A490 ボルトに亜鉛めっきができない理由:RCSC 規格の解説によれば、引張強さの上限 173 ksi は水素脆化が問題になる 200 ksi との間に余裕を残すためのもので、溶融亜鉛めっきの酸洗いで入りうる水素は、亜鉛層で鋼の中に閉じ込められる

鋼構造用の高力ボルトでは、A325 は亜鉛めっきができます。それなら一段強い A490 にも同じめっきをすればよい、と考えるのは自然です。米国の鋼構造ボルト規格はそう考えていません。研究評議会 RCSC の『高力ボルトを用いた構造接合部の規格』2020 年版は、A490 のクラス(規格では Group 150)について、溶融亜鉛めっきも機械的亜鉛めっきも認めないと書いています。解説はさらに溶射(metallizing)もこれに含めています。この記事が扱うのは、この禁止の裏にある一つの距離です。A490 の引張強さは 150〜173 ksi に挟まれていて、解説によれば、上の線は 200 ksi との間に余裕を残すために引かれています。200 ksi 以上の鋼は、水素が残り高い引張応力を受けると脆化のおそれがあるからです。順に、条文そのもの、解説がめっきに水素脆化の懸念を示す理由、規格が認める亜鉛アルミ系塗装と、それが約束していないこと、亜鉛めっきした A325 に課される「セットで買う」決まり、そして RCSC 2020 の時点でまだ研究中とされていた部分を読みます。読了まで約 10 分

ボルトのねじ部を縦に切った部分断面の模式図:灰色の斜線部が鋼、山頂・フランク・谷底に沿って連続する青灰色の帯が亜鉛層、鋼の中の赤い点は残留しうる水素を表し、亜鉛層や外側に赤い点はない(ねじ山の形とめっき厚さは実寸比ではなく、赤い点の大きさ・数・分布は概念で、顕微鏡像ではありません)。

同じ節の条文で、A325 と A490 は反対側に分けられている

RCSC 2020 年版は、まず構造用ボルトを引張強さで三つのグループに分けます(表 2.1)。Group 120 は ASTM F3125 の A325 とトルシア形の F1852、Group 144 はこの版で新たに取り入れられた ASTM F3148 Grade 144(固定スプライン端のセット)、Group 150 は F3125 の A490 とトルシア形の F2280 です。 第 2.8.1 節は続けて、Group 120 と Group 144 のボルト部品は溶融亜鉛めっきまたは機械的亜鉛めっきをしてよいと書きます。溶融めっきは ASTM F2329、機械的めっきは ASTM B695 の Class 55 に適合させ、一つのセットのねじ部品はすべて同じ工程でめっきします。 同じ節の最後の一文が、Group 150 のヘビーヘックス構造用ボルトと Group 150 のスプライン端(spline-end)セットには、溶融亜鉛めっきも機械的亜鉛めっきも認めない、というものです。

スプライン端のセットには別の一文もあります。トルシア形と固定スプライン端形のセットの機械的めっきは、製造者の指示のもとで、その製品自身の規格が認める場合に限られ、スプライン端のセットには溶融亜鉛めっきはできません。直接張力インジケータ(DTI)は、二つの亜鉛めっきのうち機械的めっきだけが認められています(第 2.8.3 節は熱拡散被膜も認めています)。 解説はもっと広く書いています。A325 は亜鉛めっきしてよいが、A490 に亜鉛をめっき、溶射、機械的めっきで付けることは認められない。脆化と遅れ割れへの影響が「まだ十分に調べられていない」からで、この禁止を撤回できるかについて研究が進行中だ、という内容です。 つまりこの解説は「研究がまだ十分でない」ことで禁止を説明しており、亜鉛めっきした A490 がすべて割れるとは書いていません。この点は最後の節でもう一度使います。

その距離:173 ksi と 200 ksi のあいだ

安全だと示されていないなら、懸念はどこから来るのでしょうか。解説は一連の数字を挙げています。引張強さ 200 ksi 以上の鋼は、鋼の中に水素が残り、高い引張応力を受けると脆化のおそれがあります。 A325 と F1852 の最低引張強さは 120 ksi(約 827 MPa、当サイト換算)、F3148 は 144 ksi(約 993 MPa)で、これらのクラスでは硬さの上限により、実際に生産される強度は臨界範囲よりずっと低くなります。 A490 と F2280 の最低値は 150 ksi(約 1,034 MPa)で、さらに 173 ksi(約 1,193 MPa)の上限が定められています(これらは ASTM F3125 の要求で、RCSC が説明しているものです)。解説によれば、目的は 200 ksi(約 1,379 MPa)の下に余裕を残すことで、A490 の硬さ上限 38 HRC も水素脆化に対する防護の一つです。

言い換えると、A490 の上限から 200 ksi までは 27 ksi しかなく、これは 200 ksi の約 13.5% です(当サイト換算)。解説は続けて重要な一文を加えています。製造者は生産の狙いを規定の最低値より少し高く置かざるをえないので、臨界範囲に近い A490 と F2280 があることを想定しなければならない。 仮の数字で見てみます。ある A490 のロットが、最低値より約 1 割高い 165 ksi を狙ったとすると、200 ksi までは 35 ksi しか残りません(仮定の例で、どのメーカーの実際の値でもありません)。 この段落が扱う工程由来の水素については、めっきしないボルトは懸念にならないと解説はしています。懸念はめっきにあります。溶融亜鉛めっきの工程の酸洗いで水素が鋼に入りうる。その後、亜鉛層が水素を「閉じ込める」ため、使用中の遅れ破壊が懸念されます。ある種の腐食性の強い環境では、腐食の過程そのものによって鋼が陰極水素を吸収する可能性もあります。

この二つの水素源は分けて考える必要があります。前者は工程で入りうるもの、後者は使用中に腐食によって入りうるもので、別々に評価します。電気めっき品の水素脆化とベーキングについては、錆びなかったが折れた:水素ぜい化と、あのベーキングで扱いました。 めっき業者が使っていたのは 1998 年版だったは、米国海洋エネルギー規制機関 BSEE のボルト破断報告を読んだもので、そのボルトは電気亜鉛めっきで溶融めっきではなく、材料も環境も違います。当サイトの読み方では、RCSC のこの数字は解説の懸念を理解する助けになります。A490 の強度帯は A325 より崖の縁に近く、酸洗いを前処理に使う亜鉛めっきは、水素を送り込むと同時にその出口をふさぎうる。ただし、強度の差から水素脆化の確率を直接計算することはできません。

表 2.6 は三つの亜鉛アルミ系塗装を挙げるが、規格はその防食性能を保証していない

亜鉛めっきができないなら、A490 には何を施せるのでしょうか。第 2.8.2 節に表があります。亜鉛アルミ系無機塗装(zinc aluminum inorganic coatings)は取り付け前に施工してよく、表 2.6 は三つの規格と等級を挙げています(この節は DTI を含みません)。ほかに、設計者(EOR)は、規格の版と版の間に ASTM がボルト部品やセット用に認めた別の塗装を承認できます。

ASTM 規格ボルトナット座金
F1136Grade 3Grade 5Grade 3
F2833Grade 1
F3019Grade 4

この表は解説と合わせて読む必要があります。第一に、表 2.6 の塗装は「選ばれた条件のもとで Group 150 ボルトの性能を劣化させないことが試験で示された」もので、この表に載っていることは「特定の防食性能を意味しない」とされています。表 2.6 の根拠は特定の試験条件でのボルトの性能で、防食寿命は示していません。 第二に、解説の引用によれば、Brahimi が 2006、2011、2014、2017 年に IFI-144 に従って行った研究は、その試験条件のもとで、関連規格どおりに施工した亜鉛アルミ系無機塗装が A490 に内部水素脆化による遅れ割れを起こさず、水素吸収による環境水素脆化を加速することもないことを示しました(当サイトはこれらの研究を別途読んでいません)。

塗膜が薄くても、第 2.8.2 節の本文は、Group 120 と Group 150 のボルトに表 2.6 の塗装をする場合、ナットを F3125 の表 A1.2 に従ってオーバータップするよう求めています(Group 144 は F3148 の表 1)。解説によると、この種の塗装は機械的めっきと同じく比較的均一な膜になります。トルシア形と固定形のセットの塗装は、製造者の指示のもとで、それぞれの規格に従ってのみ行えます。 見落とされやすい注記が二つあります。解説によると、この版の作成後に ASTM は F3393(締結部品用の亜鉛フレーク塗装システム)を制定し、F1136、F2833、F3019 の三つを統合・置換しました。三つが廃止された後に指定する際には追加の検討が必要です。 もう一つは、アルミを含む塗装のボルトをコンクリートに埋め込む場合は設計者が扱うべきだ、という注記です。湿った、あるいは硬化して間もない(材齢 7 日未満の)コンクリートのアルカリ性は遊離アルミと反応して水素ガスを発生させ、コンクリートに「虫食い穴」が残ることがあります。塗膜に結合したアルミが同じように反応するかは、RCSC 2020 の解説の時点では研究されていませんでした。

A325 はめっきできるが、めっきしたらセットで買う

めっきできる側に戻ります。A325 に亜鉛めっきが認められていても、めっき後がめっき前と同じというわけではありません。解説は一緒に考えるべき三つの要因を挙げています。めっき工程が機械的性質に与える影響、ナットのオーバータップがねじ山のせん断強さに与える影響、めっきと潤滑が締付けトルクに与える影響です。 見落とされやすいのは二つ目です。ねじ部のめっき厚を収めるため、ナットを大きくタップするのが慣例ですが、その分かみ合いが減り、ねじ山のせん断強さが下がります。解説は、ナットの規定保証荷重が、組み合わせるボルトの引張耐力に対応する荷重より高いことを求め、オーバータップ後も構造用ボルトの強度要求を満たせるのは硬化処理されたナットの等級だけなので、亜鉛めっきナットに適するのは ASTM A563 の DH、DH3 と A194 の 2H だけだとしています。本文の表 2.2 も、Type 1 のボルトに第 2.8 節のめっき・塗装をする場合、ナットは A563 DH(A194 2H で代替可)と定めています。 めっき後にタップする理由の ISO 側の規定は、溶融亜鉛めっきのナットは、亜鉛が載ったあとでねじを立てるで読みました。

三つ目には実験の裏付けがあります。Birkemoe と Herrschaft(1970)は、めっきしたままのボルトとナットでは摩擦が大きくなり、トルクで得られる張力のばらつきも大きくなることを示しました。ナットを潤滑すると、必要なトルクが下がり、結果もそろいます。このため F3125 は供給者に、出荷前に亜鉛めっきボルト、めっきして潤滑したナット、同じめっきの座金を鋼の継手に組んで回転能力(rocap)試験を行い、スナグタイトから導入に必要な回転量を十分に超えて回してもねじ山が壊れないことを示すよう求めています。試験の手順はFHWA の回転能力試験の記事で扱いました。 ここから解説は二つの結論を出します。亜鉛めっきの高力ボルトとナットは一つのセットとして扱わなければならないこと、供給者は潤滑済みで、そのボルトと一緒に試験したナットを供給しなければならないことです。亜鉛めっきボルトとナットを別々の供給者から買うことは、F3125 の趣旨に沿わないと解説ははっきり書いています。セット全体の性能に責任を持てる者がいなくなるからです。

同じ決まりにはさらに四つあります。溶融めっきと機械的めっきは効果が異なり、一つのロット内で工程を混ぜてはならず、混ぜると組み立てられないセットになりうること。潤滑剤の一部は水溶性なので、密閉した金属またはプラスチック容器で輸送・保管するのが望ましく、ワックス系潤滑剤の容器は、潤滑剤が失われたり性質が変わったりするほど加熱しないこと。 第 2.11.2 節により、亜鉛めっきや塗装をしたボルトはグループを問わず再使用できないこと(Group 150 のヘビーヘックス構造用ボルトはめっきしていなくても再使用できません)。第 8 節の解説は Munse(1967)の観察を引き、亜鉛めっき板と亜鉛めっきボルトではリラクセーションで張力が約 6.5% 失われ、めっきなしでは 2.5% で、いずれも最初の 5 日間に生じ、その後の損失は無視できたとしています。技術者が締め直しを求める場合は、契約図書に明記しなければなりません。この締め直しは、なじみの後に継手を規定張力まで戻すことで、いったん導入して緩めたボルトの再使用を認めるものではありません。第 2.11.3 節は、隣のボルトの締付けで緩んだボルトを締め直すこと(タッチアップ)は再使用とみなさない、とも定めています。

ふたを開けた灰色のプラスチック容器に、銀灰色のボルト、座金、ナットの組が 4 組並び、ねじ端がナットから突き出ている。立てたふたの内縁には赤い密閉ガスケットが一周している。
セットと密閉保管の模式図:同じロットのボルト、座金、ナットを組にして、ガスケット付きの容器に入れた様子。ふたを開けているのは中身を見せるためで、輸送・保管の際は閉じておきます。ナットが潤滑されているか、回転能力試験を済ませたかは図からはわかりません。部品の比率と包装の形は模式的なもので、座金を一緒に入れるのは当サイトの提案で、規格の要求ではありません。

RCSC 2020 の時点で研究中とされていた部分

最初の節に残した「まだ十分に調べられていない」は、2020 年版でも解説の言葉のままです。禁止を撤回できるか、研究が進行中だとしています。業界でこれに取り組んでいる人はいます。米国亜鉛めっき協会(AGA)のナレッジベースにある 2013 年 9 月 10 日の記事(筆者 Tom Langill)は、筆者が同年 4 月の『Fastener Technology International』に発表した研究を紹介しています。IFI 144 に従い、脱脂は残し、その後の酸洗いをブラストやホイール投射などの機械的な表面清浄に置き換える変更工程で亜鉛めっきした供試 A490 が、ASTM F606 と F1624 の水素脆化試験に合格し、めっきも ASTM A153 を満たした、という内容です。 同じ記事は当時、これは標準の手順ではなく、この工程が ASTM に適合しないことを顧客に伝える必要があるとし、顧客から書面の承認を得るよう勧めています。顧客の承認で ASTM や RCSC に適合するようになるわけではありません。

したがって、わかっていることは次のとおりです。RCSC 2020 年版は A490 の溶融・機械的亜鉛めっきを認めていない。表 2.6 は認められた亜鉛アルミ系塗装を挙げ(条件を満たす別の塗装の承認の道もある)、防食の約束はない。機械的前処理で亜鉛めっきした A490 について、AGA の 2013 年の記事が肯定的な結果を一つ報じている(当サイトは研究の全文を別途読んでいない)。 推論としては、禁止が残っている限り、溶融または機械的亜鉛めっきをした A490 は RCSC 規格のもとでは不適合品で、試験に通ったかどうかはそれを変えません。判断できないこととして、この記事が依拠したのは 2020 年 6 月版の RCSC で、その後 ASTM F3125 や RCSC が緩和したかどうかはこの記事の範囲外のため判断しません。 規格はもう一つの方向にも触れています。表 2.1 の解説には、Type 3 のボルトは大気腐食への抵抗性と耐候性が高いとあります。Type 3 は材料の種類でめっきではなく、使えるかどうかは設計者が環境に応じて評価します。

私たちなら、発注前にこれを確認します

冒頭の考えに戻ります。A325 にめっきできるなら、A490 にも同じめっきをすればよい。第 2.8 節を読んだ後の答えは、A490 の強度帯は 200 ksi までわずかしかなく、解説は酸洗いを前処理に使う亜鉛めっきが水素を入れ、鋼の中にとどめうることを懸念し、影響の研究もまだ十分でないので、RCSC 2020 は認めていない、です。もし私たちが「A490、溶融亜鉛めっき」と書かれた図面を受け取ったら、すぐに見積もるのではなく、まず次の点を確認します。

  • この継手に必要なのは Group 150 の強度か、防食か。両方が必要なら、規格に見える方向は表 2.6 の亜鉛アルミ系塗装、規格の版と版の間に ASTM がボルト部品用に認め、設計者が承認した別の塗装、または環境に応じて評価した Type 3 です。亜鉛めっきした A325 に変えられるかは設計者(EOR)の判断で、供給者の判断ではありません
  • 亜鉛アルミ系塗装を選ぶなら、図面に規格と等級まで書く(例:F1136 のボルト Grade 3、ナット Grade 5、座金 Grade 3)。ナットは F3125 に従ってオーバータップします。防食年数は別に取り決めます。表 2.6 はそれを約束していないからです
  • 亜鉛めっきした A325 なら、ボルトとナットを同じ供給者から買い(当サイトとしては座金も一緒に)、回転能力試験の報告書を付けてもらう。第 2.9 節も、各部品の試験報告書を構造鋼の組立て・建方の前に設計者と検査者が確認できるようにすることを求めています
  • 受け取ったら密閉容器で保管し、めっき・塗装したボルトは再使用しない

数字の出典:グループ分けは表 2.1、強度、38 HRC、200 ksi と水素の懸念は第 2.8.1 節の解説、めっき・塗装の可否、表 2.6、ナットのオーバータップは第 2.8.1 節と第 2.8.2 節の本文、研究と限界はその解説、試験報告書、保管、再使用は第 2.9〜2.11 節の本文、Munse のリラクセーション値は第 8 節の解説によります。変更工程の試験結果は AGA ナレッジベースの記事によります。MPa 換算、27 ksi と 13.5% は当サイトの計算、165 ksi は仮定の例、「崖の縁」は当サイトの読み方です。上の確認リストは当サイトがまとめたもので、規格の要求と当サイトの調達上の提案が混在しています。ASTM 規格・等級・Type・塗装の明記(第 2.2 節は設計者に指定を求める)、ナットのオーバータップ、試験報告書、再使用の禁止は前述の条文によるもので、座金も一緒に買う、防食年数を別に取り決める、密閉保管は当サイトの提案です。

この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。

よくある質問

A490 ボルトに溶融亜鉛めっきはできますか?

RCSC『高力ボルトを用いた構造接合部の規格』2020 年版の第 2.8.1 節によれば、できません。Group 150(ASTM F3125 Grade A490 とトルシア形の F2280)は、溶融亜鉛めっきも機械的亜鉛めっきも認められていません。解説は溶射も認めないとしています。A325 のヘビーヘックス構造用ボルトは溶融めっきも機械的めっきもできます。トルシア形や F3148 のようなスプライン端のセットは溶融亜鉛めっきができず、機械的めっきは製造者の指示のもとで、その規格が認める場合に限られます。

なぜ A325 はよくて、A490 はだめなのですか?

RCSC 2020 の解説の理由は強度です。200 ksi 以上の鋼は、水素が残り高い引張応力を受けると脆化のおそれがあります。A325 は最低 120 ksi で、硬さ上限により実際の強度は臨界範囲よりずっと低い。A490 は最低 150 ksi、上限 173 ksi、硬さ上限 38 HRC ですが、生産の狙いは最低値より少し高いため、臨界範囲に近いボルトを想定する必要があります。溶融亜鉛めっきの工程の酸洗いで入りうる水素は、亜鉛層で閉じ込められます。これらの強度値は ASTM F3125 の要求で、RCSC が説明しているものです。

A490 に使える塗装は何ですか?

RCSC 2020 の表 2.6 は三つの亜鉛アルミ系無機塗装を挙げています。ASTM F1136(ボルト Grade 3、ナット Grade 5、座金 Grade 3)、F2833 Grade 1、F3019 Grade 4 で、取り付け前に施工し、ナットは F3125 の表 A1.2 に従ってオーバータップします。規格の版と版の間に ASTM がボルト部品やセット用に認めた別の塗装を、設計者が承認することもできます。解説によると、これらの塗装は選ばれた条件で A490 の性能を劣化させないことが試験で示されましたが、表に載っていることは特定の防食性能を意味しません。また、この三つはその版の作成後に ASTM F3393 に統合・置換されました。

亜鉛めっきの高力ボルトとナットを別々の供給者から買ってもよいですか?

RCSC の解説は、ASTM F3125 の趣旨に沿わないとしています。亜鉛めっきナットはオーバータップされ、潤滑も必要で、F3125 は供給者に、出荷前にめっきボルト、潤滑しためっきナット、座金をセットで回転能力試験にかけるよう求めています。別々に買うと、セット全体の性能に責任を持てる者がいなくなります。潤滑剤の一部は水溶性なので、密閉容器での保管も勧められています。

A490 を安全に亜鉛めっきできると示した研究はありますか?

業界研究の肯定的な結果が一つありますが、適合にはなりません。米国亜鉛めっき協会のナレッジベースの 2013 年 9 月 10 日の記事は、脱脂の後、酸洗いをブラストなどの機械的な表面清浄に置き換える変更工程で亜鉛めっきした供試 A490 が、ASTM F606 と F1624 の水素脆化試験に合格したと報じています。同じ記事は、これが標準の手順ではなく ASTM に適合しないとも明記しています。RCSC 2020 年版の解説は研究が進行中だとしており、禁止は残っています。その後の版はこのページでは確認していません。

参考資料

規定と理由は、RCSC 2020 年版の第 2.1 節(表 2.1)、第 2.8.1 節と第 2.8.2 節(表 2.6)とその解説、第 2.9、2.10、2.11 節、第 7 節と第 8 節の解説によります(Birkemoe と Herrschaft 1970、Munse 1967、Brahimi 2006、2011、2014、2017 は規格が引用する文献で、当サイトは原文を別途読んでいません)。変更工程の試験結果は米国亜鉛めっき協会ナレッジベースの 2013 年 9 月 10 日の記事による研究の紹介で、当サイトは研究の全文を読んでいません。ASTM F3125、F2329、F1136、F3393 などの規格そのものは当サイトは全文を読んでおらず、本文は RCSC による説明だけを書いています。MPa 換算、27 ksi と 13.5% は当サイトの計算、165 ksi は仮定の例、確認リストは当サイトの読み方です。

お問い合わせ

図面で高力ボルトの等級と表面処理を同時に指定されている場合は、お見積りの際にボルトの等級(または Group)、表面処理の規格と等級、ナットと座金を一緒に供給するかどうか、必要な試験報告書を明記してください。供給の可否と条件を個別に確認します。等級と塗装の組み合わせが適用される規格に適合するかは、設計者にご確認ください。

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