点火プラグのガスケットは、一度締めたあとの寸法で規定されている

初めて点火プラグを交換した人が、トルクレンチを設定し、カチッという音が聞こえず、設定を下げ、そのまま引き続け、プラグを真っ二つに折った。六百三十六の賛成と三百六十一件の返信のあと、投稿は解決済みになった。トルクの数値は出さない。それが書かれている項は、無償の試読分が終わるちょうど次の頁にあるからだ。読める部分のほうが値打ちがある。規格は自分の用語の項で、締めすぎがプラグを壊すと述べ、正しい値を動かすものを四つ名指ししている。

ISO 28741:2023 の 5.2 項、全文。 「未使用の平座点火プラグを、第 7 項および表 3 に規定するトルクで、 清浄で滑らかで乾いたねじ部に一度締めたとき、 ガスケットの厚さは表 3 に規定するとおりとする。」 条件を数えてほしい。未使用。一度。規定のトルク。清浄で滑らかで乾いていること。 表にある厚さは、プラグが引き締められたあとの厚さであって、 箱に入っている部品の厚さではない。

トルクの数値は出せないし、出そうともしない。 第 7 項の題は「Installation torque」で、印刷七ページ目にある。 この規格の公開試読分は印刷六ページ目で止まる。 全文は二十四ページで、読めるのは六ページ、四分の一だ。 トルクとガスケット厚さの両方を収める表 3 は、その線の向こう側にある。

この制約は大きな声で言う値打ちがある。 点火プラグのトルク値は、まさにこういう頁から書き写されて 誰かの手元に渡っていく類の数字だからだ。 あなたのエンジンの数値は、プラグ製造者の説明書とエンジン製造者のマニュアルに属する。 以下はその数値のまわりにある理屈である。

規格は用語の項で締めすぎを警告する

たいていの規格は助言を第 3 項の外に置く。この規格は置かない。 取付締付トルクの項に付く注記は、 掲示板を読んだあとに書かれたように読める。

「正しい取付締付トルクの値は、 点火プラグのねじ部とシリンダヘッドのねじ部との摩擦に影響する条件によって変わりうる。 これにはシリンダヘッドの材料、点火プラグのシェルめっき、ねじ部の潤滑、 および燃焼堆積物による汚染が含まれる。 取付時に点火プラグを締めすぎないようにすることが望ましい。 締めすぎはプラグの健全性を損ない、エンジンの損傷につながりうる。 ねじ寸法の小さい点火プラグは、より低い取付締付トルクを必要とする。」

名指しされた四つの条件のうち、プラグ単体の性質はひとつもない。 ヘッドの材料、シェルのめっき、ねじ部に何が付いているか、 そして直近の数千キロがその穴に何を残したか。 トルクの値はボルトそれが入っていく相手についての言明であり、 本サイトが一般論として述べてきたことと同じである。 ここでは規格が点火プラグについてそれを述べており、しかも巻末の注記ではなく用語の項で述べている。

最後の一文がいちばん率直だ。ねじが小さければトルクは低い。 プラグはひと種類ではない。この規格のねじ寸法は M10 から M18 まであり、 一方に合う数値がもう一方に合う数値ではない。

座面は二種類あり、ガスケットが要るのは片方だけ

その話が効いてくる前に、手元のプラグについての問いがあり、 規格は二つの定義でそれに答えている。

  • テーパ座はシェルの円錐部分で、封止の界面として使う。注記は「円錐の合わせ面のあいだには通常ガスケットを用いない。」
  • 平座はプラグ軸に垂直な平面である。注記は「この封止は通常、点火プラグの平座とシリンダヘッドの合わせ平面とのあいだにガスケットを用いる。」

まったく異なる二つの封止機構が、同じ語の下に住んでいる。 一方は潰れる環を平らに押しつぶし、 他方は二つの円錐を引き寄せてテーパで封じる。 規格の第 8 項は寸法表を同じように分け、それぞれに細分項を与える。 第 9 項もシリンダヘッド側で同じことをする。 どちらも読めないが、目次にはその分割が見えている。

これは継手が ねじで封じるのか、ねじの外で封じるのか を決めるのと同じ区別で、本サイトは管用ねじの側から見た。 テーパ座はくさびで封じる。平座は何かを潰して封じる。 そのまま引き続けたときの挙動は同じではない。

潰しガスケットは一回きりの寸法

5.2 項に戻り、それと組になる定義も見る。 3.1 項の取付高さは、シリンダヘッドの接触点からプラグ端子の頂部までの距離で、 「規定の取付トルクで点火プラグを取り付けた状態の、圧縮されたガスケット厚さを含む」

つまり規格は同じ部品について二つの状態を想定し、規定するのは二つめのほうだ。 ガスケットは成形された環として入り、潰れた環として終わる。 表に載るのは潰れたあとの寸法である。 ヘッドの中でのプラグの位置、ひいては電極が燃焼室のどこに来るかは、 その一回の潰れが規定どおりに起きたことの上に載っている。

だからあの一文の条件は飾りではない。

  • 未使用。すでにエンジンに入ったプラグのガスケットは、一回きりの変形の途中まで進んでいる。同じ回転量で同じ位置には来ない
  • 一度。規定が述べるのは一回の締付であって、締めて、確認して、緩めて、締め直す流れではない
  • 規定のトルクで。厚さとトルクは同じ表から出るので、片方だけ引いても意味をなさない
  • 清浄で滑らかで乾いていること。用語の項が挙げたのと同じ摩擦の条件が、ここでは寸法が成り立つための前提として置き直されている

ガスケットの役目は前の一文にある。 「起こりうるすべての運転条件の下で、シリンダヘッドと点火プラグとのあいだの界面を気密に保つこと」。 試験条件は ISO 11565 にあり、それは読んでいない。 気密の界面を、環を一度潰すことで作る。

そのねじは、ふつうのメートルねじではない

3.2 項は点火プラグのねじ寸法を定義し、見落としやすい注記を添える。 これらは ISO 965 群による標準のメートルねじである、 「ただし M14 × 1,25 ねじを除く」。 世界でいちばん多い点火プラグのねじが、一般計画に入っていないほうだ。

続く表 1 は四つの寸法の限界寸法を与え、面白いのは公差域クラスである。 シリンダヘッドのめねじはどこも 6H。 プラグのねじは M18 × 1,5、M14 × 1,25、M12 × 1,25 で 6e、 M10 × 1 で 6g である。

ねじプラグのクラス有効径すきま外径すきま
M18 × 1,56e0,067 mm0,067 mm
M14 × 1,256e0,063 mm0,063 mm
M12 × 1,256e0,063 mm0,063 mm
M10 × 16g0,026 mm0,026 mm

すきまは当方の計算で、表 1 のめねじ最小値からプラグ最大値を引いたもの。

ここから三つのことが落ちてくる。三つとも当方の算術であって規格の記述ではない。

  • 有効径のすきまと外径のすきまは、どの寸法でも同じ数値になる。四寸法、四回とも一致
  • M10 のプラグは、ほかの半分未満のすきまに抑えられている。0,026 mm 対 0,063 と 0,067
  • めねじにはプラグより広い有効径公差が許される。四寸法すべてで約三分の一広い。捨てるほうの部品より、残すほうの部品のほうが緩い

小さい寸法がなぜ厳しいクラスをもらうのか、規格は述べておらず、当方も理由は主張しない。 言えるのは、その余裕が何のためかである。 プラグは熱く燃焼堆積物だらけの穴に何度も出入りする。 緩いクラスはそのための余地を与える。 そしてその余地こそが摩擦を読めなくするものであり、 用語の項が警告していた摩擦でもある。

レンチがしたこと、しなかったこと

投稿には自前の診断が付いている。カチッが聞こえず、設定を下げ、引き続けた。 それはトルクレンチの問いであって点火プラグの問いではない。 本サイトは トルクレンチの規定されていない部分その規格が述べていること、いないことを別に扱っている。 そこから二点、数値を知らなくてもここに当てはまる。

カチッと鳴るレンチは合図を出すのであって、止めるのではない。 次の一度の回転を妨げるものは工具の中にない。 そしてゼロより上から始まる範囲とは、目盛の下端が規定範囲の中にないかもしれないという意味だ。 カチッを追って設定を下げると、 工具をその規格が扱う目盛の外へ動かしてしまうことがある。

どのレンチだったかは知らないし、そのプラグも見ていないし、 調べられないエンジンを診断もしない。 ISO 28741 が足すのはもう半分である。 仮に数値ぴったりでカチッと鳴っていたとしても、それが報せるのはトルクであり、 トルクは本当に効いていることの代理にすぎない。 本当に効いているのは、ガスケットが正しい量だけ、一度、潰れたかどうかだ。

多くの文書の代わりに一つ

この規格そのものについて一言。序文が自らの存在理由をきわめてはっきり書いているからだ。 目的は 「点火プラグとそのシリンダヘッド収容部について、簡潔でまとまった仕様を与えること。 それが、種類ごとに個別に存在していた多数の国際規格に取って代わった」 であり、そうすることで 「利用者は、それぞれ一種類だけを規定する多数の国際規格ではなく、 包括的な一つの国際規格で作業できる」

統合であり、その統合はまだ動いている。 これは第三版、2023 年 8 月、2013 年の第二版に代わるものだ。 前書きが変更を挙げる。端子の追加選択肢のための新しい細分項と、 M18 点火プラグの導入である。 上の表の M18 の行は三年ものだ。 ISO はすでにこの文書を段階 90.92、要改訂に置き、次版の作業原案が進んでいる。

前書きにもう一行、寸法規格では珍しいので目に留まるものがある。 「本文書の発行日現在、ISO は本文書を実施するために必要となりうる特許の通知を受けている。」 点火プラグの基本寸法についての文書に、特許の宣言が付いている。

持ち帰る点

  • 規格のガスケット厚さは潰れたあとの厚さ。未使用のプラグを規定トルクで、清浄で滑らかで乾いたねじ部に一度締めた状態についての値である
  • 取付高さは圧縮されたガスケットを含む。だから電極がどこに来るかは、その潰れが規定どおり起きたかどうかに依る
  • 平座はガスケットを使い、テーパ座は通常使わない。一つの語の下に二つの封止機構
  • 規格は正しいトルクを変えるものを四つ名指しする。ヘッド材料、シェルめっき、ねじ部の潤滑、燃焼堆積物。どれもプラグ単体の性質ではない
  • 締めすぎはプラグの健全性を損ないエンジン損傷につながりうると明言し、しかも用語の項でそう述べる
  • ねじが小さければトルクは低い。ここの寸法は M10 から M18 で、数値は互換ではない
  • M14 × 1,25 は一般のメートル計画に入っておらず、M10 × 1 は四寸法で唯一 6e ではなく 6g、ねじすきまはほかの半分未満である
  • トルクの数値は出さない。第 7 項と表 3 は無償試読分の外にあり、個々のエンジンの数値はそのマニュアルに属する

投稿者がレンチで追っていたものは、最初からトルクではなかった。 ガスケットがある厚さに達すること、それも一度きり、である。 トルクは、ねじ部が清浄で滑らかで乾いているときにそこへ至る方法として 規格が示すものであり、規格はそれを同じ一文の中で述べている。

この記事は手順 2、ねじを扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。

よくある質問

点火プラグはどれだけのトルクで締めるのですか。

この頁は数値を出しませんし、出せません。ISO 28741 は取付トルクを第 7 項と表 3 に置いており、それは読んだ無償試読分が終わるちょうど次の頁です。個々のエンジンの数値はプラグ製造者の説明書とエンジン製造者のマニュアルに属し、規格自身も正しい値は摩擦条件で変わると述べています。

正しい点火プラグのトルクは何で変わりますか。

規格は、プラグのねじ部とシリンダヘッドのねじ部の摩擦に影響する条件を四つ挙げます。シリンダヘッドの材料、点火プラグのシェルめっき、ねじ部の潤滑、燃焼堆積物による汚染です。さらに、ねじ寸法の小さいプラグはより低い取付締付トルクを必要とすると付け加えています。

規格は締めすぎを警告していますか。

しています。しかも珍しく用語の項でです。取付締付トルクの注記は、取付時にプラグを締めすぎないようにすることが望ましく、締めすぎはプラグの健全性を損ないエンジンの損傷につながりうる、と述べます。

ガスケット厚さになぜ条件が付くのですか。

潰れたあとの寸法だからです。5.2 項は、未使用の平座プラグを規定トルクで、清浄で滑らかで乾いたねじ部に一度締めたときの厚さを規定します。3.1 項も、取付高さを規定取付トルクでの圧縮ガスケット厚さを含むものと定義して、それを裏づけています。

点火プラグのガスケットは再使用できますか。

規格は再使用を扱っておらず、当方も扱いません。規格が述べるのは、規定する厚さが一度締めた未使用のプラグに適用されるということだけです。すでに取り付けられたプラグはその一文が述べているプラグではなく、この頁はそこから先の結論を引き出しません。

平座プラグとテーパ座プラグの違いは何ですか。

平座はプラグ軸に垂直な平面で、規格の注記は、この封止が通常その平座とヘッドの合わせ平面のあいだにガスケットを用いると述べます。テーパ座はシェルの円錐部分を封止の界面に使うもので、注記は円錐の合わせ面のあいだには通常ガスケットを用いないと述べます。

点火プラグのねじは標準のメートルねじですか。

おおむねそうです。3.2 項は ISO 965 群による標準のメートルねじだと述べ、ただし M14 × 1,25 を除くとしています。ねじとめねじは ISO 68-1、ISO 261、ISO 965-1、ISO 965-3 に適合することが求められますが、いずれも読んでいません。

なぜ M10 のプラグねじだけクラスが違うのですか。

表 1 は M18 × 1,5、M14 × 1,25、M12 × 1,25 に 6e を、M10 × 1 に 6g を与え、めねじはどれも 6H です。その表に対する当方の算術では、生じるすきまは大きい寸法で 0,063 から 0,067 mm、M10 で 0,026 mm と半分未満になります。規格は理由を与えておらず、当方も示しません。

トルクレンチが鳴りませんでした。どういう意味ですか。

それはプラグではなく工具の問いで、この頁は ISO 28741 からは答えません。その規格はレンチについて何も述べていないからです。一般論として二点。カチッと鳴るレンチは合図を出すのであって止めるのではないこと、そして規定範囲はゼロより上から始まるので、設定を下げるとレンチの規格が扱う目盛の外に出ることがあることです。

参考資料

ISO 28741:2023 は公開試読分から読んだ。試読分は二十四ページ中の印刷六ページ目まで、およそ四分の一である。第 7 項「Installation torque」と、トルク値およびガスケット厚さの両方を収める表 3 は次の頁にあり、試読分の外にある。この頁にはトルクの数値もガスケットの厚さも一つも現れず、この頁からそれらを推定してもならない。表 2、第 6、8、9 項、附属書 A、B、C も試読分の外にあり、そこからは引用も説明もしていない。目録情報はブラウザで ISO 自身の頁を読んで得た。第三版、2023 年 8 月、二十四ページ、ISO/TC 22/SC 32、ICS 43.060.50、現行、段階 90.92 要改訂、廃止された 2013 年の第二版に代わるもので、次版の作業原案が進行中である。次の各項は当方の算術であり、規格の記述ではない。めねじ最小値からプラグ最大値を引いた四つのねじすきま、有効径と外径のすきまが四寸法とも同じになるという観察、M10 のすきまがほかの半分未満だという観察、めねじの有効径公差がどの寸法でもプラグより約三分の一広いという観察、そして試読分が全体に占める割合である。M10 を 6g とし大きい寸法を 6e とする理由を規格は述べておらず、当方も示さない。この規格が参照する ISO 11565、ISO 68-1、ISO 261、ISO 965-1、ISO 965-3、ISO 3412、ISO 3895、ISO 3896 は読んでいない。掲示板のエンジンは見ておらず診断もしない。車両、部品、販売の銘柄名も書かない。読んだのは投稿本体であって返信ではない。5.2 項と表 1 は、抽出テキストではなく印刷頁を描画した画像と照合した。トルクレンチが何を保証し何を保証しないかは先の頁にあり、ここでは繰り返さない。

お問い合わせ

当社は点火プラグを供給していません。この頁があるのは、 この規格のまわりにある理屈が、何かを潰して封じるねじ継手すべてに効くからです。 図面にシールワッシャや潰しガスケットがあるなら、 記載の厚さが自由状態のものか取付後のものかをお知らせください。 潰す継手ではその二つは別の寸法で、組立後に測れるのは片方だけです。

sales@tigerfasteners.com