「JIS の六角ボルト」は一つではありません:規格の中に、ISO によらないボルトの規定附属書があります
前回、JIS B 1176 が自分を MOD と記していることを読みました。
同じ経路で六角ボルトの規格を開くと、もっと直接的なものが出てきます。
一つの規格の中に、二つの族が入っています。 およそ 6 分。
JIS B 1180:2014 の目次に、附属書 JA があります。表題はこうです—— 「ISO 4014〜ISO 4018、ISO 8676 及び ISO 8765 によらない六角ボルト」。
⚠️⚠️ そしてそれは(参考)ではなく(規定)です。 同じ規格の附属書 JB は(参考)と書かれているので、 この規格は自分の中で二つを区別しています。 ISO によらない六角ボルトは、この規格の規定の一部です。
規格自身が、なぜそれがそこにあるのかを書いています
序文の該当箇所を逐語で写します。
「また、我が国における生産・使用の実態を反映するため、 ISO 規格によらない六角ボルトの特性を附属書 JA に示す。」
つまり過去の遺物として残されているのではなく、 日本で実際に作られ使われているものを反映するために置かれています。 第 1 章もそれを規定として繰り返します—— 「なお、ISO 4014〜ISO 4018、ISO 8676 及び ISO 8765 によらない六角ボルトは、 附属書 JA による。」
⚠️ ですから図面に「JIS B 1180」とだけあるとき、 それが本体の側なのか附属書 JA の側なのかは、その番号からは決まりません。 これは ISO 4014 と書いてある図面には無い曖昧さです。
⚠️ このページが書かないこと
附属書 JA は第 55 ページから第 68 ページ。 私が読めた無料プレビューは第 2 章の冒頭で止まっているので、その 14 ページは一行も読んでいません。
⚠️⚠️ よく言われるのは「二つの族は対辺寸法が違う」ということですが、 私はその箇所を読んでいません。 ですからこのページは、対辺の値も、どちらが大きいかも、 どの呼び径で違うのかも書きません。
ここで言えるのは三つだけです。その附属書が存在すること。それが規定であること。 そして規格自身が、それがそこにある理由を述べていること。 実際の寸法が要るときは、規格そのものを見てください。
本体の側は、七つの ISO を一体化したもの
序文が挙げている基礎は七つです。
| 規格 | 版 | 表題 |
|---|---|---|
| ISO 4014 | 2011、第 4 版 | Hexagon head bolts — Product grades A and B |
| ISO 4015 | 1979、第 1 版 | Product grade B — Reduced shank |
| ISO 4016 | 2011、第 4 版 | Hexagon head bolts — Product grade C |
| ISO 4017 | 2011 | Hexagon head screws — Product grades A and B |
| ISO 4018 | 2011 | Hexagon head screws — Product grade C |
| ISO 8676 | 2011、第 3 版 | Hexagon head screws, metric fine pitch |
| ISO 8765 | 2011、第 3 版 | Hexagon head bolts, metric fine pitch |
⚠️ ISO 4015 だけが 1979 年の第 1 版で、2014 年の JIS がそれを基礎の一つにしています。 七つのうち六つは 2011 年版で、一つだけ三十年以上前のものです。
そして第 1 章の注記は、対応の程度を(全体評価:MOD)とし、 MOD は ISO/IEC Guide 21-1 にもとづき「修正している」ことを示す、と続けます—— 前回と同じ形です。
ただし、線が意味していることは前回と違います
二つの規格の序文を並べると、同じに見えて同じではありません。
| 規格 | 序文の言い方 |
|---|---|
| JIS B 1176 | 下線の箇所と附属書 JA・JB は、対応国際規格にはない事項 |
| JIS B 1180 | 下線の箇所は、対応国際規格を変更している事項 |
⚠️ 一方は「国際規格に無いもの」、もう一方は「国際規格を変えたもの」。 片方の読み方をもう片方に持ち込まないでください。 どちらの規格でも、変更の一覧と説明は対比表の附属書に置かれています (B 1176 では JC、B 1180 では JB)。
そしてここでも、寸法の外は別のところにあります
第 1 章にこうあります。この規格で規定する寸法及び製品仕様以外の要求がある場合には、 受渡当事者間の協定によって、例えば JIS B 0205-4、JIS B 0209-1、JIS B 1003、JIS B 1009、JIS B 1021、JIS B 1051 及び JIS B 1054-1 から選択する。
⚠️ この一覧は B 1176 の一覧と同じではありません。 向こうは B 0205-2、B 0209-2、B 1009、B 1021、B 1051、B 1054-1、B 1057 でした。 重なっているものもあれば、片方にしかないものもあります。 一方の規格で覚えた一覧を、もう一方に使い回さないでください。
適用範囲そのものは鋼製、ステンレス製及び非鉄金属製の六角ボルトです。 規格が終わるところで扱った型が、ここでも繰り返されています。
発注のときに効くこと
- 「JIS B 1180」だけでは、本体か附属書 JA かが決まりません。どちらなのかを書いてください
- 日本の図面から ISO 側へ読み替えるときは、まずどちらの族かを確かめてください。本体の側なら対応する ISO が七つのうちのどれかにあり、附属書 JA の側なら対応するものはありません——それが附属書の定義だからです
- ⚠️ ボルトとねじが同じ規格に入っています。表題は Hexagon head bolts and hexagon head screws で、基礎の七つも ISO 4014/4016/8765(ボルト)と ISO 4017/4018/8676(ねじ)に分かれています
- 寸法と製品仕様の外にあるもの——材質、強度区分、表面処理——は別に書く必要があります
参考資料と、どこまで読んだか
- JIS B 1180:2014《六角ボルト》Hexagon head bolts and hexagon head screws。 日本規格協会が公開しているプレビュー PDF(webdesk.jsa.or.jp の preview パス)。 ⚠️ 転載サイトは使っていません。
- ⚠️⚠️ 読んだ範囲:表紙、目次、序文、第 1 章(適用範囲と注記)、第 2 章の冒頭。 第 3 章(種類)、第 4 章(形状・寸法、製品仕様、及び製品の呼び方の例)、第 5 章(表示)、 附属書 JA の中身(第 55〜68 ページ)、附属書 JB、解説は読んでいません。 ですから附属書 JA と本体とで寸法がどう違うのかは、このページには書けません。
- ⚠️ 七つの ISO 規格の原文はこの回では読んでいません。 版と表題は、JIS の序文と第 1 章の注記が挙げているものです。
- ⚠️ B 1176 で読んだことをこの規格に持ち込んでいませんし、逆もしていません。 二つは MOD の理由が違い、下線の意味も違い、参照先の一覧も違います。
この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。
よくある質問
「JIS B 1180」と書けば、どの六角ボルトか決まりますか。
決まりません。この規格には附属書 JA があり、その表題は「ISO 4014〜ISO 4018、ISO 8676 及び ISO 8765 によらない六角ボルト」で、しかも(参考)ではなく(規定)です。第 1 章も、それらのボルトは附属書 JA による、と規定しています。ですから本体の側なのか附属書 JA の側なのかを、別に書く必要があります。ISO 4014 と書かれた図面には無い曖昧さです。
附属書 JA は古い規格の名残ですか。
規格はそう位置づけていません。序文は「我が国における生産・使用の実態を反映するため、ISO 規格によらない六角ボルトの特性を附属書 JA に示す」と述べています。つまり日本で実際に作られ使われているものを反映するために置かれており、しかも規定です。
本体と附属書 JA では寸法がどう違うのですか。
⚠️ このページには書けません。附属書 JA は第 55 ページから第 68 ページで、私が読めた無料プレビューは第 2 章の冒頭で止まっています。対辺寸法が違うとよく言われますが、その箇所を読んでいないので、値も、どちらが大きいかも、どの呼び径で違うのかも書きません。実際の寸法は規格そのものを見てください。
JIS B 1180 は ISO 4014 と同じですか。
第 1 章の注記は、対応国際規格として ISO 4014:2011、ISO 4015:1979、ISO 4016:2011、ISO 4017:2011、ISO 4018:2011、ISO 8676:2011、ISO 8765:2011 の七つを挙げ、(全体評価:MOD)としています。MOD は ISO/IEC Guide 21-1 にもとづき「修正している」ことを示します。七つを一体化した規格なので、「ISO 4014 と同じ」はその一つ分にしか対応していません。
寸法のほかに何を書けばよいですか。
第 1 章にこうあります。この規格で規定する寸法及び製品仕様以外の要求がある場合には、受渡当事者間の協定によって、例えば JIS B 0205-4、JIS B 0209-1、JIS B 1003、JIS B 1009、JIS B 1021、JIS B 1051 及び JIS B 1054-1 から選択する。⚠️ この一覧は JIS B 1176 の一覧とは違うので、片方で覚えたものをもう片方に使い回さないでください。
お問い合わせ
日本の図面で六角ボルトをご指定の場合は、本体規格の側か附属書 JA の側かをお知らせください。 番号だけでは決まらないのは、規格がその二つを両方とも規定しているからです。 材質、強度区分、表面処理は別に書いていただく必要があります—— それも規格の側がそう言っています。
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