ノギスは軸線に当てられない。そして、それは小さいほうの問題である
ブラケットを設計している人が、二つのタップ穴 M3 の中心距離を、位置合わせの誤差を入れずにどう実測するかと尋ねた。賛成百三十三、返信百三十七で、その多くは技法の話だった。その問いの下の層だけを扱う規格があり、そこに書かれていることは居心地がよくない。この種の寸法に ± 公差を与えると、実際の部品の上では曖昧であり、規格はそれを推奨しない。
ISO 14405-2:2018 の第 4 項。 「長さサイズまたは角度サイズ以外の寸法については、 ± 公差による要求は、実際の工作物に適用したとき曖昧である(仕様の曖昧さ)。 この種の指定は推奨されない。」 二つの穴の軸線のあいだの中心距離は、まさにその種の寸法である。 どう測るかという問いの前に、その数値が何を意味するのかという問いがある。
この頁は測定技法を示さない。 その部品を持っていないし、自前の測定値もないし、 当のスレッドにはすでに治具についての意見が百三十七件ある。 足せるのは規格が占めている層である。 中心距離がどういう種類の寸法なのか、そして それを扱う文書がなぜ全編を通して 「ふつうの書き方」は誤りのほうだと論じているのか。
サイズと距離は別のもの
規格は、日常語がひとまとめにしている二語を分ける。 第 3.2 項は長さサイズを 「サイズ形体を特徴づける、長さ単位の寸法」と定義する。 第 3.4 項は距離を 「サイズ形体とはみなされない二つの幾何形体のあいだの寸法」と定義する。
続く注記がこの問いに効く。 「距離は、二つの実体形体のあいだ、 実体形体と誘導形体のあいだ、または二つの誘導形体のあいだにありうる。」 三つの場合があり、三つめが掲示板の場合である。
実体形体は面であり、プローブが触れるものだ。誘導形体はそうではない。 本サイトはこの読みを別の文書から立てた。 一般公差が穴の位置を押さえられない理由 を見たときである。ここでもう一度言っておく価値がある。それは当方の読みだ。 どちらの規格も「穴の軸線は誘導形体である」とは書いていない。 ISO 14405-2 が述べるのは、距離が二つの誘導形体のあいだにありうること、 そしてそうした距離はサイズではないこと、である。
つまりノギスは、うまく測れない以前に、違う種類のものを測っている。 それは二点間サイズのための器具であり、 部品の上に、その間隔が中心距離になるような二点の組は存在しない。
規格がそれを曖昧と呼ぶ理由
序文が一文で理由を与えており、それは器具の話ではまったくない。
「長さサイズまたは角度サイズ以外の寸法については、 その要求は実際の工作物に適用したとき曖昧である。 これらの要求を曖昧にしているのは、 すべての実際の工作物に存在する形状偏差と角度偏差である。 すなわち仕様の曖昧さが存在する。」
実際の部品の二つの穴は完全な円筒ではなく、その軸線も平行ではない。 だから両者のあいだのその距離は、見つかるのを待っている一つの数値ではない。 穴のどこを見るか、不完全な内面にどうやって軸線を当てはめると決めるかで変わる。 曖昧さは仕様の側にあって器具の側にはない。 よいノギスを買っても消えないのはそのためだ。
規格は逃げ道が狭いことを明言する。 「この仕様の曖昧さは、サイズ形体についてのみ避けられる」。 ISO 14405-1 または ISO 14405-3 に従って公差を与えたものである。 「それ以外のすべての寸法については、幾何特性仕様を用いるべきである。」 第 4 項は助言よりも強く、表 1 の場合には幾何特性仕様を用いなければならないとする。
そしてこの曖昧さは、公差を書かずに標題欄に任せても消えない。 適用範囲は一般公差を名指しし、この曖昧さが 「個別公差および、たとえば ISO 2768-1 による一般公差」 にも当てはまると述べている。 それは本サイトが もう半分が廃止されている と確かめたあの規格の、生き残っているほうの半分だ。
十一行、そのうち一行はどこも指していない
表 1 の題は「サイズではない寸法の種類」で、これは目録である。 サイズでない寸法の種類ごとに一行があり、 いくつの形体が関わるか、それらが実体か誘導か、 その寸法の種類の名前、そしてそれを扱う細分項への案内が並ぶ。
当方の数えで十一行ある。十行はどこかを指している。 十一行めは二つの誘導形体のあいだの角度距離で、 その案内欄にはダッシュが入っている。
| 形体 | 寸法の種類 | 詳細 |
|---|---|---|
| 実体と実体、同じ向き | 長さ距離または段差 | 7.2、A.2 |
| 実体と実体、逆向き | 長さ距離 | 7.2、7.6、A.3、A.8 |
| 実体と誘導 | 長さ距離 | 7.3、7.7、A.4、A.9 |
| 誘導と誘導 | 長さ距離 | 7.4、A.5 |
| 実体と実体 | 角度距離 | 8.1、および他の三規格 |
| 実体と誘導 | 角度距離 | 8.2、A.10 |
| 誘導と誘導 | 角度距離 | – |
十一行のうち七行。残りは半径、円弧長さ、面取り、エッジの丸みを扱う。
二つのタップ穴の中心距離は上の四行めである。 二つの誘導形体のあいだの長さ距離で、第 7.4 項が扱う。 その第 7.4 項は、読んだ無償試読分の外にある。 試読分は二十二ページ中の印刷五ページ目で止まる。 だからこの頁は推奨される指示がどう見えるかを示せないし、示そうともしない。 言えるのは、この場合には細分項があり、 同じ場合の角度版にはないということだ。
単位の項がそっと前提していること
第 5 項は三行しかないが、目に留める価値のある非対称がある。 長さ寸法の既定単位はミリメートルで、 「長さ寸法については、単位は表示しない。含意される」。 角度寸法の既定は度で、単位を表示しなければならない。 公称値にも公差の限界値にもである。 それ以外の単位は標題欄の中または近くに示すことになる。
つまり図面上の単位のない数値は、既定でミリメートルの長さであり、 角度のつもりで単位を付けなかった数値は、有効な指示ではない。 小さな規則だが、ここにある他のすべてと同じ族に属する。 図面は既定値をもつ言語であり、その既定値はどこかに書かれている。
第 4 項はもう一つ、落としやすい既定を加える。 機械図面の公差は独立した要求であり、 同じ形体に対する他の要求との関係をもたない。別段の指定がないかぎり。 規格はその「別段の指定」を二つ名指しする。 ISO 1101 の CZ と ISO 2692 の最大実体要求である。 どちらも読んでおらず、ここでは説明しない。
二つの版と、初版が置き換えたもの
2011 年の初版の表題は「長さサイズ以外の寸法」だった。 2018 年の第二版の表題は「長さサイズまたは角度サイズ以外の寸法」である。 前書きが変更を挙げる。ISO 14405-3 を反映して角度サイズを加えたこと、 仕様の曖昧さについての説明を明確にしたこと、 そして引用規格の更新である。
もっと面白い一行は旧版の前書きにある。 「ISO 14405-2 のこの初版は ISO 406:1987 を取り消して置き換える。」 いま二十二ページを費やして「± 公差は曖昧である」と説明している文書が、 かつて図面に ± 公差をどう書くかを教えていた文書の位置に入った。
この主題のこの一角の歴史は、その一文に収まっている。 古いやり方が禁じられたのではない。 同じ委員会が、番号の同じ枠で、 「やり方」を「そのやり方に定義された意味がない場合の説明」に置き換えたのである。
二つの M3 穴に戻る
掲示板の問いは技法についてのもので、技法についての答えは間違っていない。 誰かがそのブラケットを作らなければならない。 ただし規格は、その測定が何のためかを組み直す。
- 中心距離は距離であってサイズではないので、サイズを測る器具はどれも直接には届かない
- ± で書かれた要求は、実際の部品の上では曖昧である。実際の穴には形状偏差と角度偏差があるからだ。それは仕様の性質であってノギスの性質ではない
- 一般公差も救わない。適用範囲は ISO 2768-1 を、当てはまる場合のひとつとして名指しする
- 規格の答えは、代わりに幾何特性で指定することである。しかも表の場合については「べき」ではなく「ならない」を使う
以上のどれも、ノギスの持ち方を教えてはいない。 しているのは説明である。 なぜ、注意深い二人が同じ穴の対を測って、 二つの異なる数値を得て、しかも二人とも正しくありうるのか。 食い違いは図面の側にあり、 どちらかが器具を手に取る前からそこにあった。
持ち帰る点
- サイズはサイズ形体を特徴づける。距離はサイズ形体でない二つの形体のあいだを走る。別の語、別の規格
- 距離は実体と実体、実体と誘導、誘導と誘導のいずれでもありうる。二つの穴の軸線は三つめ
- サイズでないどの寸法も、± 公差は実際の工作物の上で曖昧であり、規格はそれを推奨しない
- 理由は形状偏差と角度偏差で、実際の部品はすべてそれを持つ。よい器具では消えない
- 一般公差も救わない。適用範囲がそれを名指しする
- 表 1 は十一行あり、そのうち一行は詳細の行き先を持たない。二つの誘導形体のあいだの角度距離である
- この規格の初版は ISO 406:1987 を置き換えた。± 公差の書き方を教えていた文書である
- 幾何特性の指示例は示していない。誘導と誘導の場合の細分項が無償試読分の外にあるからだ
問いは「どう正確に測るか」だった。 その寸法を所管する文書は、誰も尋ねなかった問いに先に答える。 測られているものに一つの値があるのかどうか、である。 二つの実際の穴をもつ実際の部品では、ふつうの書き方をするかぎり、ない。
この記事は手順 6、書類を扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。
よくある質問
中心距離はなぜサイズではないのですか。
ISO 14405-2 は長さサイズをサイズ形体を特徴づける寸法と定義し、距離をサイズ形体とはみなされない二つの幾何形体のあいだの寸法と定義します。中心距離は二本の軸線のあいだを走り、軸線はサイズ形体ではないので、後者に入り、別の規則が当てはまります。
ノギスで二つの穴の中心間距離は測れますか。
直接には測れません。部品の上に、その間隔が中心距離になる二点の組がないからです。この頁は測定技法を示しません。規格のより大きな論点は、実際の工作物では要求そのものが曖昧だということで、よい器具はそれを決着させません。
規格はなぜ ± 公差を曖昧と呼ぶのですか。
序文は、これらの要求を曖昧にしているのはすべての実際の工作物に存在する形状偏差と角度偏差だと述べます。実際の穴は完全な円筒ではなく軸線も平行ではないので、両者の距離は軸線をどう当てはめるか、穴のどこを見るかで変わります。
それは個別公差だけの話ですか。
いいえ。適用範囲は、この曖昧さが個別公差にも、たとえば ISO 2768-1 による一般公差にも当てはまると述べます。公差を標題欄に任せても曖昧さは消えません。
では規格は何をせよと言っていますか。
幾何特性仕様を使うことです。序文はサイズ以外のすべての寸法について幾何特性仕様を用いるべきだと述べ、第 4 項は表 1 の場合について「用いなければならない」とします。この頁は指示の例を示しません。二つの誘導形体のあいだの距離を扱う細分項が、読んだ無償試読分の外にあるからです。
表 1 には何がありますか。
サイズでない寸法の目録で、当方の数えで十一行あります。半径、円弧長さ、四種類の長さ距離、面取りの高さと角度、エッジ半径、そして三種類の角度距離です。各行は扱う細分項を指しますが、一行だけ例外があります。
行き先のない行はどれですか。
二つの誘導形体のあいだの角度距離です。その詳細欄にはダッシュが入っています。二つの誘導形体のあいだの長さ距離、つまり中心距離の場合は、第 7.4 項を指しています。
図面の数値に単位は要りますか。
長さ寸法の既定はミリメートルで、第 5 項は単位は表示せず含意されると述べます。角度寸法の既定は度で、単位は公称値にも公差の限界値にも表示しなければなりません。それ以外の単位は標題欄の中または近くに示します。
この規格は何を置き換えましたか。
2011 年の初版の前書きは、ISO 406:1987 を取り消して置き換えると述べています。2018 年の第二版は 2011 年版を置き換え、ISO 14405-3 を反映して角度サイズを加え、仕様の曖昧さの扱いを明確にしました。
参考資料
- ISO 14405-2:2018、製品の幾何特性仕様(GPS)、寸法公差、第 2 部、長さサイズまたは角度サイズ以外の寸法。第二版、22 ページ、ISO/TC 213。前書き、序文、第 1 から 6 項および表 1 を公開試読分から読んだ
- ISO 14405-2:2011、廃止された初版。ここでは表題と前書きの比較にのみ用いた
- r/3Dprinting、二つのタップ穴 M3 のあいだをどう測るかという問いが百三十七件の返信を集めた場所
両版とも公開試読分から読んだ。試読分は二十二ページ中の印刷五ページ目まで、およそ四分の一である。第 7.3 項と 7.4 項(実体と誘導のあいだ、および二つの誘導形体のあいだの距離)、第 7.5 から 7.7 項、第 8 項、二つの附属書は試読分の外にある。この頁に幾何特性仕様の例は示しておらず、この頁から推定してもならない。目録情報はブラウザで ISO 自身の頁を読んで得た。第二版、2018 年 12 月、二十二ページ、ISO/TC 213、ICS 17.040.10、現行、段階 90.93、2024 年に確認、廃止された 2011 年の初版に代わるもの。この頁は測定技法も治具の助言も与えない。掲示板の写真の部品は手元になく、自前の測定も行っておらず、プリンタの製造者名も型式も書かない。次の各項は当方の数えまたは読みであり、規格の記述ではない。表 1 が十一行であるという計数と、そのうちちょうど一行の詳細欄がダッシュであるという観察、そして試読分が全体のおよそ四分の一を占めるという計算である。穴の軸線が誘導形体であることは、本サイトが別の規格から立てた読みであり、ここでも読みとして繰り返しているのであって、ISO 14405-2 の記述ではない。同規格が述べるのは、距離が二つの誘導形体のあいだにありうることだけである。ISO 14405-1、ISO 14405-3、ISO 1101、ISO 2692、ISO 8015、ISO 8062-3、ISO 2768-1、ISO 17450 群、ISO 406 はこの規格が引用しているが読んでいない。CZ と最大実体要求は規格が名指ししているもので、ここでは説明しない。表 1 と第 4 項は、抽出テキストではなく印刷頁を描画した画像と照合した。読んだのは投稿本体であって返信ではない。
お問い合わせ
図面の穴群が中心間を ± 寸法で指定しているなら、 それは検査のあとではなく見積りの前に一度話す価値があります。 注意深い二人が違う値を出して、どちらも筋が通ることがあるからです。 その穴群がどの形体に合わなければならないかをお知らせください。 それに対して何を保証できるかをお伝えします。