打音でボルトの緩みは分かるのか:供用 54 年の鋼橋から抜き取った高力ボルトの残存軸力は設計ボルト軸力の平均 87%、調べた 4 橋とも平均は設計値を下回った

2012 年 12 月、Yahoo!知恵袋に「打音でボルトの緩みなんて分かるのか」という質問が投稿されました。JIS で強度が決まっていて、指定トルクで締めているのに、なぜ緩むのか。「劣化が緩みに繋がるのですか」。2020 年に発表された鋼橋の調査が、その半分に答えています。供用 31〜54 年の鋼橋 4 橋から高力ボルトを抜き取り、1 本ずつ残存軸力を測ったものです。最も古い橋では 16 本の平均が設計ボルト軸力の 87% で、4 橋とも平均は設計値を下回り、経過年数とは対応していませんでした。打音のほうは、この論文では調べていません。読了まで約 9 分。

さびの斑点がある H 形鋼の継手。添接板に高力ボルトが 4 本並び、1 本の座金の下が赤く示されている(模式図)

2012 年 12 月の質問

質問は 2012 年 12 月 8 日の深夜に工学カテゴリへ投稿され、閲覧数は 14,369 です。投稿者は素人だと断ったうえで、三つのことを尋ねています。 打音検査は人が判断するので、気分や勘違い、個人の感覚で誤った判断が起こりうるのではないか。JIS で強度や材質、トルク、径、ピッチが規格化されているのに、指定トルクで締めても緩むなら規格自体が疑わしいのではないか。 そして「劣化が緩みに繋がるのですか」。

回答は 5 件あります。ベストアンサーは、仕事柄、緩んでいると音が違うのはよく経験する、原因は車が通るときの振動でボルトが緩む方向に回ることだろう、というものです。 バスの営業所でタイヤのナットをたたいているのを例に、意外なほど明確に分かると書いた人もいます。別の回答者は、経年で固着したボルト・ナットはトルクでは管理できず、 緩みは合いマークのずれで管理する、施工時の管理とそれ以降の経年変化の管理は手法がまったく違う、と述べています。 当時の高速道路のトンネル事故に触れた回答もあります。1 人は、コンクリートに接着剤で固定するケミカルアンカーで、金属のめねじに締めるボルトとは別だと書き、もう 1 人は、原因はねじの緩みではなく、高分子材料で異種材料を結合した設計にあると書いています(いずれも回答者の見解で、当サイトは事故原因を確認していません)。

多くの回答は、打音、ボルトが回ったかどうか、合いマークのずれに焦点を当てています。接着剤のはく離や疲労、腐食に触れた回答もあります。質問の「劣化」にはもう一つの可能性があります。ボルトは回っていないのに、締付け力だけが減っていく場合です。 次に紹介する調査は、ボルトを抜き取り、頭部ひずみをキャリブレーションして残量を測っています。ほかの測定方法との比較はしていません。

測定方法:ボルト頭部の曲げから軸力を求める

飯田哲也ら 7 名(瀧上工業、京都大学、大阪市立大学、富山大学、国土交通省近畿地方整備局)が 2020 年に鋼構造論文集で報告した調査です。 対象は供用中の鋼橋 4 橋で(論文の謝辞によれば、ボルトは国土交通省近畿地方整備局の各事務所から提供)、いずれも摩擦接合用高力六角ボルト(F10T または F11T、すべて M22)を使い、接合面は無塗装の仕様でした。

高力ボルトを締めると軸部が引き伸ばされ、頭部は軸部からの引張りと座金からの反力で曲げ変形します。この変形による頭部表面のひずみ変化を、キャリブレーションで軸力に換算するのが測定の原理です。 論文は、頭部に穴をあける加工が不要だとしています。

3 コマの技術図:頭部に 3 軸ひずみゲージを貼り赤いマーキング線を引いたボルトが 2 枚の鋼板を締結し、抜き取ったボルトは導線で計測器につながり、最後にジャッキとロードセルのあるフレームに取り付けられている
残存ボルト軸力の測定手順:頭部に 3 軸ひずみゲージを貼ってマーキングし、抜取り時の頭部ひずみ変化を測り、キャリブレーション装置で同じひずみを再現して軸力に換算する(飯田ほか 2020 §3.1 に基づく)。模式図・縮尺不同。
残存ボルト軸力の測定手順(飯田ほか、2020、§3.1)
手順内容
① 準備頭部とナットの塗装を除去。頭部の刻印をディスクサンダーで削り、中心に 5 mm の 3 軸ひずみゲージ(東京測器研究所 FRAB-5)を貼付。締結状態を再現するため、頭部と座金にマーキング
② 抜取りボルトを橋から抜き、軸力解放前後の頭部ひずみ変化量を測定
③ キャリブレーションロードセルと油圧ジャッキの専用装置で締結状態を再現し、ひずみ変化量に相当する引張荷重を残存ボルト軸力とする
ひずみの扱いボルトが孔の中心にあるとは限らず、軸心のずれや傾きもあるため 3 軸ゲージを使用。最大・最小主ひずみに 15〜25% の差が出るので、両者の平均を採用
残存軸力率設計ボルト軸力(F10T:205 kN、F11T:216 kN)に対する割合

前提として、橋梁台帳や図面では締付け方法の記述を確認できなかったと論文は書いています。分かるのは「いま残っている軸力」で、当初どこまで締めたかは分かりません。

4 橋の測定結果

4 橋の残存ボルト軸力(飯田ほか、2020、表 1〜表 5)
橋形式/建設年(供用年数)等級本数平均残存軸力残存軸力率変動係数
A鈑桁/1965 年(54 年)F11T16188 kN87%10.6%
B鈑桁/1988 年(31 年)F10T16164 kN80%11.4%
C鈑桁/1975 年(44 年)F11T6(うち 2 本が遅れ破壊)214 kN(健全な 4 本)99%8.6%
D箱桁/1987 年(32 年)F10T102143 kN66%(論文値)19.2%

A 橋は 4 橋のうち最も古い橋です。主桁継手 2 か所のウェブ 8 本が平均 188 kN、下フランジ 8 本が 189 kN で、どちらも 87% でした。 論文は「そのほとんどのボルト」で設計ボルト軸力より低下していたと書いています。表 2 では 16 本中 14 本が 216 kN 未満で、最小は 144 kN(66.7%)、残る 2 本は 216 kN と 218 kN でした。

B 橋は 16 本すべてが設計ボルト軸力を下回り、表 3 の最大でも 99.0% です。主桁継手はウェブ 76%、下フランジ 75%、対傾構・横構のガセットプレート 4 本は 91% でした。

C 橋は 6 本中 2 本が遅れ破壊していました(次節)。残る 4 本の平均は 99% で、1 本は 235 kN(108.8%)でした。

D 橋は最も多い 102 本を調べ、すべてが設計軸力を確保していませんでした。ウェブ平均 157 kN(76%)、下フランジ 136 kN(66%)、全体 143 kN です。 ここに食い違いが一つあります。本文と表 5 の合計欄は全体を 66% としていますが、143 ÷ 205 は 69.8% です(当サイトの計算)。66% は下フランジの割合と同じ値です。両者が一致しない理由は論文に書かれていません。 表 5 の最小は 61 kN(29.6%)、最大は 92.7% でした。

締付け時の 10% 増しはどこへ行ったのか

論文の序論によると、高力ボルトはリラクセーションで軸力が下がることが知られており、締付け時には設計ボルト軸力の約 10% 増しの標準ボルト軸力で締め、低下分をカバーしてきました。 既往のリラクセーション試験からの推定では、軸力の低下は無塗装系の接合面で 5% 程度、塗装系の接合面で 10〜15% です。ただし多くは実験室や暴露試験場の結果で、30 年以上供用された実橋からボルトを抜いて確かめた例は少ないとしています。

軸力の見込みと実測(飯田ほか、2020、§1・表 2。締付け値は当サイトの仮定)
項目F11T M22(A 橋)
設計ボルト軸力216 kN
「約 10% 増し」で締めた場合約 238 kN(当サイトの計算。A 橋の実際の締付け方法は不明)
既往試験によるリラクセーションの推定(無塗装系)5% 程度
54 年後の実測平均188 kN(設計ボルト軸力の 87%)

4 橋とも接合面は無塗装の仕様で、既往の推定どおりなら低下は 5% 程度です。10% 増しで締めていれば、残存軸力は設計値を上回っているはずです。 実測では 4 橋とも平均が設計値を下回りました。仮に A 橋を約 238 kN で締めていたとすると、188 kN はその約 79% になります(当サイトの計算)。ただし締付け方法は分からないので、これは仮定のうえでの比較で、実測の低下量ではありません。

序論では、供用 30 年で撤去した耐候性鋼橋の部材でも、残存ボルト軸力が設計ボルト軸力を下回るものが多かったという文献(橋本ほか、2016)にも触れています。当サイトはその原文を読んでいません。

経過年数とは対応しない

古い橋ほど軸力が下がっていそうに思えますが、結果はそうなっていません。最も古い A 橋(54 年)が 87%、最も新しい B 橋(31 年)が 80%、32 年の D 橋が最も低い値でした。 建設年代ごとにプロットした図 15 について、著者は、年代ごとにボルト間のばらつきが大きく、残存ボルト軸力と経年による軸力低下の相関は確認できなかったとしています。

D 橋が低い理由について、著者は具体的な推定を示しています。箱桁下フランジの突出部では、残存軸力率 50% 未満のボルトが多くありました。 調査で既設ボルトを抜いた後に新しいボルトを本締めする際、ウェブとの距離が近く、電動レンチが使えませんでした。そのため架設時もスパナなどの手締めだけで締められた可能性があり、締付け時から設計ボルト軸力を満たしていなかったと考えられる、というものです。 D 橋の 66% は一概に経年による低下とは言えず、施工不良の影響も考えられる、とも書いています。

部位の比較もあります。主桁継手の中では、ウェブと下フランジ、中立軸付近と下端付近で、残存軸力率に差は見られませんでした。 主桁と二次部材の間には差があり、B 橋では主桁継手のボルトがガセットプレートより 15 ポイント低くなっています(当サイトが表 3 から計算。論文は §3.2.2 で約 15%、まとめで約 18% と記載)。 著者は、主桁が死荷重と活荷重に経時的に抵抗していることが影響した可能性を挙げつつ、サンプル数が少ないので一概には言えないとしています。

まとめると、4 橋のデータからは残存軸力と経過年数の相関は見えません。D 橋の低い値には締付け時の軸力不足が影響した可能性がありますが、現在のレンチの入り具合からの著者の推定で、当時の施工記録はありません。B 橋の主桁と二次部材の差もサンプルが少なく、レンチの作業空間や部材の種類が年数より重要だとまでは言えません。4 橋・140 本の観察で、著者自身も基礎的研究と位置づけています。

F11T:外観では分からない破断

論文は序論で、F11T は遅れ破壊の発生により現在は使用されないと書いています。今回の 4 橋のうち 2 橋が F11T を使っていました。

C 橋で抜き取った 6 本のうち、ウェブの G1-w1 と G1-w3 は遅れ破壊していました。き裂は内部にあり、抜き取った時点では分からず、実験室のキャリブレーション試験中に破断して判明しました。 論文は、現地での抜取り段階で破断を誘発するき裂を目視で見つけるのは困難だったとしています。破断位置は、G1-w1 がナット直近のねじ部、G1-w3 が遊びねじ部でした。

締め付けたボルト継手の断面:2 枚の鋼板が密着し、座金とナットが板面に着座している。板の孔内で座金側のねじ部と、ナット座面直近のねじ部に赤い細いき裂が 1 本ずつある。頭部・座金・ナットに少しさびがあり、上に雨粒
C 橋の F11T 2 本の遅れ破壊位置:ナット直近のねじ部と遊びねじ部。抜取り時の目視ではき裂が分からなかった(飯田ほか 2020 §4.3 に基づく。位置は模式的)。模式図・縮尺不同。

二つの F11T の橋は環境が違いました。A 橋の継手は中央分離帯側で雨が直接当たらず、16 本とも遅れ破壊は見られませんでした。 C 橋の継手は雨が直接当たる外桁側で、軸部とねじ部に軽微なさびがありました。C 橋の海岸線からの距離は表 1 で 28 km(§4.3 では 20 km)で、著者は飛来塩分による腐食は考えにくいとしています。 そのうえで、F11T ボルトは外観上健全に見えても、遅れ破壊によりき裂が内在化し、軸力がない可能性があると結論づけています。

測定上の問題もありました。頭部ひずみと軸力の関係は、F10T ではほぼ一本の線に乗り(図 16 の決定係数 R² 0.9865)、F11T はばらつきが大きくなっています(0.8912。まとめでは相関係数 0.98・0.89 と記載)。 頭部と軸部から試験片を切り出してヤング率を測ると差は 1% 未満で、材料特性の影響は小さいとされました。熱処理、寸法のばらつき、遅れ破壊などの内部破損といった残りの候補は、サンプルを増やして調べる課題とされています。 高力ボルトの水素と遅れ破壊については、1700 MPa 級ボルトの暴露試験の頁で扱いました。

質問に戻る:劣化は緩みにつながるのか

「緩み」には二つの現象が含まれます。当サイトのねじが緩む理由で分けたとおり、ボルトが戻り回転するものと、回っていないのに締付け力が失われるものです。 知恵袋の回答の多くは前者を扱っており、回答者が挙げた合いマークで見るのも前者です。

この調査が測ったのは残存軸力です。戻り回転角は測っていないので、軸力低下のうち回転、リラクセーション、締付け時の不足、その他の要因がそれぞれどれだけかは分かりません。 言えるのは、4 橋とも頭部やナットの腐食減肉は見当たらないのに、残存軸力が設計値の約 3 割から設計値を超えるものまで分布していたこと、つまり「外観に腐食減肉がない」ことと「軸力が足りている」ことは別だ、ということです。

質問の二つ目は JIS と指定トルクに結びつけていますが、この論文は JIS の規定範囲を分析していません。手がかりになるのは、4 橋とも当時の締付け方法と初期軸力が分からず、測定時の残存軸力の多くが設計値を下回っていた、という点です。 初期の導入軸力が不明なので、約 10% の見込み自体が足りるかどうかは、この結果からは判定できません。D 橋の例は、最初から設計ボルト軸力まで締まっていなかったボルトがありうることを示しています(著者の推定)。

一つ目の、打音で分かるのかという問いには、この論文は答えていません。打音検査は行っておらず、打音の結果と実測軸力の対応も調べていません。 残存軸力 66% のボルトと 99% のボルトで音が違うのかについて、当サイトはデータを持っておらず、判断しません。

維持管理での判断手順

点検・維持管理を担当する方向けの順序です。「論文」と書いたものは著者の観察や結論で、それ以外は当サイトがこの調査から整理した提案です。論文は検証していません。

  1. どちらの緩みを探すのかを分けます。 回答者によれば、合いマークがずれていればボルトは回っています。当サイトは、逆は成り立たないと考えます。ずれていなくても、軸力が足りている証拠にはなりません。この調査は合いマークを見ていませんが、腐食減肉のないボルトでも軸力は約 3 割から設計値以上まで分布していました(論文)。
  2. 供用年数から残存軸力を推定しません。 4 橋では残存軸力と経過年数の相関は確認されませんでした(論文)。新しい橋だから軸力が残っているとは限りません。
  3. 締付け時にレンチが入りにくい箇所に注意します。 D 橋の箱桁下フランジ突出部は電動レンチが使えず、50% 未満のボルトが多くありました(論文。著者は架設時に手締めだった可能性を推定)。ウェブや補剛材の近くなど作業空間が限られるボルトを抜取り対象に含めることを当サイトは勧めますが、D 橋 1 例からの当サイトの仮説で、論文はこうした規則を示していません。
  4. 数値が必要なら、抜き取って測ります。 論文の方法は、頭部に 3 軸ひずみゲージを貼り、抜き取り、キャリブレーションで換算するもので、抜いた箇所には新しいボルトを本締めしています(論文 §4.1)。抜取り本数や位置の決め方は論文にありません。B 橋の主桁とガセットの 15 ポイント差(論文。サンプルは少数)が再現するかを見るなら、主桁継手と二次部材の両方から抜き取ることを当サイトは勧めます。
  5. F11T は別の問題として扱います。 外観上健全な F11T でも、き裂が内在化して軸力がない可能性があります(論文)。論文は、現地の目視ではき裂を見つけにくいとしています。合いマークは論文で評価されていません。F11T を使った継手では外観だけで判断しないことを当サイトは勧めます。C 橋で破断した 2 本は雨が直接当たる外桁側で、雨が当たらない A 橋の継手では見られませんでした(論文)。ただし 2 橋の比較にすぎず、一般的な優先順位を決める根拠にはなりません。
  6. 測った後の判定基準は別に決めます。 論文が示しているのは残存軸力率だけで、どこまで下がったら対処するかも、継手のすべり耐力も示していません。当サイトでは米国の鉱山ロックボルトの規則を紹介しました。初期値の 70% まで下がったら対処するという内容ですが、構造も法規も違うので、橋にそのまま当てはめることはできません。 軸力が不足した摩擦接合継手がどうなるかは、締まっていないボルトは、別の継手であるをご覧ください。
  7. 打音はふるい分けに使い、測定には使いません。 この調査は打音も合いマークも評価していません。C 橋で破断した F11T 2 本は、抜き取った時点の目視でも分かりませんでした(論文)。当サイトの見方では、打音は明らかな緩みを探す程度に使うものです。「何割残っているか」について、この論文がデータで裏付けているのは、抜き取って頭部ひずみをキャリブレーションする方法です。

この頁から言えないこと

調査は 4 橋だけで、ボルトはいずれも近畿地方整備局の各事務所から提供されたもの、すべて M22、接合面はすべて無塗装の仕様です。A・B・C 橋は 6〜16 本で、102 本を測ったのは D 橋だけです。A・B・C 橋は少数の継手から抜き取っただけで、各橋のボルト全体を代表するとは言えません。著者自身が基礎的研究と位置づけ、建設年代、橋梁の種類、塗装仕様、立地環境と気象、腐食環境、導入軸力の管理方法に着目した調査の拡大が必要だとしています。 4 橋とも締付け方法が分からないので、本頁は軸力が「どれだけ下がったか」ではなく「いまどれだけ残っているか」だけを述べています。約 238 kN の締付け値は「約 10% 増し」からの当サイトの仮定です。 各橋の測定は 1 時点だけで、軸力の経時変化の曲線はなく、ある橋があと何年でどこまで下がるかは推定できません。 D 橋の施工不良は、現在のレンチの入り具合からの著者の推定で、当時の施工記録で確かめられたものではありません。D 橋全体の 66% は論文値で、平均軸力からの計算では 69.8% です。主桁と二次部材の差は論文中で 15% と 18% の 2 通り、C 橋の海岸線からの距離も表と本文で異なり、本頁では両方を示しました。 戻り回転角は測っていないので、軸力低下に回転分が含まれるかは分かりません。打音を試験していないので、打音が有効とも無効とも言いません。すべり耐力を計算していないので、これらの継手が危険だとも言いません。 F11T の遅れ破壊は C 橋の 2 本で見られただけで、F11T 全体の破断率を見積もる根拠にはなりません。F11T はひずみと軸力の関係が F10T よりばらつき、C 橋の 99% も健全な 4 本だけの値なので、等級や橋をまたぐ比較は控えめに読む必要があります。知恵袋の回答にあるトンネル事故の原因については、当サイトは確認していません。

この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。

よくある質問

数十年供用した鋼橋の高力ボルトには、どれだけ軸力が残っていますか?

飯田ほか(2020)が供用 31〜54 年の鋼橋 4 橋から M22 の高力ボルトを抜き取って測った結果、平均の残存軸力率は A 橋(54 年)87%、B 橋 80%、C 橋(健全な 4 本)99%、D 橋 66%(論文値。平均軸力からの計算では 69.8%)でした。4 橋とも平均は設計ボルト軸力を下回り、個々のボルトの最小は 29.6% でした。

古い橋ほど軸力は下がっていますか?

この調査では、そうした関係は確認されませんでした。最も古い A 橋が 87%、最も新しい B 橋が 80%、32 年の D 橋が最も低い値です。著者は、D 橋の一部のボルトは電動レンチが入らず手締めだった可能性があり、締付け時から設計ボルト軸力を満たしていなかったと考えています。

打音検査で高力ボルトの軸力不足は分かりますか?

この論文は打音を行っておらず、打音と実測軸力の対応も調べていないため、答えられません。示されているのは、外観に腐食減肉がないボルトでも、残存軸力が約 3 割から設計値以上まで分布していたことです。残量を知るために論文が使ったのは、抜き取って頭部ひずみをキャリブレーションする方法です。

F11T のボルトで注意すべきことは何ですか?

F11T は遅れ破壊のため現在は使用されていません。この調査では C 橋の F11T 6 本のうち 2 本が遅れ破壊しており、き裂は内部にあって現地の目視では分からず、実験室のキャリブレーション中に破断しました。破断位置はナット直近のねじ部と遊びねじ部です。C 橋の継手は雨が当たる外桁側で、雨が当たらない A 橋の継手では見られませんでした。

参考資料

論文の全文を当サイトで読みました(J-STAGE PDF)。残存軸力、残存軸力率、変動係数、本数、橋梁の諸元は表 1〜表 5 と本文のとおりです。A 橋 16 本中 14 本が設計値未満、D 橋の 69.8%、B 橋の主桁とガセットの 15 ポイント差、約 238 kN の仮定締付け値と 79% は当サイトの計算です。D 橋全体の割合、主桁と二次部材の差、C 橋の海岸線からの距離は論文中で食い違いがあり、本頁では併記しました。論文が引く橋本ほか(2016)は原文を読んでいません。「維持管理での判断手順」は、「論文」と書いたもの以外は当サイトの提案です。

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