皿ばねの A・B・C が変えるのは曲線の形であって、強さではない
読了目安 8 分。皿ばねは A・B・C でシリーズ分けされ、その記号はボルトの 8.8 や 10.9 のように強度等級に読めます。これらは寸法シリーズであり、分けているのは等級ではなく一組の比です。そのうちの h0/t が荷重—たわみ曲線の形を決めます。そもそも皿ばねを入れる理由は、その形だけです。
記号は比である
皿ばねは円錐です。どれだけ円錐かを表す寸法が二つあります。h0、自由たわみ高さ。 そして t、材料の厚さ。シリーズ記号が記録しているのは両者の比です。DIN 2093 の寸法を 収載する Schnorr の製品資料は、表の脇の注記で率直に書いています。
接頭記号 A、B または C が対応するシリーズを示す。
そして三つのシリーズは、その比の異なる位置にあります。
| シリーズ | h0/t | 皿の姿 |
|---|---|---|
| A | 約 0.40 | 円錐高さに対して厚い |
| B | 約 0.75 | 中間 |
| C | 約 1.30 | 円錐高さに対して薄い |
この三つの正式な身分は寸法シリーズで、等級ではなく比で分けられています。外径対厚さ、 そして円錐高さ対厚さ。だから記号はボルトの 8.8 や 10.9 のような強度等級ではありません。 A・B・C のどれも、どれが強いとは言っていません。変わるのは曲線の形であり、それは 順位をつけるものではなく、選ぶものです。
比で指定することには代価があり、それは小径側で先に現れます。小さな皿では h0 も t も小さな数字で、小さな二つの数字の比は製造公差が最初に動かすもの。しかも資料自身の 厚さ公差表は、皿が薄くなるほど比率としては粗くなります。曲線を定義する比は、皿が最も 薄いところで最も緩く守られます。
その比で何を買っているのか
その比を指定する理由は、荷重—たわみ曲線の形です。Schnorr の技術ページは選べる範囲を こう書いています。
特性線は線形、逓減、さらには逓増に設計できる。
そしてもう一社、MW Components は、比が上がるにつれて単板の曲線がどう変わるかを 梯子のように並べています。
| h/t | 曲線 |
|---|---|
| 0.4 未満 | ほぼ線形 |
| 約 1 | 逓減 — 圧縮につれて平らになる |
| 1.4 | 定荷重 |
| 1.4 超 | 負型(負剛性) |
同じカタログは小さい比の側を直接書いています。この比が小さいとき(0.4 まで)、形は直線に 近づく、と。梯子をシリーズの値に当てると、C シリーズは 1.30 前後で、定荷重の一段すぐ下に 座ります。これは当サイトが二つの資料を並べて読んだ結果であり、どちらか一方が述べている ことではありません。
一段だけこの梯子に属さないものがあります。MW は逓増曲線も挙げていますが、読者を別の ページへ送ります。逓増の特性は厚さや並列枚数の異なる皿を重ねることから生じるもので、 単板の比から生じるものではないからです。Schnorr の「線形、逓減、さらには逓増」は、 皿ばねで何が設計できるかであって、一枚の皿がどう振る舞うかではありません。
平らになるほうが、皿ばねがボルト継手に現れる理由です。継手が陥没と沈下で失うのは わずかな長さで、硬い継手はそのわずかな長さの損失に、大きな予張力の損失で応じます。 その範囲で力がほとんど変わらないばねは、ほとんど何も失わずに応じます。それがこの部品の 仕事であり、ファスナーの回転を止めることとは別の仕事です。 トルク制御を変位制御に替えるのページは、 同じ交換をヒートシンクのばねの側から述べています。
表の数字は計算値である
持ち帰る価値があるのはこの一文で、それは表の中ではなく表の脇の注記にあります。
荷重と対応する応力は三つの点、s = 0.25 ho、s = 0.5 ho、 s = 0.75 ho について示されている。s > 0.75 ho からは、実際の 特性曲線は計算とは逆に逓増する(表には計算値が入っている)。
この一文は三つのことを同時に述べています。表の値は三つのたわみ点にだけ存在し、他には ないこと。それらは測定値ではなく計算値であること。そして利用可能な行程の四分の三を 超えると、実際のばねは明示された方向へ計算から離れること。表が言うより硬くなります。
その方向は一見より重要です。余裕のない設計者はばねを平らな側へ押しがちで、そこはまさに 表がこの部品を記述しなくなり、発生する力を過小評価し始める領域です。メーカーはそれを 数字と同じページに書いています。枠の外に座り、隣の表が自足して見えるために飛ばされる 種類の注記です。
MW Components は同じ事実から実務的な結論を引いています。皿ばねは総有効たわみの 20% から 80% の範囲で働くよう設計すべきである、と。二つを並べると、推奨される作動域は 80% までで、計算表がこのばねを記述しなくなるのは 75% です。同カタログには 「Theoretical vs. Measured Characteristic of a Disc Spring」という節もあります。 本ページが述べている隔たりに、二社目のメーカーが見出しを一つ割いているわけです。
重ね方がどの量を足すかを決める
一枚で必要な力と行程の両方を出せることは稀なので、皿は重ねて使います。二つの重ね方は 足す量が異なります。
| 並べ方 | 足し合わさるもの | 変わらないもの |
|---|---|---|
| 直列(交互) | たわみ | 荷重 |
| 並列(重ね合わせ) | 荷重 | たわみ |
Schnorr は両方を述べています。直列では「ばねのたわみが荷重一定のまま足し合わさる」、 並列では「同じたわみで力が足し合わさる」。つまり重ね方はシリーズ記号の上に載る第二の 設計変数で、一列の皿ばねは実際には二つの決定——皿と、並べ方です。
並列には同じ資料からの注意があります。旋削した支持面と減厚を持つ皿があり、Schnorr は t′ が有効厚さであり「並列重ねでは列の長さを求めるのに考慮しなければならない」と 記しています。列の長さは枚数×呼び厚さではありません。
図面のその番号は変わっている
皿ばねについて書かれたものは、どの言語でもほぼ寸法に DIN 2093、計算に DIN 2092 を 引きます。Schnorr 自身の技術ページは、両者が 2017 年 2 月 1 日に DIN EN 16983 (寸法および品質要求)と DIN EN 16984(計算)へ置き換わり、技術内容は不変であると 記録しています。
技術内容が不変であることが、何も壊れない理由であり、誰も更新しない理由でもあります。 DIN 2093 で買った部品は同じ部品です。しかし今も DIN 2093 を引いている図面は、 何年も前に置き換わった番号を引いています。どうせ改訂するなら、その引用を直すのが 最も安いのはその時です。
このページが確定していないこと
- 規格は一つも読んでいません。DIN 2092、DIN 2093、EN 16983、 EN 16984 はすべて有料です。シリーズと比の対応、置き換えとその日付は Schnorr が 公開した資料によるもので、メーカーが規格について述べたものであり、規格そのものでは ありません。
- 荷重・応力の数値は載せていません。資料には完全な表がありますが、 本ページが引用したのは説明文だけです。値は寸法、シリーズ、材料で変わり、周囲の条件から 切り離して再掲することこそ、本ページが述べている誤りそのものです。
- DIN 6796 は別の規格です。ボルト継手用の円錐ばね座金を扱うもので、 DIN 2093 の皿ばねではありません。当サイトの トルク制御を変位制御に替えるのページは DIN 6796 を要約から記述し、そこで未確認と明記しています。本ページはそれを解決して いません。形が似ていて規格が違えば、同じ部品ではありません。
- 比の梯子は単板の理論です。上の数値は標準的な幾何の単板を記述したもので、 ある実部品がちょうど 1.414 で反転する保証ではありません。列の挙動は列の挙動です。
- 並列の摩擦は本ページで数値化していません。相互確認が報告した設計裕度は 滑り面あたり約 2〜3% の力で、負荷時に加え、除荷時に引きます。指し示された出典は 当サイトに 403 を返したため、使う数字ではなく手がかりとして記します。
- 疲労と繰返しには触れていません。三つの表点と実際の曲線に関する注記は 静的なものです。繰返し使用の皿ばねには本ページが扱っていない独自の限界があります。
置換ならまだよいほうです。DIN 137 の波形ばね座金の番号が指すのは、廃止されて置き換えのない規格です。
この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。
よくある質問
皿ばねの A・B・C は何を意味しますか。
寸法シリーズで、等級ではなく比で分けられています。その比の一つが h0/t、円錐の自由たわみ高さと材料厚さの比で、Schnorr が挙げる三シリーズはおよそ A が 0.40、B が 0.75、C が 1.30 です。この比が荷重—たわみ曲線の形を決めるので、記号はボルトの 8.8 や 10.9 のような強度等級ではありません。A・B・C のどれも、どれが強いとは言っていません。
h0/t 比はなぜ重要なのですか。
単板の曲線の形を決めるからです。MW Components はこれらの場合を梯子のように並べています。0.4 未満はほぼ線形、約 1 は逓減、1.4 は定荷重、1.4 超は負型。平らになる曲線はある行程の範囲で力がほとんど変わらず、これが陥没や沈下で失われる予張力に対して皿ばねが有効な理由です。逓増曲線は別の話で、単板の比ではなく重ね方から生じます。
カタログの荷重値は測定値ですか。
いいえ。Schnorr は、荷重と対応する応力が s = 0.25 h0、s = 0.5 h0、s = 0.75 h0 の三点について示され、s が 0.75 h0 を超えると実際の特性曲線は計算とは逆に逓増する、表には計算値が入っているためだと述べています。行程の四分の三を超えると、実際のばねは表より硬くなります。
直列と並列の重ね方はどう違いますか。
直列(交互)ではたわみが足し合わさり荷重は一定、並列(重ね合わせ)では同じたわみで力が足し合わさります。Schnorr は両方を述べています。なお旋削支持面を持つ皿は減厚された有効厚さ t′ を持ち、並列列の長さを求めるにはそれを使う必要があります。
今も DIN 2093 を引くべきですか。
Schnorr は、DIN EN 16983(寸法および品質要求)と DIN EN 16984(計算)が 2017 年 2 月 1 日に DIN 2093 と DIN 2092 を置き換え、技術内容は不変であると記録しています。部品は同じ部品なので何も壊れませんが、今も DIN 2093 を引く図面は置き換わった番号を引いています。
皿ばねはゆるみ止め部品ですか。
違います。維持するのは予張力で、相手は長さの損失——陥没、沈下、熱サイクルです。ファスナーの回転を止めるのは別の問題で別の答えがあり、荷重を保持できるばねは、回転に抵抗する装置と同じものではありません。
参考資料
- Schnorr 皿ばね製品資料 — 表の脇の注記:A/B/C 接頭記号、三つの計算たわみ点、0.75 h0 を超えた後の挙動、並列重ねに用いる有効厚さ t′(無料 PDF)
- Schnorr〈Disc Springs〉— A・B・C 三シリーズの h0/t 値、線形/逓減/逓増の範囲、直列と並列、および 2017-02-01 に DIN EN 16983 と DIN EN 16984 が DIN 2093 と DIN 2092 を置き換えたこと
- MW Components《Disc Springs》カタログ — h/t の梯子(0.4 未満は線形、約 1 は逓減、1.4 は定荷重、1.4 超は負型)、20%〜80% の作動域、および「Theoretical vs. Measured Characteristic of a Disc Spring」の節(無料 PDF)
- DIN EN 16983 皿ばね — 品質仕様、寸法;カタログページのみ、規格本文は未読
- DIN EN 16984 皿ばね — 計算;カタログページのみ、規格本文は未読
三つのメーカー資料を当サイトが直接開いて読みました。Schnorr の二つは schnorr.com と schnorr-group.com から、MW Components のカタログ PDF は pdftotext で全文を取り出し h/t の記述を確認しました。本ページの引用はすべてそこから取っています。製品資料 PDF は pdftotext で全文を取り出し、皿ばね表の脇の注記を通して読みました。これらはメーカーが公開した資料であり、つまり DIN 2093 の内容や、EN 16983 と EN 16984 がそれを置き換えたという記述は、メーカーによる規格の報告であって規格そのものではありません。DIN 2092、DIN 2093、EN 16983、EN 16984 は一つも読んでいません。四つとも有料です。資料の表にある荷重、応力、寸法の値は本ページに一切ありません。説明文だけを用いました。本ページが述べているのは、それらの値が条件を伴うということであり、条件から切り離して再掲することは同じ誤りを繰り返すことだからです。DIN 6796 は DIN 2093 と区別するためだけに挙げており、当サイト torque-into-length ページの DIN 6796 の記述は今も未確認と明記されたままで、本ページはそれを解決していません。
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継手がゆるんで回るのではなく予張力を失っているのであれば、お知らせいただきたいのは、 どれだけの長さを、何に失っているか——陥没か、ガスケットか、熱サイクルか。それぞれ答えは 別の部品で、そのうちばねなのは一つだけです。
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