は冷間成形圧縮ばねの品質要求を定め、 三つの品質等級を置いています。 許容差はコイル径、自由長、直角度と平行度、そしてここで効く 指定長さにおけるばね力を含みます。 等級 1 が最も狭い公差帯で価格が高く、等級 3 が最も広い。

この取り替えを一文で。 トルク制御の継手が引き受けるのは、誰にも見えず調整もできない物理過程の不確かさ。 変位制御の継手が引き受けるのは、公差が発注書の一行になっている部品の不確かさ。 どちらも無料ではありません。決められるのは片方だけです。

同じ考えのボルト継手版

クーラーのねじは目に見える例ですが、同じ取り替えは普通のボルト継手でも、 ずっと小さいストロークで使えます。皿ばね座金です。 DIN 6796 がボルト接合用のそれを扱っていて、 当サイトの座金のページでは形式表の一行になっています。 熱サイクルとなじみを通して軸力を保つ、つまり回転ではなく軸力の喪失に効く、と。 その表の残りと、各座金が実際に何をしているのかは washers explained(英語)にあります。

一般的な解として扱う前に知っておく価値のあることが二つあります。 どちらも規格の要約からのもので、こちらが読んだ条文ではありません。 引用された要求ではなく、確認すべき手がかりとして扱ってください。 静的荷重向けとされていること、 そして最大の力が 8.8 や 10.9 のボルトの締結力のかなりの割合に相当するよう 寸法が決められている、とされていること。 二つめは丁寧に読む必要があります。使用荷重でほぼ平らになっている ばね要素には残りのストロークがほとんどなく、 提供しているのはわずかな弾性の余裕であって、 クーラーのばねが与えるような柔らかさではありません。

その代償

  • 高さと部品点数。柔らかさはどこかに住まわせる必要があり、 クーラーではファスナーの積み上げの中でいちばん背が高い部分になります。
  • ばねはへたる部品です。 温度でも時間でも自分の振る舞いを持ち、いまや恒久的に荷重経路の中にいます。 樹脂を荷重経路に入れた場合はもっと露骨で、それは 絶縁ワッシャが変えるのは沿面距離で、空間距離ではありませんで扱っています。
  • 検証の方法が変わります。 トルクレンチで荷重を確認することはもうできません。 底付き後のトルクが語るのはストッパのことだからです。 残るのは寸法の確認か、指定したばねの等級への信頼です。
  • ストッパは本物のストッパでなければなりません。 ここまでの話は、ねじが制御された場所で硬い肩に当たることを前提にしています。 ねじ部で底付きしたり、降伏する面に当たったりすれば、 荷重を決めていた幾何のほうが動いてしまいます。

この手を使う場面

  • 下の部品に必要なのが下限ではなく荷重の窓であるとき。 小さすぎれば密着せず、大きすぎれば壊れます。 窓の中に着地する手段として、トルク制御はもともと向いていません。
  • つかみ長さが短すぎて、役に立つばねになれないとき。 数ミリの積み上げでは温度変化を薄められません。 柔らかい要素を足すのが、手に入る唯一の柔らかさです。
  • 実際に組む人が、仕様を書くときに想定した人ではないとき。 止まるねじは、急いでいる手でも設計荷重を越えて締められません。
  • 摩擦で横荷重を伝える継手には使わないこと。 そこで欲しいのは部品が許すかぎり高い軸力であって、 制御された、しかも意図的に控えめな軸力ではありません。

この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。

よくある質問

ヒートシンクのねじにばねが付いているのはなぜですか。

下のパッケージを荷重の窓の中に保つ必要があるのに、積み上げが短すぎてねじ自身が役に立つばねになれないからです。柔らかい要素を直列に入れると、へたり、熱膨張、公差で組立ての長さが少し変わっても荷重はあまり変わりません。そのうえでねじは底付きするように設計され、荷重は誰がどれだけ強く回したかではなく、ばねがどれだけ縮んだかで決まります。

ばねはトルクレンチより正確ですか。

無料の精度ではなく、不確かさの出どころが変わっただけです。トルク制御はねじ部と座面の摩擦条件を連れて歩き、それは後から見ることも調整することもできません。VDI 2230 は実際の継手で校正したトルク締付けを ±17 から 23 % に置いています。ばねは自分の製造公差を連れて歩き、EN 15800 は三つの品質等級のもとで「指定長さにおけるばね力」の許容差を定めることで、それを等級で選べる量にしています。不確かさは引き受けるものから買うものになります。

同じ効果を長いねじで出せばよいのでは。

出せますし、元スレッドの返信がまさにそう述べています。ボルトはもともとばねで、ただ非常に硬いだけ、十分に長いねじとスペーサなら欲しいばね定数が出せる、と。障害は実装です。クーラーの積み上げは数ミリで、余分な長さを置く場所がありません。場所がある場合は、つかみ長さを増やすのが通常の答えであり、部品を足すのではなく減らすぶん、そちらのほうが良い答えです。

普通のボルトで皿ばね座金に同じ仕事をさせられますか。

同じ考えで、ストロークがはるかに小さい版です。介入としても小さい。DIN 6796 がボルト接合用の皿ばね座金を扱っていて、静的荷重向けであること、最大の力が 8.8 や 10.9 のボルトの締結力のかなりの割合に相当するよう寸法が決められていることがよく言われます。これらの条文はこちらで読んでいないので、確認すべき手がかりとして扱ってください。実務上の読み方としては、使用荷重でほぼ平らになる座金には残りのストロークがほとんどなく、与えているのはなじみに対する弾性の余裕であって、クーラーのばねが与える長さへの許容ではありません。

この種の継手はどう検査しますか。

トルクレンチでは検査できません。ねじがストッパに当たってしまえば、読めるトルクはストッパについてのもので、ばねの中の荷重についてではありません。残るのは寸法の確認、つまりねじが本当に肩まで届いているか、ばねが意図した高さまで縮んでいるかを見ることか、指定したばねの等級を信頼することです。これがこの取り替えの隠れた代償です。荷重は再現しやすくなり、同時にラインで確認しにくくなりました。

参考資料

本ページの出典の水準はそろっていないので、どれがどれかを述べておきます。剛性比のモデルと締付け係数の数値は上記のリンク先である当サイトのページから取っており、そこで VDI 2230 と NASA RP-1228 に対して確認済みです。EN 15800 の内容、つまり三つの品質等級を定めていること、許容差に指定長さにおけるばね力が含まれることは、規格の要約とカタログの記載からのもので、こちらが読んだ条文ではありません。そこでは等級は定性的にしか説明されておらず、数値が得られなかったため本稿では百分率を挙げていません。DIN 6796 の静的荷重とボルト締結力に対する最大力の記述も同じ要約水準で、本文でも手がかりとして明示しています。プロセッサパッケージの荷重値は本ページのどこにもありません。引用できる公開仕様が見つからなかったためです。EN 15800 は ISO ではなく CEN の規格なので、iso.org ではなくカタログの掲載ページにリンクしています。当サイトはこれまで引用したことがなく、写せる既存の番号もありませんでした。内部リンクの多くはまだ英語版のみです。

お問い合わせ

継手に必要なのが、部品が許す最大の軸力ではなく制御された荷重であるなら、 その窓と使える空間をお知らせください。 この判断の向きはねじを変えますし、たいていはねじ部のどの条件よりも先に変えます。

sales@tigerfasteners.com