あの 18.75 は、225 を 12 で割ったものである
r/electricians でここしばらくいちばん票を集めた締結部品への苦情は、投稿ではなく題名でした。端子を 18.75 ft·lbf で締めろと指定するなら、せめて 18 に耐えるものにしてくれ。千四百人が同意しました。その一文のなかの数字は、それだけで二分の価値があります。誰も設計していない数字だからです。
12 を掛けてみる
18.75 × 12 = 225。1 フィートは 12 インチなので、 18.75 ft·lbf という指定は 225 インチポンドという指定であり、 それは丸い数字で、しかもほぼ間違いなく誰かが実際に書き下した数字です。
これは算術からの推論であって、文書としてお見せできるものではありません。 そのように読んでください。ただし強い推論です。 18.75 に工学で行き着く人はいません。整った数字を 12 で割って行き着くのであり、 225 は端子の締付けトルクが通常公表される単位で、ちょうど整っています。
これで苦情の見え方が変わります。二桁の小数は精度に見え、 そしてその精度こそがあの反問を招きます。 四分の一フィートポンドを指定するほど細かい仕様なら、 部品も四分の一フィートポンドまで持ちこたえてくれ、と。 あの小数は、はじめから精度についての主張ではありませんでした。 丸い数字が単位を変え、誰も丸め直さなかったときに残るものです。
二桁の小数を実際に出せるものはあるのか
18.7 でも 19 でもなく 18.75 に当てたいとします。 最初の問いは、そもそもどの工具にその資格があるのかで、 トルク工具の規格がそれに答えます。 ISO 6789 第 1 部 Table 4 は、設定形工具の最大許容相対偏差を与えています。 A、B、C 級で 10 N·m 以下が 6 %、それを超えると 4 % です。
18.75 ft·lbf は 25.4 N·m で、境目より十分に上なので 4 % が適用されます。
| 量 | 値 |
|---|---|
| 仕様 | 18.75 ft·lbf = 25.4 N·m |
| 適合した設定形レンチに許された偏差 | ±4 % = ±0.75 ft·lbf |
| 仕様の小数部分 | 0.75 ft·lbf |
規格に完全に適合したレンチが、設定値から 0.75 ft·lbf ずれてよいのです。 あの仕様の小数点以下の桁は、 それに当てろと言われている計器の公差帯そのものです。
しかも工具は、誤差の連鎖のなかで断然いちばん小さい寄与です。 トルク制御が実際に出す締付け力のばらつきは、 工具の数パーセントがそのなかへ消えてしまうほど大きく、 その数字が黙って前提にしている摩擦のほうが効きます。
妙な仕様を見たら走らせる検査
これは一般化できて、五秒ほどで済みます。 仕事に対して細かすぎる小数がついている数字を見たら、換算し戻してみてください。
| 数字の単位が | 試すこと | 探すもの |
|---|---|---|
| ft·lbf | × 12 | 丸いインチポンド値 |
| N·m | × 8.851 | 丸いインチポンド値 |
| N·m | ÷ 1.3558 | 丸いフィートポンド値 |
| mm | ÷ 25.4 | 丸いインチ、またはよくある分数 |
どれかが整ったところに着地すれば、役に立つことを二つ学べます。 その数字がどの単位で設計されたか、つまり最初は誰の文書に住んでいたか。 そして末尾の桁が情報を運んでいないということ。 それについて議論することも、それを軸に工程を組むことも、 一回の単位換算と議論していることになります。
単位の話が出たので、小さなことを一つ。 あの苦情は「ft/lbs」と書かれていて、ほとんどの人がそう書きます。 トルクは力に距離を掛けたもので、割ったものではないので、 正直な書き方は ft·lbf か lbf·ft です。 文脈が救ってくれるので実害はまれですが、 換算のなかで壊れた数字についてのページでは、一度気づいておく価値があります。
苦情のもう半分。こちらは判定できない
あの一文にはもう一つ主張が入っています。 その端子が、自分の仕様より低いトルクで持ちこたえなかった、というものです。 端子も試験も、それを確かめる手立ても私たちは持っていません。 一人の、ひとロットについての経験は、製品についての証拠ではありません。 このページは苦情を記録して、そこで止めます。
一般に言えるのは、トルクの数字は組み立てる人への指示であって、 それに耐える能力は継手のうち弱いほうの半分に属し、 そしてそれはたいていねじの側ではない、ということです。
ではどう書くか
- 設計された単位のまま公表する。225 インチポンドだったのなら、225 インチポンドと書く。読み手の便宜のために換算することこそが、丸い数字に支えきれない小数を生やすやり方です
- どうしても換算するなら、工程が持っている精度まで丸める。±4 % の計器帯に対しては、19 ft·lbf と 18.75 ft·lbf は同じ指示であり、議論を招くのは片方だけです
- 値の隣に公差を書く。裸の数字は、連鎖のどこにも供給されていない正確さを示唆します。しかも工具はそのばらつきへの寄与が最も小さい
- 桁がどの単位のものかを言う。単位のない、あるいは単位が割り算で書かれたトルクは、ボルトの隣にあって実は駆動部のサイズだった数字と同じ種類の問題です
この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。
よくある質問
トルクの仕様に妙な小数がつくのはなぜですか。
たいていは、別の単位では丸い数字だからです。18.75 ft·lbf に 12 を掛けると 225 インチポンドで、これは丸く、しかもインチポンドは端子のトルクがよく公表される単位です。フィートポンドの数字に 12 を掛けるか、ニュートンメートルの数字を 1.3558 で割ってみて、整ったものが出てくるか確かめてください。出てくるなら、その小数は精度についての言明ではなく換算の残りかすです。
トルクレンチは 18.75 ft·lbf に当てられますか。
その分解能では当てられません。ISO 6789 第 1 部 Table 4 は、適合した A、B、C 級の設定形工具に 10 N·m を超える範囲で 4 % の最大相対偏差を許しており、18.75 ft·lbf は 25.4 N·m です。18.75 の 4 % は 0.75 なので、完全に適合したレンチに許された偏差が、ちょうど仕様の小数部分にあたります。これは ISO の規格で、別の規格で作られたレンチには自前の公差帯があり、それらは読んでいません。
締結された継手で、工具は誤差の主な源ですか。
いいえ、いちばん小さいものです。工具の寄与は数パーセントで、トルクと実際に得られる締付け力の関係は摩擦と締付け方法に支配され、そちらのばらつきははるかに大きくなります。だからトルクの数字の小数第二位を議論するのは、この問題でいちばん効かない項について議論していることになります。
換算したトルク仕様は丸めるべきですか。
工程が出せる精度まで丸め、どの単位でどれだけの公差かを述べてください。四パーセントの計器帯に対しては 19 と 18.75 は同じ指示です。丸めない換算値を公表しても正確さは増えません。増えるのは継手が支えられない暗黙の主張であり、上限を目標として扱うよう人を誘います。
ft/lbs はトルクの正しい書き方ですか。
厳密には違います。トルクは力に距離を掛けたものなので、書き方は ft·lbf か lbf·ft であって割り算ではありません。実務では文脈が解決し、誤解する人もいませんが、単位がまったく書かれていない数字と同じ系統の問題であり、実際に部品を壊すのは後者のほうです。
参考資料
- ISO 6789-1:2017 —— 手動トルク工具、設計及び品質適合試験。Table 4、設定形工具の最大許容相対偏差。当サイトの先行ページのために読んだもの
- r/electricians —— 出発点になった苦情。1,464 点。18.75 は題名に現れる
- r/electricians —— 手が入らない件のスレッド。最上位の返信は、短い六角レンチとめがねレンチでは精密なトルクとは言えないが、それが精一杯だと率直に述べている
ここでの算術は私たち自身のもので、電卓があれば再現できる。18.75 に 12 を掛けるとちょうど 225 になり、18.75 の 4 パーセントはちょうど 0.75 になる。この仕様が 225 インチポンドとして生まれたという主張は、その算術からの推論であって、文書として示せるものではない。事実としてではなく、強い推論として読んでほしい。公差の数値は ISO 6789-1 Table 4 からで、当サイトの先行ページのために読んだもの、そちらは規格自身のプレビューから書かれている。ISO 6789 は手動トルク工具の国際規格である。北米の規格で作られたレンチには自前の許容偏差があり、それらの文書は読んでいない。したがってこの比較は ISO に対して行い、そのように明示している。元のスレッドで名指しされた製造業者について、いずれかの端子が仕様を下回って壊れたかについて、また製品の品質について、私たちは立場を取らない。その部分は一人の経験であり、試験データを持っておらず、ここに書かれたどの一文も、ある部品についての結論として読まれるべきではない。電気規程や電線コネクタ規格の条文は一切引用していない。読んでいないからである。
お問い合わせ
トルクの数字が小数つきで届いた場合は、もともとどの単位で書かれていたか、 そしてそれに付く公差もあわせてお知らせください。 換算された数字は誰も意図していない桁を運んできますし、 目標値と上限の違いこそが、継手が正しく組まれるかどうかを決めます。