全ねじボルト(寸切りボルト)の見方:DIN 975 は廃止、端面に色がなければたいてい 4.8

全ねじボルトはいまでも「DIN 975」として売られていますが、その規格は廃止され、後継は DIN 976-1 です。端から端までねじなので強度は見た目でわからず、規格は端面に強度区分か色を付けることにしています。8.8 は黄、10.9 は白、12.9 は黒、そして 4.8 だけは表示が要りません。端面に何もない全ねじボルトは、まず 4.8 と考えるのが妥当です。M10 の最小破断荷重は、4.8 で 24.4 kN、8.8 で 46.4 kN です。読了まで約 6 分。

平行な5本のねじ棒と茶、青、黄、白、赤縁の鋼色端面

DIN 975 から DIN 976-1 へ

ニュージーランド鋼構造協会(SCNZ)の 2018 年の実務ノート MAT1011 は冒頭でこう書いています。全ねじボルトはかつて DIN 975 で供給されていたが、 この規格は廃止され、後継は DIN 976-1 で、2016 年に改訂された。以下の受渡し条件はこのノートの表によるもので、 DIN 976-1 そのものは当サイトは読んでいません。

DIN 976-1:2016 の受渡し条件(SCNZ MAT1011 表 1 の整理)
項目規定
ねじ公差6g(ISO 965-2)
機械的性質M3〜M39:4.8、5.6、5.8、8.8、10.9、12.9、ISO 898-1:2013 による
寸法公差部品等級 A(ISO 4759-1)
表面処理電気めっき ISO 4042、亜鉛フレーク ISO 10683、溶融亜鉛めっき ISO 10684

強度区分はボルトと同じ ISO 898-1 の数字です。頭がないので、表示できるのは端面だけです。

端面の色が強度区分

SCNZ の整理では、M5 を超える全ねじボルトは片端に強度区分を表示し、4.8 は除くとされています。 点は省略してよく(8.8 を 88)、ISO 898-1 の時計表示でもかまいません。色による表示も認められています。

全ねじボルト端面の色表示(SCNZ MAT1011 表 2)
強度区分色
4.6、4.8表示不要
5.6茶、RAL 8015
5.8青、RAL 5010
8.8黄、RAL 1023
10.9白、RAL 1013
12.9黒、RAL 9017

この表は炭素鋼と合金鋼だけです。ステンレスは含まれず、ドイツの部品商 Mädler は A2(V2A)ステンレスの全ねじを「緑の塗料で表示」と説明していますが、 これは販売店独自の表示で、この表の一行ではありません。端面が緑なら、何を意味するか確認してください。

4.8 と 8.8 の差

ISO 898-1 の最小引張強さに有効断面積を掛けると最小破断荷重になります。M10 の有効断面積は 58.0 mm² で、 当サイトの締結部品の計算ツールと同じ値です。

M10 全ねじボルトの最小破断荷重と保証荷重(ISO 898-1 の値 × 58.0 mm²)
区分最小引張強さ最小破断荷重保証荷重応力保証荷重
4.8420 MPa24.4 kN310 MPa18.0 kN
8.8800 MPa46.4 kN580 MPa33.6 kN

ほぼ二倍の差があり、見た目は同じです。M8 の 4.8 なら 420 × 36.6 = 15.4 kN。これは材料の最小値で、使用荷重ではありません。

天井から吊る場合、全ねじボルトが一番弱い環になることは多くありません。 あと施工アンカーは何 kg まで吊れるかでは、M10 アンカー一本の C20/25 での許容引張は 4.1〜9.5 kN で、 4.8 の全ねじの保証荷重 18.0 kN をいずれも下回ります。吊れる量を決めるのはアンカーとコンクリートです。

8.8 は溶融亜鉛めっきできるか

SCNZ の理由はこうです。DIN 976-1 の 8.8 は転造の後に熱処理するので、転造の加工硬化は熱処理で消え、全体が ISO 898-1 の 23〜34 HRC に収まる。 彼らの挙げる 37 HRC を下回るので、追加の応力除去なしに溶融亜鉛めっきしてよい。この結論は「転造してから熱処理」という順序が前提で、 作り方が違えば確認が必要です(錆びなかったが折れた:水素ぜい化と、あのベーキング)。

インチの全ねじは対象外

DIN 976-1 の第 1 部はメートルねじです。3/8 のようなインチの全ねじには、ここの区分も色も受渡し条件も当てはまりません。 どのインチ規格と材料グレードによるのかを確認してください。日本の W ねじの寸切りも同様です。

注文に書くこと

SCNZ が挙げる包装表示に沿うと、完全な指定は、品名(全ねじボルト)、メートル並目を示す M、呼び径、呼び長さ、強度区分、表面処理です。 最も抜けやすいのは強度区分で、書かなければ届くのはたいてい端面に何もない一本です。

このページから言えないこと

DIN 976-1 そのものは読んでおらず、受渡し条件、表示、色は SCNZ MAT1011 によります。破断荷重と保証荷重は材料の最小値で設計値ではなく、 鋼構造の設計規準は読んでいません。ステンレスとインチの全ねじの表示については答えを出していません。

この記事は手順 2、ねじを扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。

よくある質問

全ねじボルトの規格は DIN 975 か DIN 976 か?

DIN 975 は廃止され、後継は 2016 年改訂の DIN 976-1 です。ニュージーランド鋼構造協会の MAT1011 の整理では、ねじ公差 6g、機械的性質は ISO 898-1:2013、部品等級 A、M3〜M39 で 4.8、5.6、5.8、8.8、10.9、12.9 の区分があります。

全ねじボルトの端面の色は何を意味する?

強度区分です。SCNZ の色表示では 5.6 茶、5.8 青、8.8 黄、10.9 白、12.9 黒で、4.6 と 4.8 は表示不要です。端面に何もなければまず 4.8 と考えられます。ステンレスはこの表になく、A2 を緑で表示する販売店がありますが、それは販売店独自の表示です。

M10 の全ねじボルトはどれだけ引っ張れる?

ISO 898-1 の最小引張強さ × 有効断面積 58.0 mm² で、4.8 は最小破断荷重 24.4 kN・保証荷重 18.0 kN、8.8 は 46.4 kN・33.6 kN です。材料の最小値で、使用荷重ではありません。

参考資料

DIN 976-1 は未読で、受渡し条件、表示、色は SCNZ MAT1011 の整理によります。ISO 898-1 の値と有効断面積は当サイトの計算ツールで確認済みのもので、破断荷重と保証荷重は当サイトの 2026-10-02 の計算です。Mädler の緑の表示は販売店の商品説明で、規格の要求ではありません。

お問い合わせ

全ねじボルトの引合いでは、メートルかインチか、径、長さ、強度区分、表面処理、端面の色や区分表示の要否を書いてください。

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