用語規格は二条ねじを描いており、一般計画にはそれを書く場所がない
工学の質問サイトで、主要なボルトねじの規格がどれも一条であることに気づいた人が、なぜかと尋ねた。十二点、五つの回答。「なぜ」は設計上の議論で、この頁はそれに加わらない。できるのは、メートルねじが何でありうるかを決める二つの文書を開き、片方が二条ねじを定義して図まで載せているのに、もう片方はそれを置く場所のない表だと示すことである。
ISO 5408 の 2.10 は多条ねじを 「二条以上の条をもつねじ」と定義し、図 5 を指す。 その図の説明は「二条右ねじのおねじ」である。 一方 ISO 261、メートルねじの一般計画は、 呼び径とピッチの格子である。三つめの欄はない。
問いの出どころ。 本サイトがふだん使うブラウザの道具が今回も使えなかったので、 公開されている工学の質問サイトから、その開放された経路で問いを取った。 十二点、五つの回答。 読んだのは問いであって回答ではなく、この頁に利用者名は現れない。
質問者ははっきり書いている。どのねじの記述でも条数は基本的な性質として挙がるのに、 「主要なボルトねじの規格はどれも一条である」。 多条もありうる標準ねじを一つだけ見つけた、とも。 なぜかを説明するつもりはない。 その理由は設計上の論であり、文書には書かれていないからだ。ここでは文書を読む。
語はあり、図もある
円筒ねじの用語規格は、二つの語を並べて、しかも連番で置いている。
2.9 一条ねじ:条が一つだけのねじ(図 2、3、4 参照)。
2.10 多条ねじ:二条以上の条をもつねじ(図 5 参照)。
そして図 5 は実在する。二条右ねじのおねじの図で、 一条のものと同じ並びに置かれている。 つまりこの概念は用語から消えてもいないし、廃止されてもいないし、附属書に隠されてもいない。 定義があり、番号があり、図がある。
一般計画は二次元である
一般計画は、メートルねじが「注文できるもの」になる場所である。 その Table 2 は左に呼び径、上にピッチが並び、5.3 が使いかたを述べる。 「選定した直径(または直径範囲)について、対応する行に示されたピッチのうち一つを選ぶ。」
直径が一つ、ピッチが一つ。選択はそれで終わりで、 表には他を入れる三つめの欄がない。
これはこの文書についての観察であって、文書が述べる規則ではない。 一般計画は多条のメートルねじを禁じてはいない。 それを選ぶ手段を持たない、というのは別のことであり、 その違いが効いてくるのが次の節である。
この箇条まで来たついでに、もう二つ持ち帰る価値がある。 5.2 は、並目と細目という語は慣用に合わせて用いるものであり、 「しかしこれらの語に品質の概念を結び付けてはならない」と述べ、 並目のピッチとは現在の実務で用いられる最大のメートルピッチにすぎないとする。 そして 5.1 は「括弧に示されたピッチは可能なかぎり避ける」と加える。 本サイトが別の表の括弧付きの長さで 見つけたのと同じ、静かな格下げである。
表示の言語には書きかたがある
この頁の第一版への訂正である。 第一版は「一般計画から表示に至る経路のどこにも条数の欄はない」と書いた。 それは誤りだった。誤った理由は、表示を決める文書を当方が開いていなかったからである。 いま開いた。
公差規格の 5.2 は、通常のねじを、文字 M、呼び径、乗算記号、ピッチとして表示する。 おなじみの M8 × 1,25 である。 そして 5.3 が存在する。表題は多条ねじの表示。
「多条メートルねじは、文字 M、続いて呼び径の値、記号 ×、 文字 Ph とリードの値、文字 P とピッチの値、ダッシュ、 そして公差クラスによって表示しなければならない。」
例:M16 × Ph3P1,5 − 6H
「いっそう明確にするため、条数、すなわち Ph を P で割った値を、 語の形で括弧に入れて付け加えてもよい。」
例:M16 × Ph3P1,5(二条)− 6H
つまり言語のほうは完備している。リードが先、ピッチが後、 そして条数は前者を後者で割った値である。3 割る 1,5 は二。 次の箇条の左ねじの例では M14 × Ph6P2(三条)で、6 割る 2 である。 その割り算は当方のもの、例は規格のものである。
気づく価値のあることが二つ。この表示はリードから始まる。 一般計画が一度も触れない量が先頭に来て、ピッチが後になる。 そして規格は「二条」という語を、いっそう明確にするための任意の付加として示す。 読み手が Ph を P で一目では割らないかもしれない、と規格が静かに認めているわけである。
もとの論点のうち生き残る部分はもっと狭く、そしてなお正しい。 一般計画は直径とピッチの表であり、そこに二条目のための欄はない。 だから多条ねじを一般計画から選ぶことはできない。 書き下ろすことは何の問題もなくできる。 ただ、計画が差し出す選択肢のなかにはない、というだけである。
ねじに「一つの」リード角はない
二条目が何をするかを言う前に、ゆっくり読む価値のある定義がある。 用語規格はつる巻線のリード角を、正接がリードを円周で割ったものに等しい角として与える。 tan φ = Ph / πd。そして注記を加える。
「実際には、ねじ上のあらゆる点がそれぞれ自分のつる巻線をたどる。 それらのつる巻線は共通の軸、すなわちねじ軸をもち、リードも同じであるが、 リード角の正接は、そのつる巻線から軸までの半径方向の距離に反比例する。」
したがって「そのねじのリード角」というものは存在しない。 山の頂に一つ、有効径に一つ、谷底に一つあり、三つとも違う。 M8 × 1,25 を取り、公表された直径をその式に入れる。以下の計算は当方のものである。
- 山の頂、d = 8,000:正接 0,049 7、角度 2,85 度
- 有効径、d2 = 7,188:正接 0,055 4、角度 3,17 度
- 谷底、d3 = 6,466:正接 0,061 5、角度 3,52 度
両端の正接の比は 8 ÷ 6,466 = 1,237。 これはちょうど直径の比であり、まさに注記が要求するとおりである。 同じねじが谷底では山の頂より四分の一近く急に登っており、 単独で引かれるどの数値も「どこで測るか」の選択にすぎない。
並目の全系列が一度あまりの中に収まる
では系列の並目ピッチすべてについて、慣例どおり有効径で計算してみる。 直径は基本寸法表から、計算は当方のものである。
M3 3,41° M4 3,60° M5 3,25° M6 3,41° M8 3,17° M10 3,03° M12 2,94°
M16 2,48° M20 2,48° M24 2,48°
直径は八倍になるのに、角度は一・五倍にも満たない範囲、 2,48 度から 3,60 度のあいだしか動かない。 この系列が他に何であるにせよ、この量をほとんど動かさない系列である。
そして最後の三つはおおよそ等しいのではなく、等しい。 M16、M20、M24 のピッチはいずれも直径のちょうど八分の一である。 2 対 16、2,5 対 20、3 対 24。 有効径は呼び径からピッチの一定倍を引いたものなので、 ピッチ対直径の比を固定すれば有効径対ピッチの比も固定され、 正接は五桁まで同じになる。 これは当方の代数であり、三つの違うボルトが同じ角度で進む理由である。
二条目はその帯の外へ出る
倍になるのはリードである。 上の注記は、一つのねじのすべてのつる巻線が同じリードをもつと述べ、 リードの定義は「一点が一回転するあいだの軸方向の移動」である。 二条とは一回転あたりの軸方向移動が一ピッチではなく二ピッチだということで、 したがってその角の正接は倍になる。
M8 × 1,25 の有効径では正接が 0,110 7、角度は 6,32 度になる。 一条の並目全系列が占める帯、2,48 から 3,60 と比べてほしい。 二条の M8 は、計画に載るどの一条のサイズよりも急に登る。いちばん小さいものよりも、である。
これは幾何の言明であり、ここで止める。 そのねじがゆるむかどうかの主張に変えるには摩擦係数が要り、 この頁にはその出所がないので、その一歩は踏まない。 計算が示せるのはもっと狭く、もっと安全なことだ。 二条目はねじを少し調整するのではなく、 標準化された系列がそのなかに描かれていた範囲の外へ動かす。
誰も引かない上限
一般計画からもう一つ。図面に載ることのない種類の制限だからである。 表より細かいピッチが必要なら、使ってよいのは九つだけである。 3、2、1,5、1、0,75、0,5、0,35、0,25、0,2 ミリメートル。 そして警告が来る。表つきで。
「あるピッチについて、直径が大きくなるほど公差を満たすことが難しくなる。」 そこで Table 1 が、それぞれのピッチについて最大呼び径を与える。
0,5 → 22 0,75 → 33 1 → 80 1,5 → 150 2 → 200 3 → 300
それぞれをピッチで割る。当方の計算では 44、44、80、100、100、100。 ピッチ 1,5 以上では、規格は直径をピッチの百倍までに抑えており、 もっとも細かい二つはその半分にも満たないところに抑えられている。 表が自分では宣言していない形がそこにある。
持ち帰る点
- 用語規格は多条ねじを定義し、二条のものを図示している。概念は標準化されている
- 一般計画が選ぶのは直径とピッチだけ。その表に二条目の欄はなく、多条ねじをそこから選ぶことはできない
- ただし表示規格には書きかたがある。5.3 が M16 × Ph3P1,5 − 6H を与え、リードをピッチより前に書き、条数は任意で語として添えられる
- ねじに単一のリード角はない。あらゆる点が自分のつる巻線をたどり、角の正接は半径に反比例する
- M8 は山の頂で 2,85 度、谷底で 3,52 度。比は 1,237 で、これは直径の比である
- 並目の全系列は有効径で 2,48 から 3,60 度のあいだ。その間に直径は八倍動く
- M16、M20、M24 は同一の角度になる。ピッチが直径のちょうど八分の一だからである
- 二条目は正接を倍にし、M8 を 6,32 度、帯の外へ出す。それがゆるみにとって何を意味するかには、この頁が持たない摩擦の数値が要る
- 並目と細目に品質の意味はなく、どのピッチにも「どこまでの直径に使ってよいか」の上限がある
問いは、なぜ一条ねじがこれほど多いのか、だった。 文書から得られる正直な答えは、そもそも理由ではない。 メートルねじは軸が二つしかない表から選ばれ、 二条目はそのどちらの軸にも載っていない。 それを書き下ろす言語のほうは、ずっと標準化されていたにもかかわらず、である。 作られるのは、選択の表が差し出すものである。
この記事は手順 2、ねじを扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。
よくある質問
規格は多条のメートルねじを認めていますか。
認めていますし、表示のしかたもあります。用語規格の 2.10 が多条ねじを定義し、図 5 に二条右ねじのおねじを描き、公差規格の 5.3 が表示形式を与えます。たとえば M16 × Ph3P1,5 - 6H で、条数を語として括弧に添えることもできます。欄がないのは一般計画のほうで、そこは呼び径とピッチしか選ばないため、多条ねじをその表から選ぶことはできません。
M8 ボルトのリード角はいくつですか。
その問いに一つの答えはありません。用語規格の注記は、ねじ上のあらゆる点が自分のつる巻線をたどり、リードは共通だが、リード角の正接は軸からの半径方向距離に反比例すると述べます。M8 × 1,25 について当方の計算では、山の頂で 2,85 度、有効径で 3,17 度、谷底で 3,52 度です。
並目系列のなかでリード角はどれくらい変わりますか。
ほとんど変わりません。有効径で取ると、当方の計算で M3 が 3,41 度、M4 が 3,60、M5 が 3,25、M6 が 3,41、M8 が 3,17、M10 が 3,03、M12 が 2,94、そして M16、M20、M24 が 2,48 です。直径は八倍動くのに、角度は一・五倍にも満ちません。
なぜ M16、M20、M24 は同じ角度なのですか。
ピッチが呼び径のちょうど八分の一だからです。2 対 16、2,5 対 20、3 対 24。有効径は呼び径からピッチの一定倍を引いたものなので、ピッチ対直径の比が固定なら有効径対ピッチの比も固定になり、正接は五桁まで一致します。これは規格の記述ではなく当方の代数です。
二条にすると何が変わりますか。
リードが倍になるので、リード角の正接も倍になります。二条の M8 × 1,25 は有効径でおよそ 6,32 度になり、並目系列のどの一条サイズより上です。この頁はその幾何の言明で止まり、ゆるみについての主張には変えません。それには摩擦係数が要り、この頁には出所がないからです。
並目は細目より品質が劣るのですか。
いいえ。規格が直接そう述べています。並目と細目という語は慣用に合わせて用いるものであり、これらの語に品質の概念を結び付けてはならない、並目のピッチとは現在の実務で用いられる最大のメートルピッチにすぎない、と。
どのピッチをどの直径まで使えるかに制限はありますか。
細かいピッチにはあります。一般計画は、主表より細かいピッチが必要なら使ってよいのは九つだけとし、それぞれの最大呼び径の表を与えます。ピッチ 0,5 で 22 ミリメートル、以下 0,75、1、1,5、2、3 に対して 33、80、150、200、300 です。理由は、あるピッチについて直径が大きくなるほど公差を満たすのが難しくなることです。
結局なぜ一条ねじがこれほど多いのですか。
この頁は答えません。その理由は設計上の論であり、ここで引いた文書には書かれていません。文書が示すのは、標準のメートルねじを選ぶ表の軸が直径とピッチの二つで、二条目はそのどちらにも載っていないということです。表示規格のほうには、それを書き下ろす形式が最初からあったにもかかわらず、です。
インチねじや台形ねじにも当てはまりますか。
ここに書いたことはそれらについてではありません。用語規格は円筒ねじ一般の用語を扱いますが、引いた計画も寸法もメートルのものです。インチ系列と台形ねじには固有の規格があり、この頁ではどれも読んでいません。
参考資料
- ISO 5408:1983「円筒ねじ 用語」。1998 年の国内採用版の九頁無料プレビューから読んだ。英仏対訳
- ISO 261:1998「ISO 一般用メートルねじ 一般計画」。八頁の無料プレビュー、第 5 節と Table 1 を含む
- ISO 724:2023「基本寸法」。ここでは計算に用いるピッチと谷の径の数値のためだけに使った
- その問い。公開されている工学の質問サイトにて。十二点、五つの回答
この頁のために二つの無料プレビューを読んだ。用語規格は、英仏の定義を並記した国内採用版の九頁プレビューから。一般計画は、第 5 節と Table 1 に届く八頁のプレビューから。用語規格のスキャンは状態が悪く、抽出された文字列はひどく崩れているので、そこから引いた文はすべて、当該頁を画像に起こして目で読んだ。一般計画の Table 1 と第 5 節も同じ扱いである。計算に用いたピッチと直径の数値は基本寸法表のもので、本サイトは二層のねじのあいだに残る肉についての以前の頁でそれを用い、画像で照合済みである。この文書を使うのはこれで二度目であり、その頁の内容はここで繰り返していない。次の各項は当方の計算であり、いずれの文書の記述でもない。この頁のすべてのリード角。山の頂と谷底の正接の比 1,237。並目系列が 2,48 から 3,60 度にまたがる一方で直径が八倍にまたがるという観察。M16、M20、M24 が一致する理由を示す代数。二条ねじで正接が倍になること。そして Table 1 から得た 44、44、80、100、100、100 という比である。二条目についての幾何の結果は、そのねじがゆるむかどうかの主張ではない。その一歩には摩擦係数が要り、この頁にはその出所がないので、自立締結については何も述べていない。問いは、本サイトがふだん使う掲示板の道具ではなく、公開されている工学の質問サイトから取った。その道具は今回も使えなかった。読んだのは問いであって回答ではなく、この頁に利用者名は現れない。設計の助言は与えず、製品名も書かない。公差規格、基準山形の規格、選択サイズの規格はこの頁のために読んでおらず、一般計画の Table 2 は最初の数行しか見えておらず、インチねじと台形ねじの規格はまったく読んでいない。訂正。この頁の第一版は「一般計画から表示に至る経路のどこにも条数の欄はない」と述べた。それは誤りである。公差規格の 5.3 は多条メートルねじを表示する箇条で、形式は M16 × Ph3P1,5 − 6H、条数を語として加えることも認めている。当方はその文書を読んでいないと明示していたし、それ自体は本当だったが、それで文が誤りでなくなるわけではない。いまこの頁は 5.3 を引用し、主張を一般計画が実際にしていることまで狭めた。その規格の無料プレビューは印刷第 5 頁まで届き、5.2 から 5.4 を含む。引用した箇所は当該頁を画像に起こして目で照合した。
お問い合わせ
図面が求めるねじが、一般計画から直径とピッチを一つずつ選んで済むものでないなら、 送っていただくと役に立つのは、書かれたままの指定全体です。 二条目を意図しているならリードも添えてください。 それは標準の表示が運べない部分なので、言葉で運ぶしかありません。