一列のボルトは荷重を等しく分担しません

ボルトが八本だから、一本あたり八分の一。図面はそう示唆しますし、計算もたいていそう仮定します。そして二つの設計規準のどちらにも、それが本当ではないという理由だけで存在している補正が入っています。

なぜ外側のボルトが多く受け持つのか

一つの継手を見てください。主板が添え板で挟まれ、荷重は両端から入ってきます。 隣り合うどの二列のあいだでも、主板と添え板の伸びは同じではありません。 その位置で負っている荷重の割合が違うからです。 その伸びの差はボルトが吸収しなければならず、しかもそれは継手に沿って積み上がります。 ですから荷重が入ってくるところで最大になります。 結果として端にいちばん近いボルトがもっとも多くのせん断を伝え、真ん中がもっとも少なくなります。

⚠️ これはある特定の場合に当てはまるのであって、すべてのボルトにではありません。 継手は列の方向に端部で荷重を受けていなければならず、 ボルトは穴の壁を押すことでせん断を伝えていなければなりません。 まだすべっていない高力ボルト摩擦接合は、接触面の摩擦で力を伝えています。 そして荷重が長さに沿って徐々に導入される接合——ウェブとフランジのような——は、 どちらの規準にも明記された例外です。

引用できる比率は存在しません

次に自然に出てくるのは「どれだけ多いのか」です。⚠️ これには持ち回せる答えがありません。 ボルトの本数、ピッチと全長、せん断と支圧の剛性、板の断面とどこまで降伏しているか、 すきまとボルトが実際に接触へ入る順序、そして荷重履歴のどこにいるかで決まります。

とくに気をつけるべきことが一つあります。ここでいちばん自然に起きる間違いだからです。 ⚠️⚠️ 規準の低減係数は、その荷重の比率ではありません。 それらが低減しているのは群としての強度で、 どの一本が今どれだけ受けているかは何も語っていません。

二つの規準、二つの違う規則

どちらの規準も長い端部載荷の継手の耐力を低減しますが、 ⚠️ 同じ規則の単位違いだと思いやすい。違います。

EN 1993-1-8AISC 360-22
条番号Cl. 3.8 Eq. (3.5);2024 年版は Cl. 5.7.3 Eq. (5.7)Table J3.2 footnote [c]
しきい値15d(直径で正規化)38 in/950 mm(絶対長さ)
連続した線形一段の階段
係数βLf = 1 − (Lj − 15d) / 200d、下限 0.75× 0.833

EN の係数は 15d で 1.00、25d で 0.95、35d で 0.90、65d で下限の 0.75 に達します。 ⚠️ AISC の 0.833 の出どころは知っておく値打ちがあります。0.75 ではないからです。 表のせん断強度にはもともと 0.90 の長さ係数が含まれていて、 長い端部載荷の継手は 0.75 に落ちるべきなので、追加で掛けるのは 0.75 ÷ 0.90 = 0.833 なのです。 表の値にそのまま 0.75 を掛けると二重に数えることになります。

ではなぜ等分担と仮定してよいのか

継手が荷重を受けるあいだに自分で均していくからです——変形できるかぎりは。 再分配はいくつもの場所から同時に来ます。ボルトのせん断変形、穴の壁の局部降伏と穴の伸び、 板の塑性変形、そしてまだ穴の壁に当たっていなかったボルトが順に支圧へ入ってくること。 端のボルトが軟化すれば、荷重は内側へ移ります。 短い継手はどれか一本が壊れる前にほぼ完全に均せますが、 長い継手では端のボルトが先に変形能力を使い切ることがあります—— 鋼構造の文献はその端から内へ順に壊れていく現象を unbuttoning(ボタンが外れる)と呼びます。

⚠️ unbuttoning は実在する仕組みですが、必然ではありません。 正味断面の破断、block shear、端部の tear-out、あるいはすべりが、それより先にこの継手を支配しえます。

⚠️ もっともらしく聞こえる規則を一つ避けてください。問題は「板がボルトより先に降伏してはいけない」ではありません穴の壁での板の局部支圧降伏こそ、あなたが頼っているその再分配の主な源の一つです。 起きてはいけないのは変形能力のない破壊モードのほうです—— 脆性的な正味断面破断、延性の乏しい block shear や tear-out、ねじ剝がれ、脆性的なボルト破断。 EN 1993-1-8:2024 の Clause 5.11 はこの条件を明記しています。 延性を前提とした群の仮定を使うには、ボルトのせん断耐力が支圧耐力の 80% 以上あること。

引張りと曲げが入ると、また別の計算になります

曲げが接合面を開こうとするとき、弾性の模型が各ボルトに与えるのは Fi = N/n + M·yi / Σyj2 で、 力は中立軸からの距離とともに変わります。 ⚠️ 落とし穴は、中立軸がボルト群の図心にあると仮定することです。 それが図心にあるのは、純曲げで、配置が対称で、各ボルトの剛性が等しく、 しかも模型が両方向の線形反力を許しているときだけです。

実際の継手はこの仮定を壊します。ボルトは引くことしかできず、界面は押すことしかできません。 ですから接触面の一部は圧縮のまま、一部は分離し、 その境界は釣り合いを満たすように求めねばならず、ふつう反復計算になります。 柔らかいエンドプレートはさらにこじりを加え、 線形の分布を楽観的にします。 ⚠️ そして面内の偏心せん断はそもそもこの問題ではありません—— そちらは図心と極断面二次モーメント、あるいは瞬間中心法を使います。

これは何ではないか、そして持ち込めない場所

⚠️ これは締付け順序ではありません。 組付け中の弾性的な相互作用——一本を締めるとフランジやガスケットを通して 隣の数本の初期締付け力が変わること——が決めるのは初期の締付け力のばらつきです。 この頁が話しているのは、組付けが終わったあとに追加で加わる作用荷重がどう分担されるかです。 前者は後者の初期条件を決めますが、二つは別の物理事象で、同じ式も共有していません。

⚠️ 製品上の小さなファスナ群にも持ち込めません。 EN 1993-1-8 が較正されている範囲は構造用鋼とふつう 3 mm 以上の板厚、 AISC 360 は構造用鋼の建築です。 どちらも基板、樹脂筐体、ダイカストのボス、小さなタッピンねじの群に対して較正されていません。 持っていけるのは物理のほうです。相対剛性が分配を決める、すきまのせいでねじは同時に効き始めない、 柔らかい板は不均一な分配を生む、局部降伏が再分配を可能にする。 持っていけないのは 15d、38 in、βLf、0.833、 そしてそれらの下にある延性の仮定です。 そういう継手には NASA-STD-5020B や VDI 2230 のような方法を使うか、試験してください。

この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。

よくある質問

端のボルトはかならず多く受け持つのですか。

列の方向に端部で荷重を受けていて、しかもボルトが穴の壁を押すことでせん断を伝えている継手でだけです。まだすべっていない高力ボルト摩擦接合は接触面の摩擦で力を伝えていますし、荷重が長さに沿って徐々に導入される接合——ウェブとフランジのような——はどちらの規準でも明記された例外です。

では端のボルトはどれだけ多く受けますか。

汎用の数字はありませんし、規準の低減係数をその数字として使ってはいけません。βLf と 0.833 が低減しているのは群としての強度で、どの一本がどれだけ受けているかはまったく語っていません。実際の分配はボルトの本数、ピッチ、継手の長さ、ボルトと板の剛性、すきま、どのボルトがすでに支圧に入っているか、荷重履歴のどこにいるかで決まります。

EN と AISC の長い継手の規定は同じものですか。

違います。EN 1993-1-8 は直径の 15 倍の長さから低減を始め、直径の 65 倍で下限の 0.75 まで線形に下がるので、ボルト寸法に合わせて伸縮します。AISC 360-22 には直径基準のしきい値がなく、長さが 38 インチを超える端部載荷の継手に一律 0.833 を掛けます。その 0.833 は 0.75 を、表の強度にもともと含まれる 0.90 の長さ係数で割ったものなので、表の値にそのまま 0.75 を掛けると二重に数えます。

これは締付け順序と同じことですか。

違います。締付け順序が扱うのは組付け中の弾性的な相互作用です。一本を締めるとフランジやガスケットを通して隣の数本にすでに入っていた初期締付け力が変わり、結果は初期の締付け力のばらつきになります。この頁が話しているのは、組付けのあとに追加で加わる荷重がボルトのあいだでどう分担されるかです。前者は後者の初期条件を決めますが、別の事象であり、使う解析も違います。

参考資料

EN の条番号は版によって違います。長い継手の係数は EN 1993-1-8:2005 では Clause 3.8 Eq. (3.5)、2024 年版では Clause 5.7.3 Eq. (5.7) で、2024 年版は低減をボルトのせん断耐力だけでなく継手の耐力に作用するものとして表現しています。

お問い合わせ

ファスナがせん断を受ける群で働いているなら、本数を見ただけでは 一本ずつが何を見ているかは分かりません。 本数だけでなく、配置と荷重の経路を一緒にお送りください—— とくにその列が長いとき、あるいは荷重が片側から入ってくるときは。

お見積り依頼

品名と数量をお知らせください。可否、納期、価格をご返信します。

送信するとメールソフトが開き、内容が入力済みになります。

直接メールでも承ります sales@tigerfasteners.com