日建連の 2016 年 Q&A によればトルシア形高力ボルトに JIS はなく、建築で使われるのはメーカーごとの大臣認定品:建築基準法 37 条と告示第 1446 号がボルトに開く二つの道、認定帳簿の MBLT 掲載 270 件のうちトルシア形関連は 84 件

日本の高力ボルトといえば、まず JIS B 1186 と F10T の話になります。しかし鉄骨の現場でよく見るトルシア形高力ボルト(S10T)は、頭が丸く、ねじ部の先にピンテールが付いていて、日本建設業連合会の 2016 年改訂の Q&A によれば JIS 規格化されていません。では、どうやって日本の建築物の主要な構造に使われているのか。同じ Q&A の答えは、建築ではメーカーごとに国土交通大臣の一般認定を得た製品が使われている、というものです。その背景にあるのが建築基準法 37 条と告示第 1446 号で、「高力ボルト及びボルト」を指定建築材料とし、品質の根拠を二つしか認めていません。この記事では、37 条がどの部分を対象にし、どんな二つの道を開いているか、告示が指定する JIS はどれで何年版か、技術資料がトルシア形と溶融亜鉛めっき F8T をどう説明しているか、大臣認定では何を定めて何を検査するか、国土交通省の認定帳簿にボルトの認定が何件あり、それぞれ何か、を順に見ます。最後に、輸出する側として持ち帰れることと、このページで言えないことをまとめます。個々の製品に使えるか、どの認定が使えるかは、使用部位、認定の内容、現行の規定を確かめる必要があります。読了の目安は約 12 分です。

薄い灰色の背景に、ナットも座金も付けずに並べた鋼製ボルト 2 本。上は六角頭の高力ボルト、下は丸頭のトルシア形ボルトで、ねじ部の先に細い溝とピンテールが続き、溝とピンテールが赤く示されている(模式図)。

37 条が開く道は二つだけ

建築基準法 37 条(建築材料の品質)は、建築物の基礎、主要構造部、その他安全上・防火上・衛生上重要である政令で定める部分に使う建築材料のうち、国土交通大臣が定めるものを「指定建築材料」とし、次のどちらかに該当しなければならないとしています。 一号は、その品質が指定建築材料ごとに大臣の指定する日本産業規格(JIS)または日本農林規格(JAS)に適合するもの。二号は、大臣が定める安全上・防火上・衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合することについて、国土交通大臣の認定を受けたものです。

「政令で定める部分」は施行令 144 条の 3 にあり、六号のうち一号が「構造耐力上主要な部分で基礎及び主要構造部以外のもの」です。 どの材料を指定するかは、平成 12 年建設省告示第 1446 号の第一に書かれています。当サイトが読んだ国土交通省の整理版では 23 区分が並び、二が「高力ボルト及びボルト」です。同じ一覧には、六のターンバックル、十四の「タッピンねじその他これに類するもの」(構造用鋼材にめねじを形成し、または構造用鋼材を切削して貫入するものに限る)、十五の打込み鋲も入っています。

第一にはただし書もあり、適用しない場合を挙げています。2017 年の整理版のただし書は、2018 年 9 月 12 日の国土交通省告示第 1098 号で改正されました。改正後の文言は、法 20 条 1 項 1 号の大臣認定を受けた構造方法を用いる建築物に使われ、平成 12 年建設省告示第 1461 号第九号ハに適合する建築材料、 現に存する建築物又は建築物の部分(法 37 条又は法 40 条に基づく条例の建築材料の品質に関する制限を定めた規定に違反した建築物又は建築物の部分を除く)に使用されている建築材料、そして施行令 138 条 1 項に規定する工作物で存続期間が 2 年以内のものに使われる建築材料です。改正前の整理版にあった「特定行政庁の許可を受けた仮設建築物」の項目は削られています。その後の改正は条ごとに読み切れていないので、このページはどの建築物や材料が適用除外になるかを判断しません。

つまり、37 条の対象となる部分で、第一のただし書による除外に当たらない場合、高力ボルトの品質の根拠は二つしかありません。指定 JIS への適合か、品質に関する技術的基準への適合についての大臣認定です。まず一つ目の道に何が書かれているかを見ます。

一つ目の道:告示が名指しする JIS には、年が書いてある

一号の JIS がどれかは、告示の第二が別表第一に委ねています。「高力ボルト及びボルト」の欄には 8 つの規格が並び、どれも後ろに年が付いています(一つの製品が 8 つすべてに適合するという意味ではありません)。

告示第 1446 号 別表第一「高力ボルト及びボルト」の欄(国土交通省の整理版、2017 年改正まで)
JIS名称告示に書かれた年
B 1051炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質―第 1 部:ボルト、ねじ及び植込みボルト2000
B 1054-1耐食ステンレス鋼製締結用部品の機械的性質―第 1 部:ボルト、ねじ及び植込みボルト2001
B 1054-2耐食ステンレス鋼製締結用部品の機械的性質―第 2 部:ナット2001
B 1180六角ボルト1994
B 1181六角ナット1993
B 1186摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット1995
B 1256平座金1998
B 1057非鉄金属製ねじ部品の機械的性質2001

高力ボルトそのものを規定しているのは JIS B 1186 です。日本規格協会が公開している 2013 年版のプレビューによると、この規格は 1964 年に制定され、その後 7 回改正されましたが、1995 年以来実質的な改正はなく、製造技術の進歩と品質向上に対応するため 2013 年に改正されました。 適用範囲は「主として鋼構造に使用する摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット」、つまり六角頭のセットです。原案は日本鋼構造協会が作成しました。2013 年版の序文は、対応する国際規格は現時点で制定されていないとしています。

JIS B 1186 には 2013 年版があるのに、当サイトが読んだ告示の整理版は 1995 年版を挙げています。2013 年版で作った製品が一号に当たるかについて、所管官庁がボルトについて直接述べた資料は見つかりませんでした。 日本建築総合試験所(GBRC)の 2018 年の情報誌は『2015 年版 建築物の構造関係技術基準解説書』を引き、法 37 条が求めているのは JIS や JAS のマークが付いた材料ではなく、指定 JIS の規定のうち性能や品質に関する内容への適合だとしています。 同じ箇所は改正についても触れていますが、その場面は大臣認定を取得した後に指定 JIS 等が改正された場合です。性能や品質の項目が適合していれば改正後の材料でも「使用できる場合もある」一方、性能評価の内容によっては認定の再取得が必要になる場合も考えられる、と注記しています。この説明はコンクリートの連載に載ったもので、これだけで 2013 年版による製品が一号に適合するとは判断できません。

2017 年以降も告示は何度か改正されています。当サイトが原文または説明を読んだのはそのうち三つです。2018 年の第 1098 号は上のただし書を改め、別表第二では鋼材の欄だけに手を入れています。 令和元年国土交通省告示第 18 号は、同日の技術的助言だけを読みました。説明されているのはコンクリートの JIS A 5308 を 2019 年版に替える内容です。令和 5 年告示第 1206 号は第三にただし書を加え、別表第二のあちこちにある「目視によって」を「目視その他適切な方法」に改めました。その中には高力ボルトの欄の第五号(外観)のイも含まれます。 原文を確認した 2018 年告示第 1098 号と 2023 年告示第 1206 号は、別表第一のボルトの JIS の年を変えていません。2019 年に読んだのはコンクリートの JIS A 5308 の変更を説明する技術的助言だけで、改正告示の全文は確認していません。それ以外の改正(たとえば GBRC の情報誌が触れている 2018 年 6 月 14 日の改正や、国土交通省のページが触れている令和元年告示第 571 号)は原文を条ごとに読んでいないので、上の表の年がいまの現行版だとは保証できません。

技術資料が説明するトルシア形と溶融亜鉛めっき F8T

冒頭のトルシア形に戻ります。一般的なトルシア形は頭が丸く六角がなく、ねじ部の先にピンテールがあり、所定の条件で締まると破断溝のところでピンテールが切れます。JIS B 1186 の範囲にある六角ボルトのセットではありません。上の表のほかの規格の多くは機械的性質の規格で、当サイトはこれをもとにトルシア形が一号に当たるかどうかの法的な判断はしません。以下は技術資料の記述です。 当サイトのトルシア形高力ボルトはピンテールが切れれば軸力が入っているのかで引いた 2018 年の論文も、トルシア形は JIS 規格化されておらず、建築鉄骨では日本鋼構造協会の JSS II 09 が使われると書いています。

なぜ JIS にならないのでしょうか。日本建設業連合会(日建連)鉄骨専門部会の Q&A B-2-14(2011 年 7 月制定、2016 年 7 月改訂)は次のように答えています。トルシア形は建築と土木(橋梁)とで規格の内容が違い、たとえばすべり係数の取り方は土木 μ=0.40、建築 μ=0.45 で、それぞれの立場で使われているので、統一規格にすることは現状では難しいようだ。 そして建築基準法では、指定建築材料として、JIS 適合品の代わりに「メーカー毎に国土交通大臣の一般認定を得たもの」が使えることになっている。同じ Q&A には、高力ボルト協会のホームページから引いた表があり、S10T の大臣認定を受けたメーカー 8 社と認定番号 10 件が並んでいます。当サイトは、このあと読む二冊の帳簿で、この 10 件の番号がすべて載っていることを確かめました(番号の掲載を確かめただけで、現在の完全な一覧であることや、認定がいまも有効であることを示すものではありません)。

溶融亜鉛めっき高力ボルト F8T にも似た記述があります。鋼橋技術研究会の調査報告は、トルシア形高力ボルト(S10T)と溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T)はどちらも日本規格協会による規格化がされておらず、前者は各協会の基準が適用され、後者は JIS B 1186 を準用していると書いています。 当サイトの溶融亜鉛めっき高力ボルト:トルク係数値は全数が規定内、それでも道示はナット回転法で引いた 2020 年の論文も、めっき F8T は JIS B 1186 の規定値を準用し、各社が国土交通大臣の「認可」を受けて販売していると書いています(論文の用語で、建築基準法上の制度の名称は「認定」です)。 どちらも橋梁の分野の資料です。JIS B 1186 本文の 11 節(潤滑及び防せい処理)は読めていません(公開プレビューは 3 節の冒頭まで)。ここで確かめたのは、引用した資料が扱う製品についての記述で、すべてのめっきボルトが一号に当たらないという一般的な判断を示すものではありません。 以下では、37 条二号に関する品質の技術的基準を紹介します。個々の製品に適用される認定は、認定書と別添による確認が必要です。

二つ目の道:まず基準を定め、それを守れる工場であることを示す

告示の第三は、二号の技術的基準を六つの号に分けています。別表第二の品質基準に適合すること、別表第三の検査が行われていること、品質基準に適合するように製造、運搬、保管がされていること、検査設備が必要な精度と性能を持つこと、品質管理、そしてそのほかの技術的生産条件です。 別表第二は「高力ボルト及びボルト」に七つの品質基準を挙げていて、書き方はほぼすべて「基準値が定められていること」です。

告示第 1446 号 別表第二「高力ボルト及びボルト」の欄(要約)
号定めるべき品質基準測定方法等(要約)
一ボルトセットの構成(別の定めなし)
二各構成材の降伏点または 0.2% 耐力、引張強さ、伸び、絞り、硬さ、シャルピー吸収エネルギー(衝撃特性等を必要としない場合は定めなくてよい。引張試験片の採取が難しい場合は硬さ)。製品試験で最小荷重未満で破壊せず、さらに荷重を増しても想定した破壊箇所以外で破壊せず、保証荷重のもとで想定した箇所以外に異常や永久変形が生じないこと引張 JIS Z 2201/Z 2241、衝撃 Z 2202/Z 2242、硬さ Z 2243/Z 2244/Z 2245。製品試験は JIS B 1186-1995 の 11.1、JIS B 1051-2000 の 8.
三主成分と固有の性能を発揮する化学成分の含有量構造用鋼材の欄と同じ方法
四形状・寸法限界ゲージまたはこれと同等以上の測定器具
五焼割れ、構造耐力上有害な傷、かえり、錆、ねじ山のいたみ、著しい湾曲等の欠点がないこと。必要に応じて表面粗さ表面粗さ標準片または触針式表面粗さ測定機と目視(2023 年に「目視等」へ改正)。原表には浸透探傷と磁粉探傷が並ぶ。ねじの外観はねじ用限界ゲージ
六めっきを施す場合は、組成と付着量JIS H 0401-1999 の 4. の付着量試験方法、またはこれと同等以上
七必要に応じて、耐久性、疲労特性、高温特性、軸力を導入する場合のセットのトルク係数値、リラクセーション特性塩水噴霧 JIS Z 2371、疲労 Z 2273、高温 G 0567。トルク係数値は JIS B 1186-1995 の 11.2。リラクセーションは Z 2271、Z 2276

第二号、第五号、第七号では、同等以上の測定や検出ができる方法も認められています。この表は、どの製品についても軸力やめっきの付着量をいくつにするかを決めていません。求めているのは、申請者が挙げられた品質の項目ごとに基準を定め、指定の方法かそれと同等以上の方法で測ることです。具体的な内容は認定書と別添を確かめる必要があり、帳簿には載っておらず、当サイトも読んでいません。 続く別表第三が検査のしかたを決めています。二号から七号までは上の表の方法で行い、組成は資材の受入時に納品書、検査証明書または試験証明書などの書類で検査し、機械的性質の抜取検査方式は JIS Z 9003-1979(計量規準型一回抜取検査)によります。

第三の後半は工場についての基準です。製品と資材の品質・検査・保管、工程ごとの管理項目と方法、製造設備と検査設備、外注管理、苦情処理について、社内規格が具体的かつ体系的に整っていること。 そして製造部門から独立した権限を持つ品質管理推進責任者を置き、製品の品質基準への適合性の承認や出荷の承認などを担わせること。その人は製造に必要な技術の知識と実務経験を持ち、大学や高専などの工学の課程で品質管理の科目を修めて卒業したか、それに準ずる講習を修了していることが求められます。 第三の 2 項にはもう一つの道もあり、「製品の品質保証の確保及び国際取引の円滑化に資すると認められる場合」には、JIS Q 9001(2000 年版)への適合によることができます。ただし 1 項の一号から四号、五号イ(2)、六号ロにも適合し、社内規格と製品の検査・保管も規格等に沿って整える必要があり、ISO の認証書だけで足りるわけではありません。 2023 年の改正は 1 項にただし書を加え、特別な調査または研究の結果に基づき同等以上と認められる場合はこの限りでない、としました。大臣認定そのものを不要にするものではありません。

手続きの面では、GBRC の 2020 年の情報誌が、二号の認定を受ける際には平成 27 年国土交通省告示第 1164 号に基づく工場の実地確認が事前に求められる場合があり、認定取得後も 3 年に 1 回の定期的な性能確認が求められる場合があると書いています。どちらも原文は「場合があります」です。 当サイトは、二つ目の道を、製品の品質基準と、その品質を維持する製造・検査・管理の条件をあわせて確かめる仕組みだと理解しています。では、そうした認定は帳簿の上でどう並んでいるのでしょうか。

帳簿の 270 件:トルシア形関連 84 件、アンカー関連 81 件

国土交通省は施行規則 10 条の 5 の 22 に基づき、認定の名称、認定を受けた者、認定番号、認定年月日、性能評価を行った機関を「構造方法等の認定に係る帳簿」に載せています。「高力ボルト及びボルト」の認定記号は MBLT です。 当サイトは 2026 年 10 月 15 日に二つの PDF を取得しました。認定日 2000 年 4 月 1 日から 2013 年 3 月 31 日までのもの(106 ページ)と、2013 年 4 月 1 日から 2023 年 4 月 30 日までのもの(66 ページ)です。MBLT のページの各行をレイアウトの座標からプログラムで読み出し、目で照合したうえで、品名と商品名で暫定的に分類しました。

国土交通省の認定帳簿の MBLT 掲載項目数(当サイトが品名で暫定分類、2026-10-15)
区分(品名による)2000-04〜2013-032013-04〜2023-04計
トルシア形関連(品名にトルシア形またはその商品名を含む)533184
めっきまたは防錆処理付きの高力ボルト関連(トルシア形と風力用を除く)311748
アンカー関連(品名にアンカーを含み、風力用を除く。アンカー用ナット 1 件を含む)384381
風力発電設備支持物用(アンカーボルトのセット 2 件を含む)549
その他(ワンサイドボルト、住宅メーカー専用の 4.8 と 10.9 のボルトセット、超高力、太径、皿ばねボルトセットなど)301848
計157113270

トルシア形関連は 84 件で 270 件の約 31%、最も多い区分で、アンカー関連の 81 件が続きます。一冊目のトルシア形関連 53 件のうち 6 件は溶融亜鉛めっきまたは防錆処理を伴い、二冊目では 31 件のうち 1 件です。 二冊目ではアンカー関連のほうが多く、2013 年以降はトルシア形関連 31 件、アンカー関連 43 件です。この 84 件には商品名、特殊トルシア形、超高力のトルシア形なども含まれ、すべてを S10T とは呼べません。

この表の読み方にはいくつかの限界があります。数字は掲載された項目の数で、いま有効な認定、製品、メーカーの数ではありません。国土交通省のページは、帳簿の記載は認定を受けたときの情報であり、同じ申請者が同様の認定を受けたことで過去の認定が廃止されている場合があり、整備中で載っていないものもある、と注記しています。 一冊目では MBLT-0050 と MBLT-0052 の二つの番号がそれぞれ二つの別の製品に印字されており、当サイトはそれぞれ 1 件と数えたので、一冊目は 157 件、155 番号です。二冊目には MBLT-9046-1、MBLT-0098-1、MBLT-0036-1 の三つの枝番付き番号があり、認定日は 2021 年です。一冊目には対応する枝番なしの番号 MBLT-9046、MBLT-0098、MBLT-0036 が載っています。帳簿は枝番の意味を説明しておらず、番号だけでは両者の認定上の関係は確認できません。 枝番のない 9001 から 9050 の番号はすべて 2002 年 5 月の日付で、帳簿はこの番号帯の意味も説明していません。国土交通省のページの最終更新日は 2023 年 3 月 1 日なのに、二冊目の PDF の表題は 2023 年 4 月 30 日までとなっていて、二つの日付は一致しません。 区分は当サイトが品名のキーワードで判断したもので、風力用を最優先し、次にアンカー、トルシア形、めっきの順に振り分けています。品名に形式が書かれていないものは誤って分類している可能性があります。当サイトの最初の読み出しは枝番付きの三つの番号を落としており、照合の段階で加えました。

品名からは細かな点も読み取れます。品名に工場名を入れた認定があり、たとえば同じアンカーボルトのセットが工場ごとに 1 件ずつ、同じ住宅メーカーのボルトセットが三つの工場ごとに別々に認定されています。二つの申請者が一つの番号を共同で受けている例もあります。 工場ごとの番号は第三の工場についての基準と符合しますが、なぜ番号を分けたのかは帳簿に説明がなく、これは当サイトの推論です。

輸出する側として持ち帰れる三つのこと

以下は当サイトの読み方で、法律上の助言ではなく、告示が海外の供給者向けに書いた指針でもありません。

  1. そのボルトが日本の建築物のどこに使われ、どちらの根拠によるのかを先に確かめる。37 条が対象とするのは基礎、主要構造部、施行令 144 条の 3 の部分で、日本で使われるすべてのボルトではありません。買い手が求めるのがどの JIS(と何年版)への適合なのか、どの MBLT 番号の認定品なのかを、見積依頼の段階で確かめておくほうが、後から書類をそろえるより確実です。
  2. 外形が同じというだけでは、認定の適用は確認できません。帳簿で確認できるのは取得者、名称、番号などで、認定書と別添の内容は載っておらず、その代わりにもなりません。供給する製品が認定の範囲に含まれるかは、認定取得者、性能評価機関、関係する審査機関などに確かめる必要があります。
  3. 高力ボルトだけではない。同じ告示は、ターンバックル、用途を限ったタッピンねじとドリルねじ(指定 JIS は B 1055-1995 または B 1059-2001)、打込み鋲も対象としています。指定規格と品質基準は区分ごとの確認が必要です。当サイトが読んだ別表第一には、打込み鋲の指定 JIS は載っていません。

このページで言えないこと

このページは法律上の助言ではなく、どのボルトがどの建築物で適法に使えるかを判断するものではありません。また、どのメーカー(当サイトを含む)が JIS マーク表示認証や大臣認定を持っているかも判断しません。 当サイトが読んだのは、建築基準法 37 条、施行令 144 条の 3、告示第 1446 号の国土交通省の整理版(2017 年改正まで)、2018 年告示第 1098 号と 2023 年告示第 1206 号の原文、2019 年の技術的助言です。告示のほかの改正は原文を条ごとに読んでいないため、上に挙げた JIS の年、ただし書、品質基準が現行のものだとは保証できません。 JIS B 1186 は日本規格協会の公開プレビューの本文 1 ページ目(3 節の冒頭まで)しか読めておらず、JSS II 09 は読んでいません。「JIS マークは要件ではない」という一文は、GBRC が『2015 年版 建築物の構造関係技術基準解説書』を引いたものです。個別の案件で必要となる適合性の資料は、設計者や確認審査機関などに確認してください。このページは判断しません。 帳簿の件数は、当サイトが PDF を一行ずつ読み、品名で暫定分類した結果で、国土交通省の統計ではなく、いま有効な認定の数でもありません。個々のメーカー名は挙げていません。風力発電設備支持物用のボルトセットがなぜこの認定に入っているかは確認していません。土木・橋梁の基準はこのページの範囲外です。

この記事は手順 6、書類を扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。

よくある質問

日本の建築に使う高力ボルトには、必ず JIS マークが必要ですか?

37 条の対象で、告示第一のただし書による除外に当たらない場合、道は二つで、告示が指定する JIS に品質が適合するか、品質に関する技術的基準への適合について国土交通大臣の認定を受けるかです。GBRC は『2015 年版 建築物の構造関係技術基準解説書』を引き、法が求めるのは JIS マークの付いた材料ではなく、指定 JIS の性能や品質に関する内容への適合だとしています。個別の案件で必要となる適合性の資料は、設計者や確認審査機関などに確認してください。このページは判断しません。

日建連の 2016 年 Q&A は、トルシア形高力ボルト(S10T)が JIS 規格化されていない理由をどう説明していますか?

日建連の 2016 年改訂の鉄骨工事 Q&A B-2-14 は、トルシア形は建築と土木(橋梁)とで規格の内容が違い、たとえばすべり係数は土木 μ=0.40、建築 μ=0.45 で、当時、統一は難しいようだと説明しています。建築基準法では、JIS 適合品の代わりにメーカーごとに大臣の一般認定を得たものが使えます。JIS B 1186 の範囲は六角頭の摩擦接合用セットで、一般的な丸頭にピンテールの付くトルシア形は入りません。いずれも 37 条の対象となる部分の話です。

告示が指定する JIS B 1186 は何年版ですか?

当サイトが読んだ告示第 1446 号の国土交通省の整理版(2017 年改正まで)は JIS B 1186 の 1995 年版を挙げています。JIS B 1186 には 2013 年版があります。原文を確認した 2018 年と 2023 年の改正はこの年を変えていません。2019 年はコンクリートの変更を説明する技術的助言だけを読み、改正告示の全文は確認していません。ほかの改正は条ごとに読んでいないので、現行の告示がいまも 1995 年版を挙げているとは保証できません。

大臣認定の帳簿に、ボルトの認定は何件ありますか?

国土交通省の公開の「構造方法等の認定に係る帳簿」二冊(認定日 2000-04-01〜2013-03-31 と 2013-04-01〜2023-04-30)で、MBLT(高力ボルト及びボルト)の掲載項目は計 270 件でした。当サイトの品名による暫定分類では、トルシア形関連 84 件、アンカー関連 81 件、めっきまたは防錆処理付きの高力ボルト関連 48 件、風力発電設備支持物用 9 件、その他 48 件です。風力用のアンカーボルトのセットは風力の区分だけで数えています。これは過去の掲載項目の数で、いま有効な認定の数ではありません。

参考資料

条文は 2026-10-15 に e-Gov 法令 API で取得した建築基準法 37 条と施行令 144 条の 3 によります。告示は国土交通省サイトの告示第 1446 号の整理版(平成 29 年告示第 33 号による改正まで)、平成 30 年告示第 1098 号と令和 5 年告示第 1206 号の原文、令和元年 5 月 16 日の技術的助言によります。帳簿の件数は、当サイトが 2026-10-15 に二つの PDF を取得し、レイアウトの座標から各行を読み出し、枝番を含む完全な認定番号で、品名と商品名により暫定分類した結果です(風力用を最優先し、次にアンカー、トルシア形、めっき)。同じ番号が二つの製品に印字されている場合はそれぞれ 1 件と数えています。JIS B 1186 は日本規格協会のプレビューの本文 1 ページ目(3 節の冒頭まで)のみ読んでいます。日建連 Q&A のメーカー 8 社の表は高力ボルト協会のホームページからの引用で、当サイトは番号が帳簿に載っているかだけを照合しました。「JIS マークは要件ではない」ことと、実地確認・定期確認の二点は、GBRC の情報誌が公式の解説書と告示を引いた記述によります。「輸出する側として持ち帰れる三つのこと」は当サイトの読み方で、法律上の助言ではありません。

お問い合わせ

お見積りのボルトを日本の建築物に使う場合は、使用部位と、買い手が指定する規格(JIS の番号と年版、または認定品の認定番号)もお知らせください。法令の適用条件と必要な書類は、買い手から日本の設計者、確認審査機関、所管行政庁などに確認してください。

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