最小かみ合い長さの数字が、人によって違う理由

技術フォーラムで、最小かみ合い長さをきちんと計算しようとした人が、奇妙なところで詰まりました。規格のめねじのせん断面積の式が、かみ合い長さを入力として求めてくるのに、そのかみ合い長さこそ解きたいものだったのです。三十三件の返信が付き、どれもその点に答えていませんでした。八つの違う倍数が出てきて——そのうち二つは、残りの六つとは別の種類の答えでした。

式は循環して見える。そしてその観察は正しい

めねじがねじより先に壊れないことを確かめるには、二つを比べます—— めねじのせん断面積と、ねじの引張応力断面積。 そしてせん断面積の式には Le、つまりかみ合い長さが入っています。

ですから探しているものがかみ合い長さなら、その式は答えを先に寄こせと言っているように見えます。 この読み方は誤りではありません。だからこそ、この問いが立ちます。 出口は複雑ではないのに誰も触れないのは、 みなが別の問い——自分の手元にすでに数字がある問い——に答えているからです。

八つの規則、一つのスレッド、どれも自信がある

同じスレッドから数えられた答え——呼び径の 1.5 倍、1.25 倍、最低六山、六から八山、 材料が同じなら外径の 1 倍、鋼なら 1.5 から 2 倍で「それ以上は強くならない」、 同強度なら 1 倍で焼きなまし鋼なら 2 倍、そして 「ナットはもともと合わせてあり、設計者が計算済み」。

どれも愚かではなく、いくつかは実際に役に立ちます。 しかし互いに両立せず、質問者にはそれぞれがどんな前提を背負っているかを見分ける手段がありません。 本当の問題はそこです——規則が間違っているのではなく、 一つの倍数として語られた規則が、それが当てはまるかどうかを判断するための情報を、すでに落としているのです。

では最も保守的なものを——そのうち二つは、そもそも別種の答えです

スレッドの二件は、ほかの六件と構造が違います。

  • 材料が違うなら、両者の強度の比で伸ばす——母材がボルトの降伏の半分なら二倍径
  • 材料が同じなら 1.25 倍、違うならそこにせん断強さの比を掛ける

それは倍数ではありません。倍数の出どころです。 残る六つのいくつかは、ある材料の組合せについて同じ計算をした結果から、 その前提を外して述べたものです。 ただし全部ではありません——「何山」はピッチの前提を背負い、 「ナットは合わせてある」は保証荷重とねじ山の形に頼っていて、材料の比ではありません。 八つが同時に存在できる理由もそこです。 どれもその人が思い浮かべた組合せについては正しく、そしてどれもその組合せを言っていません。

比の方法は、一行で悪い案を崩します

質問者には実際の仕事がありました—— およそ 7,400 ポンドの鉛のバラストを、つなぎの方法として木ねじで船に固定すること。 誰かが比を一度計算しました。 鉛の降伏強さは青銅のねじのおよそ二十五分の一なので、 かみ合い長さは同材料のときのおよそ二十五倍。 一倍径を基準に取れば、3/4 インチのねじで、ねじ部およそ 19 インチ—— その返信は 2.5 フィート近い値を出しており、違いは基準をどこに取るかです。 どちらの数字も、この議論を終わらせるのに十分です。

ばかげて見える答えが、役に立つ答えです。 「何倍径」の規則はどれもこれを出せません。どの規則のなかにも鉛が入っていないからです。 比の方法は、ひと目で不可能と分かる数字を返し、 それが「この継手は設計を変えるべきだ」と知る最短の道です—— この件では、ねじ込むのではなく挟んで押さえる、ということでした。

同じ規則から、違う数字が出続ける理由

「アルミ」は一つの材料ではありません。 M8 の 8.8 のねじで比を回し、めねじが先に壊れないためにどれだけのかみ合いが要るかを問うと:

必要なかみ合い長さ、直径の倍数で(M8、8.8 のねじ)
母材せん断強さの概値倍数
鋼 S235(0.6 × Rm,min による換算)約 216 MPa0.77
アルミ 6061-T6約 207 MPa0.80
ねずみ鋳鉄 EN-GJL-150約 170 MPa0.98
アルミ 6063-T5約 117 MPa1.42
アルミ 5052-H32約 138 MPa1.21
Zamak 3 ダイカスト約 214 MPa0.78

鋼の行は 0.77 で、しかし誰もが一倍径と言います。その差が表の要点です。 0.77 は純粋に幾何の数字——基準山形の面積と呼びの強度、それだけです。 一倍径は、その数字にナットの広がり、第一山が不釣り合いに荷重を受けること、 公差の限界、実材料が呼びを下回ることを足したものです。 差はおよそ 30 % で、それがこの四つにどう配分されるかは、この頁では測っていません。

ですからあのスレッドのどの規則も、「幾何の数字」+「誰かの余裕」であり、 その両方が言われていません。 二つの規則が違うのは材料が違うからかもしれないし、片方の人が保守的だからかもしれない—— 倍数だけを見ても、どちらなのか分かりません。

6061-T6 と 5052-H32 は 50 % 違い、カタログではどちらもアルミです。 一方は鋼のねじとほぼ同じ要求に落ち、もう一方ははるかに超えます。 ですから「アルミは 2 倍径」という規則は当てずっぽうではありません—— 言われていない幅の上で、安全側を取っているのです。

みなが思っている寸法の効果は、実際にはずっと小さいものです。 同じ比較を M2 から M12 まで回しても強度比の変動はおよそ 13 % で、 「大きいねじほど倍数が要る」の寄与は、材料よりはるかに小さくなります。 先に心配すべきことではありません。

上の表のせん断強さは各合金と熱処理状態の文献の代表値です—— アルミは合金のデータシート、Zamak は亜鉛協会の性質表、ねずみ鋳鉄は EN-GJL の各級から。 鋼の行は文献のせん断強さではなく、最低引張強さの 0.6 倍という換算で、測定値ではありません。 どの数字も熱処理と鋳造の条件で動くので、答えの形として扱い、手元のロットの値として扱わないでください。

では、あの循環からどう抜けるか

循環していません。せん断面積は Le について線形なので、 式を移項すれば一手で答えが出ます。

Le = As × σねじ ÷ (0.875 × π × d × τ母材)

M8 の 8.8 を S235 にねじ込む場合:36.6 mm² × 800 MPa を 0.875 × π × 8 × 216 で割って—— 6.2 mm、つまり 0.77 倍径。反復も当てずっぽうも要りません。

スレッドで誰もこう言わなかったのは、誰も問われた問いに答えていなかったからです。 質問者が見つけたものは本物で、答えはこうです—— あの循環の見かけは、この式がふつうどう書かれるかから来ています。 Le を入力とする耐力の照査として書かれていて、 欲しい量について解かれていないのです。

必要な数字は二つ。母材のせん断強さと、ねじの強度区分です。 この二つを入れれば倍数のほうが出てきます—— そして、自分がいま八つのうちどれを再現したのかも分かります。

かみ合い長さの設計目標はかみ合い長さに、 比のねじ側の半分は 強度区分の数字が言っていることにあります。

この頁が扱っていないこと

  • 上のせん断強さは文献の代表値で、実測値ではありません。実際の供給材は熱処理状態で動き、アルミの状態差は等級の名前が見せるより大きくなります
  • このモデルは基準山形の幾何を使っています。ナットの広がり、第一山が荷重の大半を受ける不均一な分配、公差の限界は入っておらず、いずれも実際の能力を幾何の値より下げます
  • 疲労にはまったく触れておらず、この継手がどう荷重を受けるかにも触れていません。人の安全にかかわる荷重なら、この深さでは足りません——使うべきは VDI 2230 です

この記事は手順 2、ねじを扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。

よくある質問

かみ合い長さの式が、答えを先に求めてくるのはなぜですか。

式がふつう耐力の照査として書かれているからです。めねじのせん断面積にはかみ合い長さが入っているので、かみ合い長さを探しているときには循環して見えます。実際には循環していません。せん断面積はかみ合い長さについて線形なので、移項すれば Le = As × σねじ ÷ (0.875 × π × d × τ母材) と一手で出ます。M8 の 8.8 を S235 にねじ込むなら 6.2 mm、0.77 倍径です。

結局どの経験則を使えばよいですか。

倍数ではなく、比を使ってください。必要なのは母材のせん断強さとねじの強度区分の二つだけで、それを入れれば倍数のほうが出てきます。流通している八つの規則は、どれも「幾何の数字」に「誰かの余裕」を足したもので、その両方が言われていません。ですから二つの規則が違っても、材料が違うのか片方が保守的なのか、倍数だけでは分かりません。

アルミは 2 倍径でよいですか。

「アルミ」は一つの材料ではありません。M8 の 8.8 で比を回すと、6061-T6 は 0.80 倍径、6063-T5 は 1.42 倍径で、同じカタログの同じ「アルミ」で 50 % 違います。2 倍径という規則は当てずっぽうではなく、言われていない幅の上で安全側を取ったものです。手元の合金と熱処理状態が分かっているなら、比で計算したほうが狭く、確かな数字になります。

ねじが大きいほど、比例して多くのかみ合いが要りますか。

ほとんど変わりません。同じ比較を M2 から M12 まで回しても強度比の変動はおよそ 13 % で、材料による違いよりはるかに小さくなります。先に心配すべきは母材のほうです。

母材が鉛や樹脂のように、はるかに軟らかい場合は。

比がそのまま答えを出します。鉛の降伏強さは青銅のねじのおよそ二十五分の一なので、かみ合い長さは同材料の二十五倍ほど、3/4 インチのねじでねじ部およそ 19 インチという数字になります。ひと目で不可能と分かる数字が出ること自体が有用で、それはこの継手がねじ込みではなく挟んで押さえる設計であるべきだ、という合図です。

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母材が軟らかく、かみ合い長さが足りるのか分からないという状況ですか。 母材とその状態、ねじの強度区分、そして使える深さをお知らせください。 比で計算した必要長さと、その深さが取れない場合に何を変えるべきかをお返しします。

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