NASA の締結部品受入れ規格は、最も重要なレベル I に受入れ時の引張試験を必須としていない:抜取り引張が必須なのは供給元か追跡記録に欠けのあるレベル II で、#10 より小さいか短すぎるねじはこの試験ができない場合がある

締結部品の受入検査には、抜取りの引張試験が含まれることがあります。ロットから何本か抜き取り、引張試験機にかけて破断させ、強度が規格に届いているかを見るものです。直感的には、重要な部品ほどそうすべきに思えます。ところが NASA の締結部品受入れ規格 NASA-STD-8739.14 は、この順序を少し違うかたちで組んでいます。レベル I(故障すると壊滅的ハザードを招く締結部品などを含む)について、受入れ時の引張試験は表で Optional(任意)とされています。この規格が抜取りでの引張試験を必須とするのは、サプライヤーが未認定か、トレーサビリティ書類が不完全なレベル II のねじ付き締結部品です。表の下にはもう一つ注記があり、#10 より小さいか直径の 2 倍より短い締結部品は、この試験要求を満たせない場合があるとしています。この記事では、この 16 ページの規格の全文を、置き換えられた前身の NASA-STD-6008 と照らし合わせながら、小ねじを買う側の立場で読みます。三つのレベルの分け方、引張試験は誰に残されたのか、小ねじの注記が問題をどこへ押し戻すのか、サンプル数と不良ゼロの判定、「認定サプライヤー」と「完全なトレーサビリティ」が書類で何を求めるのか、6008 から 8739.14 で何が変わったのか、最後にこのページで言えないこと、の順に見ていきます。読了まで約 11 分です。

二つの鋼製つかみ具を長いボルトが渡り、両端を頭とナットで固定している。横には赤で示した小さな短い小ねじが置かれ、二つのつかみ具に届く長さがない(模式図)。

三つのレベルは故障が招くハザードで決まり、ねじの大きさでは決まらない

まず、この規格が何を扱うかです。NASA-STD-8739.14 は 2020 年 6 月 2 日に承認され、題名は NASA のミッション・ハードウェア用締結部品の調達、受入検査、保管の実務です。2008 年のベースライン版を基にした NASA-STD-6008 を置き換えました。 1.1.1 項で自ら線を引いており、扱うのはサプライチェーンのリスク管理、調達、受入検査、試験、トレーサビリティ管理、保管で、設計と設計解析の要求は含まず、それらは別の NASA-STD-5020 にあるとしています。4.3 項では締結部品を偽造品対策の管理計画に含めることも求めています。 締結部品の範囲も一般的な印象より広く、1.1.2 項は部品や構造要素を結合・保持するすべての金属製締結部品を指し、ボルト、ねじ、ナット、ナットプレート、ねじインサート、リベット、せん断ピン、止めねじ、ワッシャー、セーフティワイヤー、割りピンなどを含むとしています。

この規格はすべてのサプライヤーに自動的に適用されるわけではありません。前書きには、上位の要求文書(NASA センターの品質マネジメントシステム文書など)、計画の安全・ミッション保証計画、あるいは発注書や契約で「invoke」されたときに適用されると書かれています。1.2 項には NASA 内部での適用についての規定もあり、1.3.1 項は要求を内部組織と外部サプライヤーへ、さらに下位のサプライヤーへ流すことを計画側に求めています。 1.2.4 項は流せない場合も認めています。ミッション・クリティカルな用途の締結部品で、要求をサプライヤーに流せない場合、たとえば市販品(COTS)の中にメーカーが組み込んだ締結部品や、米国連邦調達規則の対象外である国際パートナーのサプライヤーでは、計画側が別の方法で締結部品の品質を確立する必要があります。

レベル分けの根拠は 4.2.2 項です。レベル I は、故障が壊滅的ハザード(catastrophic hazard)を招く締結部品、または破壊管理規格 NASA-STD-5019 で破壊クリティカル(Fracture Critical)か非破壊クリティカルの低リスク(NFC-Low Risk)に分類されるものです。 レベル II は重大ハザード(critical hazard)を招くもの、またはフェールセーフ(NFC-Fail Safe)に分類されるもの。レベル III はそのどちらも招かないもの、または封じ込め(Contained)、低放出質量(Low Released Mass)に分類されるものです。 二つのハザードの定義は 3.2 項にあり、壊滅的とは死亡、または宇宙機、打上げ機、地上施設の喪失を招き得るもの、重大とは重傷や職業病、または施設、システム、飛行ハードウェアへの大きな損害を招き得るものです。

言い換えると、M3 のような寸法の規格だけではレベルは決まりません。同じ M3 ねじでも、その故障が重大または壊滅的なハザードを招かないと評価されるか、所定の 5019 分類に当てはまるならレベル III になり得ます。締めている構造が外れると壊滅的ハザードを招く場合や、レベル I の分類に当てはまる場合はレベル I です。 この点は後で効いてきます。表 1 の管理項目と抜取りの列は、主にこのレベルと、次の節の二つの条件で決まるからです。

引張試験は誰に残されたのか:供給元か追跡記録に欠けのあるレベル II

レベルに加えて、規格はさらに二つの条件を見ます。サプライヤーが認定されているか(qualified)、トレーサビリティが完全か(complete traceability)です。ここでいう認定サプライヤーとは、NASA から個別に認定を受けた者ではなく、4.4.1.2 項の条件を満たすサプライヤーのことです。レベル I では両方が必須で、4.4.1.1 項はレベル I を認定サプライヤーから買うこと、4.4.2.1 項はレベル I に完全なトレーサビリティを求めています。 レベル II と III は未認定のサプライヤーから買ってよく、トレーサビリティが不完全でも受け入れられます。そのため表 1 ではレベル II が四つの列に分かれ、調達元とトレーサビリティの条件によって、必須の試験項目と抜取りの列が変わります。

NASA-STD-8739.14 表 1 のレベル II の四列(A、B、C は表 2 のサンプル数の列。同じロットの大きさでは A は B 以上、B は C 以上)
レベル II の調達条件寸法検査表面処理の目視化学分析引張試験
認定サプライヤー、完全なトレーサビリティSystem 21、CC任意任意
認定サプライヤー、トレーサビリティ不完全System 21、BBCC
未認定サプライヤー、完全なトレーサビリティSystem 21、BBBB
未認定サプライヤー、トレーサビリティ不完全System 21、AAA、定量法が必須A

表 1 の注は三つの範囲を補っています。寸法検査はねじ付き締結部品だけに適用されること、System 21 は ASME B1.3-2007 に従い同じサンプル数で System 22 に代えてよいこと、引張試験はねじ付きのボルト、ねじ、ナット、ナットプレートだけに適用されることです。

ほかの二つのレベルと比べます。レベル I は、寸法を ASME B1.3 の System 22 で全数検査し、表面処理の目視は B で抜き取り、化学分析と引張試験はどちらも任意です。レベル III は、寸法を System 21 で B、表面処理を B で抜き取り、化学分析と引張試験は任意で、製造者試験報告書(MTR)も任意です。 どのレベルでも、サプライヤーの適合証明書(CoC)が必要で、1 倍(拡大なし)の全数目視による均一性の確認も必要です。外観がそろっていて、さび、スケール、シーム、破裂、空洞、打痕、えぐれ、ばりがないことを確かめます。

最も重要なレベルがなぜ受入れで引張を必須としないのか。規格が答えを書いているのは化学分析についてだけです。4.5.7 項の注記は、レベル I はすでに認定サプライヤーと完全なトレーサビリティを求めているので追加の化学分析は不要だとし、化学分析の目的は、未認定サプライヤーから買うときにロットと書類の健全性を確かめること、またはトレーサビリティ書類が不完全なときに材料を確認することだとしています。 引張試験については同じ文はありません。当サイトは化学分析の注記と同じ論理から、サプライヤーの資格と完全なトレーサビリティが、引張を任意とした考慮の一つかもしれないと推論します。レベル I でも全数の寸法検査や目視など、ほかの受入検査は必要です。これは推論で、規格の原文ではありません。

細かい点を二つ記しておきます。4.5.2 項の注記によると、受入れの検査と試験はメーカー自身の検査とは別に行うもので、目的はそのロットの品質と納入書類の健全性を確かめることです。4.5.1 項は、検査を行う組織の品質システムが、適切な ISO または同等の規格(ISO 17025:2017、ISO 9001:2015、AS9100D など)に適合または登録されていることを求めています。 引張試験は NASM1312-8(Rev 2)、NAM1312-108(Rev 1)、ASTM F606/F606M-16 のいずれかで行い、報告書には破断位置、最大荷重または強度、規格の上下限を書きます。荷重–伸び曲線は不要です。

#10 より小さい、直径の 2 倍より短い:その注記は問題を調達へ押し戻す

前の節の表で、引張試験が必須なのはレベル II の三つの欠けの場合だけでした。小ねじにとって本題はここからです。4.5.8 項は引張試験の要求の後に説明を付けています。 #10 より小さいか直径の 2 倍より短いレベル II の締結部品は、受入れ時に引張試験ができない場合があるため、認定サプライヤーから完全なトレーサビリティ付きで購入する必要があるかもしれない、という内容です。表 1 の注 5 も同じ寸法条件について、この要求を満たせない場合があるとしています。調達についての示唆は 4.5.8 項の注記にだけ書かれています。

#10 はインチ系小ねじの番手で、呼び径は 0.190 インチです(この値は二つの NASA 規格には載っておらず、当サイトの〈これはメートルかインチか〉に記載)。当サイトの換算で約 4.83 mm です。呼び径で比べると、メートルの M3、M4 はどちらも #10 より小さくなります。 「直径の 2 倍より短い」も仮の例を挙げます。呼び径 3 mm、長さ 5 mm のレベル II のねじは、直径の 2 倍が 6 mm なので、「直径の 2 倍より短い」という条件に当てはまります。実際に試験できるかどうかは、適用する試験方法で確かめる必要があります。規格はこうした寸法がなぜ受入れの引張試験に向かない場合があるのかを説明しておらず、このページでも理由は補いません。

この注記の言葉は「may」で、できない場合がある、必要かもしれない、という書き方です。未認定サプライヤーから小ねじを買うことを禁じてはおらず、この条項は硬さなど別の試験で受入れの引張試験を代替する規定も挙げていません。注記がしているのは、受入れ側で解決できないかもしれない問題を調達側へ戻すことです。 レベル II のねじが小さくて引張試験ができない場合、規格は、調達の段階で認定サプライヤーと完全なトレーサビリティを確保する必要があるかもしれないと注記しています。これは前の節で見たレベル I の要求と同じ方向です。

前身の 6008 はこの問題に別の道を用意していました。4.11.4.3 項は、フェールセーフ級の締結部品に限り、短すぎて引張試験ができないときは硬さ試験に代えてよいとしていました。ただし硬さと引張データの相関を考慮し、さらに組織評価を行って、そのロットが該当する調達仕様を満たすことを示す必要があります。評価の内容は、粗大な欠陥や異常、鍛造および/または転造などの加工による鍛流線、結晶粒度です。 4.11.4.1 項は、#8 以下の締結部品ではロックウェル硬さの代わりにスーパーフィシャル硬さ(superficial hardness)や微小硬さを使ってよく、軸部またはねじ部の断面で測るとしていました。8739.14 の全文には「hardness」という語が一度も出てこず、6008 のこの硬さによる代替規定は収録されていません。理由は規格に書かれておらず、このページでも推定しません。

サンプルはロットに比例せず、1 本でも不良なら受け入れない

では抜取りが必要なとき、何本取るのか。表 2 はロットの大きさを 15 区分に分け、A、B、C の三列でサンプル数を示し、合否判定はどの欄も「0 failures」です。4.5.3 項も検査と試験のロット合否判定基準を不良ゼロとしています。サンプル数はすぐ上限に達します。

NASA-STD-8739.14 表 2 の抜粋(合否判定はすべて不良 0)
ロットの大きさABC
1–2211
281–5001193
501–1,20015113
3,201–10,00022154
10,001–35,00029154
500,001 以上29157

A 列は 10,001 本で 29 に止まり、B 列は 3,201 本で 15 に止まり、C 列は最大 7 です。仮のロットで当サイトが試算すると、1,000 本のロットで A 列の 15 本を取れば 1.5%、20,000 本のロットで 29 本なら 0.145% です。 サンプル数はロットに比例して増えません。同じ区分の中ではロットが大きいほど抜き取る割合は小さくなりますが、区分をまたぐと上がることもあります(当サイトの試算:15 本から 3 本なら 20%、16 本から 4 本なら 25%)。ISO 3269 の場合は〈なぜ 5 個で 50 万個のロットを判定できるのか〉で扱ったので、ここでは繰り返しません。

こうした少ないサンプルと不良ゼロの表で何が見つかるのか。8739.14 は書いていませんが、前身ははっきり書いていました。6008 の 4.11.2 項は、これらの抜取り計画はサプライヤーの品質システムが正しく有効で、生産が工学的・統計的管理下にあることを前提とし、 材料の取り違え(an incorrect material)のようなロット全体に及ぶ明らかな逸脱を捕まえるためのもので、微妙な問題や、ロットのかなりの割合に及ぶ問題でさえ日常的には見つけられないとしています。 8739.14 は A、B、C の三組のサンプル数に改め、A 列と B 列の上限は 6008 の 7 本、9 本より大きくなりましたが、どの場合でも多く取るわけではありません。20,000 本のロットで C 列を使えば 4 本です。表の下には、サンプル数と合否判定は ASTM F1470-19 を満たすか上回るよう設計したと注記されています。その ASTM 規格の原文は当サイトでは読んでいません。 6008 のこの説明が新しい表にも当てはまるかについて 8739.14 は何も述べておらず、このページでは前身の規格が自らの抜取り表について書いた説明として扱います。

不良ゼロの意味も正確に読む必要があります。これはそのロットを受け入れるかどうかの判定規則で、サンプルに 1 本でも不良があれば、そのロットは規格に従って受け入れられません。抜取りの判定としては、サンプルが全部通っても、ロットのすべてに不良がないことを 1 本ずつ証明したことにはなりません。 「合格」が何を証明するかは〈「検査合格」は結局どういう意味なのか〉を参照してください。

「認定サプライヤー」と「完全なトレーサビリティ」は書類で何を求めるのか

話の筋に戻ります。受入れで引張試験ができないかもしれないレベル II の締結部品について、規格は調達の段階でサプライヤーの資格と完全なトレーサビリティを確認するよう示唆しています。レベル I はもともとこの二つを満たす必要があります。この二つは規格の中で具体的に定義されています。

認定サプライヤーについて、4.4.1.2 項は四つの条件を挙げ、一つ以上を満たせばよいとしています。一、メーカーは AS9100D または ISO 9001:2015、販売業者は AS9120B を満たし、第三者審査で認証されていること。二、上記のいずれかまたは AS9003A を満たすことを、第二者または第三者の監査結果で示すこと。 三、米国防兵站局(DLA)の認定サプライヤーリスト(QSL)に載っていること。四、ハードウェア開発者の品質システムが定める第二者監査で認定され、その有効期間が 3 年以内であること。資格の根拠となる客観的証拠はハードウェア開発者が保管します。

完全なトレーサビリティについて、4.4.2.4 項は二つの書類のつながりを同時に求めています。一つは素材メーカーから元の部品メーカーまでのすべての保管移転で、固有のロット番号/ヒート番号(lot/heat numbers)を含むもの。もう一つは元の部品メーカーから中間のメーカーや販売業者を経て、最終サプライヤーに至るすべての移転です。 どちらかが欠ければ不完全なトレーサビリティになります。規格はここに注記を付け、ボルトにはスペースが許す範囲で材料記号、メーカー記号、ロット番号が刻印されることが多く、トレーサビリティに役立つとしています。部品本体に完全な識別表示を入れる余地がない場合、トレーサビリティは頭部の刻印ではなく、完全な書類のつながりとロットの識別で保つことになります。

書類以外にも出荷に影響する定義が三つあります。一つ目はロットで、同じ構成、同じ材料の溶解ロット(mill heat)から、同じ時期に成形、加工、熱処理、表面処理され、同じ工程を使ったものです。二つ目は 4.4.2.2 項と 4.4.2.3 項で、均質なロットで購入し、ロットを混ぜてはいけないとしています。 3.2 項の定義では、混在とは二つ以上のロットを同じ収納箱やその他の容器に入れることで、その結果として品質データ、証明書類、記録へのトレーサビリティが失われる状態です。三つ目は書類そのもので、全ロットに、適用される技術仕様とサプライヤーを示した CoC が必要で、レベル I と II にはさらに MTR が必要です。MTR には通常、ロット番号、製造日、ロット数量、素材のヒート番号、化学成分、機械的性質、冶金試験結果が含まれます。 ミルシートの型式の読み方は〈ミルシートの読み方〉と〈3.1 と呼ばれる文書が二つある〉を参照してください。

入庫後について、4.6 項は損傷を防ぐ取扱い、包装、保管を求め、温度、湿度、汚染の環境管理を含むとしています。ロットの混在を防ぐこと、使用のために払い出すまで立入りを管理した区域に保管すること、書類を管理することも求めています。外装に品番、ロット番号、サプライヤー名を表示することも推奨しています。

6008 から 8739.14 へ:何が変わったか

違いのうち二つはすでに触れました。ここでは読み取れる変更を並べます。両方の原文に書かれている項目だけを挙げます。

NASA-STD-6008(2008 年ベースライン版、2020 年から新規設計に使用不可)と NASA-STD-8739.14(2020 年)の比較
項目60088739.14
分類の根拠破壊管理の分類と締結部品の種類ごとに要求を列挙(破壊クリティカル、低リスク、フェールセーフ、低放出質量、封じ込め)。割りピンなどの保持具は別に列挙三つの管理レベル。ハザードまたは NASA-STD-5019 の分類による
サプライヤー破壊クリティカルと低リスクの締結部品、およびそれと組み合わせるナットとインサートは、現地監査で承認された調達先から購入。規定で認められた既存の承認リストも利用可。最長 3 年で再監査四つの認定条件。第三者認証の ISO 9001:2015、AS9100D、AS9120B、DLA QSL を含む。レベル I は一つ以上を満たす必要があり、レベル II と III は未認定の調達先も可
最大サンプル数承認メーカー 7 本、非承認 9 本(1,201 本以上)A 列 29、B 列 15、C 列 7
短すぎて引張試験できない場合フェールセーフ級に限り、硬さ試験と組織評価で代替可。調達仕様を満たすことを示す必要あり硬さによる代替は収録されていない。レベル II の小さすぎる、短すぎる部品は認定サプライヤーと完全なトレーサビリティが必要かもしれないと注記
化学分析の方法定量でも半定量でも可、OES が推奨レベル II で未認定サプライヤーかつトレーサビリティ不完全の場合は定量法が必須。半定量の XRF、EDS はこの要求を満たす精度がない
表面処理の目視10 倍以上の拡大で抜取り該当する表面処理規格に従う(倍率、環境、判定は規格が定める)
材料の選定原則として MSFC-STD-3029 の表 IA–E から選び、ほかの金属材料は承認された材料使用合意書(MUA)が必要材料選定の要求は記載せず、設計と解析の要求は NASA-STD-5020 を参照

化学分析の行は、買う側にとって最も直接的な意味を持ちます。8739.14 は XRF と EDS を半定量法と位置づけ、合金の種類の確認には使えると認めつつ、「レベル II で未認定サプライヤーかつトレーサビリティ不完全」の場合には精度が要求に足りず、定量法を使う必要があるとし、推奨する方法として発光分光分析(OES)を挙げています。

表 1 を読むときに注意したい小さな点がもう一つあります。表 1 の注 3 は「化学分析は定量法で行うこと(Section 4.5.6.2)」と書いていますが、8739.14 の 4.5.6 項は全数の均一性目視検査で、4.5.6.2 はありません。定量法の要求は 4.5.7.2 項にあり、4.5.7.2 項自身も表 1 の注 3 を参照しています。 当サイトが読んだのは 2020 年 6 月 2 日のベースライン版(Change 0)で、このページでは定量法の要求を本文の 4.5.7.2 項に基づいて引用し、この相互参照の食い違いをここに記しておきます。

買う側が持ち帰れること

以下は当サイトの読み方で、NASA が特定のサプライヤーや買い手に求めていることではありません。この規格が適用されるかどうかは、前書き、1.2 項、関連する要求文書によって判断され、外部のサプライヤーについては、契約、協定、要求が実際に流された範囲によります。

  1. まずレベルを聞き、それから試験の話をする。同じねじでも三つのレベルで受入れでやることは大きく違います。レベルは設計側が故障の招くハザードまたは 5019 の分類に応じて決めるもので、見積りの段階で伝えておけば、サプライヤーはどの書類を用意すべきかがわかります。
  2. 小さな締結部品は、調達元、トレーサビリティ、試験ができるかを先に確かめる。#10 より小さいか直径の 2 倍より短いレベル II の締結部品について、規格は受入れで引張試験ができない場合があり、認定サプライヤーと完全なトレーサビリティが必要かもしれないと注記しています。当サイトは、必要な書類(CoC、MTR、各段階の保管移転)とその提供範囲を発注前に確認しておくことをお勧めします。
  3. 1 ロットは 1 ロット。規格のロットの定義は同じ材料の溶解ロット、同じ熱処理と表面処理にまで及び、ロットの混在は認められません。当サイトは、わかりやすい包装とロット識別でトレーサビリティを保つことをお勧めします。規格はそのうえで、外装に品番、ロット番号、サプライヤー名を表示することを推奨しています。
  4. 不良ゼロ、表 2 のサンプル数は最大 29 本。6008 は自らの抜取り計画について、材料の取り違えのようなロット全体に及ぶ逸脱を捕まえるためのもので、ロットのかなりの割合に及ぶ問題でさえ日常的には見つけられないと書いていました。これは前身の規格の説明で、8739.14 の新しい表の能力としてそのまま扱うことはできません。6008 はまた、ロットの品質を統計的に評価する必要があるなら、より大きなサンプル、より複雑な計画、継続的な統計的管理の評価を検討すべきだとしています。

このページで言えないこと

このページは NASA-STD-8739.14 のベースライン版(2020-06-02)と NASA-STD-6008 w/Change 2 の全文を読んでいます。ASTM F1470、ASME B1.3 の System 21 と 22、NASA-STD-5019 と 5020 の内容は原文を読んでおらず、8739.14 がそれらをどう引用しているかだけを書いています。 #10 未満がなぜ受入れの引張試験に向かない場合があるのか、なぜ硬さによる代替を収録しなかったのかを規格は説明しておらず、このページでも理由は推定しません。レベル I の引張がなぜ任意なのかについて、規格が理由を書いているのは化学分析だけで、引張についての部分は当サイトの推論です。 抜取り計画の能力についての説明は前身規格の文言で、8739.14 は繰り返していません。#10 の呼び径はインチ系ねじの一般的な値で、二つの規格から取ったものではありません。そのミリ換算、各ロットの抜取り割合、M3×5 の例は当サイトの換算または仮定で、実際の試験が必ずできないことを示すものではありません。 このページは特定のサプライヤーが認定条件を満たすかどうかを判断するものではなく、当サイトやいずれかのサプライヤーがこの規格に適合していることを示すものでもありません。

この記事は手順 6、書類を扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。

よくある質問

最も重要なレベル I の締結部品は、なぜ受入れで引張試験が必須ではないのですか?

NASA-STD-8739.14 の表 1 は、レベル I の受入れ時の引張試験と化学分析を任意としています。規格は、認定サプライヤーと完全なトレーサビリティがすでに求められていることを、追加の化学分析が不要な理由として明記していますが、引張試験には同じ理由を書いていません。当サイトは両者に近い考慮があるのかもしれないと推測するにとどめます。サプライヤー未認定かトレーサビリティ不完全のレベル II のねじ付きボルト、ねじ、ナット、ナットプレートは、表 1 に従って抜取りの引張試験が必要です。

レベル II の M3 ねじで受入れの引張試験ができない場合は、どうすればよいですか?

規格は 4.5.8 項の注記で、#10 より小さいか直径の 2 倍より短いレベル II の締結部品は受入れ時に引張試験ができない場合があり、そのため認定サプライヤーから完全なトレーサビリティ付きで購入する必要があるかもしれないとしています。#10 の呼び径 0.190 インチ(約 4.83 mm)は当サイトが補った換算で、この注記に書かれた数字ではありません。8739.14 は硬さによる代替を収録していません。前身の 6008 は、短すぎて引張試験ができないフェールセーフ級の締結部品について、硬さと引張の相関を考慮し組織評価を行う条件で、硬さ試験による代替を認めていました。

ねじメーカーが ISO 9001 を持っていれば、NASA の規格でいう認定サプライヤーになりますか?

メーカーが ISO 9001:2015 を満たし、第三者審査で認証されていれば、4.4.1.2 項の一つ目の条件を満たします。ほかの三つは、AS9100D、ISO 9001:2015、AS9120B、AS9003A のいずれかを満たすことを第二者または第三者の監査結果で示すこと、DLA の認定サプライヤーリストに載ること、ハードウェア開発者の品質システムが定める有効期間 3 年以内の第二者監査で認定されることです。資格の証拠はハードウェア開発者が保管し、実際の調達は適用される要求文書に従います。

20,000 本のロットでは何本抜き取りますか?

表 2 では、ロット 10,001~35,000 本は A 列 29 本、B 列 15 本、C 列 4 本です。検査項目ごとに表 1 で列を選ぶため、同じロットでも寸法、表面処理、化学分析、引張試験で列が異なることがあり、全数検査が求められる項目にはこの三つのサンプル数は使いません。合否判定は常に不良 0 です。当サイトの試算では、29 本は 20,000 本の約 0.145% です。

参考資料

本ページは NASA-STD-8739.14 の 2020-06-02 ベースライン版と NASA-STD-6008 w/Change 2 を照合し、表 1 の欄は 8739.14 の PDF 第 16 ページで確認しました。ASTM F1470、ASME B1.3、NASA-STD-5019、5020 の要求には立ち入っていません。#10 の呼び径とミリ換算は補足資料で、抜取り割合と M3×5 は当サイトの計算または仮定であり、実際の試験が必ずできないことを示すものではありません。8739.14 が理由を明記しているのはレベル I で追加の化学分析が不要な点だけで、引張試験についての理由は当サイトの推論です。「買う側が持ち帰れること」は当サイトの読み方で、NASA の原文の要求ではありません。

お問い合わせ

調達文書で受入検査やトレーサビリティの要求を引用している場合は、お見積りの際に締結部品の用途のレベル、必要な書類(適合証明書、試験報告書など)、ロット数量をあわせてお知らせください。その条件に合わせて、ご用意できる書類と選択肢をご案内します。レベルと試験要求は、設計と品質を担当する部門が該当する規格に基づいて決める必要があります。

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