斜めに入ったねじは、締付け力をほとんど失わない。そのかわり、継手を横へ押す
r/woodworking に、天板のコーナーブレースについての問いがあり、四千五百点と五百件の返信を集めました。ブレースを幕板に当てて、ねじは継手に対して直角に打つべきか、斜めに打つべきか。最も票を集めた答えは直角で、理由は圧縮力を最大にしせん断を最小にするためでした。それは正しく、その下にある計算はもう一つ、その答えが言っていないことを教えてくれます。二つのうち結果を決めているのはどちらか、ということです。
スレッドが決めたことと、残したこと
2,560 点の返信は正しく簡潔なので、そのまま引く価値があります。 ねじは継手に対して直角にし、継手を横切る圧縮力を最大にし、 せん断を最小にする。多くのものはせん断で壊れるからです。
その下の 966 点は、見落とされる部分を足しています。 ねじには部材が二つあり、二つは同じ仕事をしていません。 ねじ山は幕板に食い込み、頭はブレースを引き寄せます。 ブレース側、つまりねじがただ通り抜けるほうの角度は、ほとんど効きません。 ねじ山がかかっている側の角度が、保持力を変えます。
どちらも正しい。どちらも言っていないのは、一度あたりどれだけ失うかで、 その二つの量が動く速さはまるで違います。
張力を分解すると、答えの形が変わる
ねじは自分の軸に沿って引きます。張力を F、ねじ軸と継手面の法線のなす角を θ とします。 その張力は、締め付ける分と、二つの部材を互いにずらそうとする分に分かれます。
締付け = F cos θ 面内 = F sin θ
| 直角からのずれ | 残る締付け力 | 継手を横へ押す張力 |
|---|---|---|
| 0° | 100 % | 0 % |
| 10° | 98,5 % | 17,4 % |
| 15° | 96,6 % | 25,9 % |
| 20° | 94,0 % | 34,2 % |
| 30° | 86,6 % | 50,0 % |
| 45° | 70,7 % | 70,7 % |
最初の二行を並べて読んでください。15 度は締付け力の 3,4 % しか奪わず、 ねじの張力の 25,9 % を「継手を滑らせる」側へ渡します。 余弦はゼロ付近で平らで、正弦はゼロ付近で急なので、 人が見張っている量のほうが、ほとんど動かない量になります。
これは普通の心配を逆にします。小さい角度で問題になるのは締付け力の低下ではなく、 継手が動くことのほうです。
ねじが自分の継手を滑らせる角度
面内の成分は二面間の摩擦が受け持ち、摩擦は締付け成分に比例します。 したがってねじ自身の引きが継手を滑らせ始めるのは、
F sin θ > μ F cos θ、 つまり tan θ > μ
F は消えます。どれだけ強く締めても、この境目はまったく動きません。 継手がずれていくときの反射的な対応は「もっと締める」ですが、それは効きようがない、 ということです。効くのは角度と摩擦だけです。
| 摩擦係数 μ | 継手が滑り始める角度 |
|---|---|
| 0,3 | 16,7° |
| 0,4 | 21,8° |
| 0,5 | 26,6° |
| 0,7 | 35,0° |
| 0,9 | 42,0° |
左側の数字について引用できる出典は Wood Handbook で、 自分が何を記述しているかについて慎重に書いています。 与えているのは動摩擦係数で、対象は平滑で乾いた木材が 硬く平滑な面に対する場合、一般に 0,3 から 0,5、 含水率が中程度なら 0,5 から 0,7、繊維飽和点付近なら 0,7 から 0,9 です。 同じ節に、静摩擦係数は一般に動摩擦係数より大きいとも書かれています。
この書き方から、正直に付けておくべき限定が二つ出てきます。 それらは木材対「硬く平滑な面」であって木材対木材ではないので、 問題を囲むものであって解くものではありません。 そして静摩擦のほうが高いため、実際の継手は表が示すよりやや大きな角度まで保ちます。 結論の向きはどちらにも耐えます。
ポケットホールの継手をクランプしなければならない理由
ポケットホールのねじは浅い角度で打たれ、よく挙げられる数字は 15 度前後です。 tan 15° は 0,268 で、0,3 から 0,5 の帯の下端のすぐ下、 静摩擦のほうが高いことを見込めばさらに下に位置します。 つまりポケットねじは、線から遠くではなく線の近くで使うように仕組まれていて、 実際に機能します。そして「打つあいだ継手をクランプせよ」という誰もが言う助言は、 迷信ではありません。ねじが二つの部材を位置からずらそうとしている、 その一場面のあいだ部品を動かないようにしているだけです。
図面に持っていける三つ
- 直角は締付け力のためではない。締付け力はそこそこの角度には鈍感です。直角にする意味は、実働荷重が来る前に、締結部品自身の張力で継手を動かさないことにあります
- 強く締めても斜めねじによるずれは直らない。境目の式から F は消えます。打つあいだに継手が歩くなら、直すのは角度か摩擦かクランプであって、トルクではありません
- 二つの部材は同等ではない。保持力を決めるのはねじ山のかかる側で、通り抜けるだけの側は頭部の荷重を伝えるだけです。作業空間の都合でどこかに角度が要るなら、幾何が選ばせてくれる限り、通り抜ける側に角度を置くほうが安く済みます
この記事は六つの手順のどれか一つには収まりません。手順をまたいで出てくるか、組み付けたあとに出てくる話です。ここに行き着く判断がどこで下されているかはねじの決め方にまとめてあります。
よくある質問
ねじは継手に対して直角にすべきですか。
たいていはそうですが、理由はよく言われるものとは違います。締付け力は角度の余弦なので驚くほど鈍感で、直角から 15 度ずれてもまだ 96,6 % を出します。速く変わるのは面内の成分のほうで、こちらは正弦、同じ 15 度で 25,9 % に達します。直角が重要なのは、ねじが継手を横へ押さないようにするためであって、締付け力を守るためではありません。
斜めのねじを打つと、なぜ継手が横へずれるのですか。
ねじの張力のうち継手面に平行な成分が、締付け成分が生み出せる摩擦を超えるからです。条件は角度の正接が摩擦係数を超えることで、張力はそこから完全に消えるため、決めているのは角度と摩擦の二つだけです。摩擦係数 0,3 なら境目はおよそ 16,7 度、0,5 ならおよそ 26,6 度です。
もっと強く締めれば、継手のずれは止まりますか。
止まりません。そこがこの計算の役に立つところです。張力は滑りの条件の両辺に現れて消えるので、ねじが軽く当たっているだけでも完全に張られていても、境目の角度は同じです。斜めのねじで歩く継手に必要なのは、別の角度か、摩擦の高い面か、打つあいだ押さえておくクランプです。
木材の摩擦係数はいくらですか。
Wood Handbook が与えているのは動摩擦で、平滑で乾いた木材が硬く平滑な面に対する場合に一般に 0,3 から 0,5、含水率が中程度なら 0,5 から 0,7、繊維飽和点付近なら 0,7 から 0,9 です。静摩擦係数は一般に動摩擦より大きいとも書いてあります。書き方をよく読んでください。それは木材対「硬く平滑な面」であって木材対木材ではないので、問題を囲むものであって、ある一対の面について答えたものではありません。
角度は二つの部材で同じだけ効きますか。
同じではありません。ねじ山は一方の部材にかかり、頭はもう一方に当たるので、保持力を決めるのはねじ山のある側の角度で、通り抜けるだけの側は主に頭部の荷重を伝えます。作業空間の都合でどこかに角度が必要で、幾何が選ばせてくれるなら、通り抜ける側に置くほうが、ねじ山のかかる側に置くより代償が小さくなります。
参考資料
- Wood Handbook、FPL-GTR-190、第 4 章「木材の含水率関係と物理的性質」。Friction Properties の節。動摩擦係数と、静摩擦が動摩擦より大きいこと、含水率の影響について
- r/woodworking —— 出発点になったスレッド。直角にせよという答えと、ねじ山のかかる側こそが効くという観察を含む
このページの三角法は私たち自身のもので、電卓があれば再現でき、規格から取ったものは一つもない。摩擦の数字は Wood Handbook の文言のまま引用しており、その文言が重要である。それらは動摩擦係数であり、対象は平滑で乾いた木材が硬く平滑な面に対する場合で、木材対木材の値ではない。同手冊自身が、静摩擦係数は一般により大きいと述べている。そのため、それらから計算した境目の角度は保守側にあり、実際の木の継手はやや大きな角度まで保つ。読んだのは同じ手冊の完全版 PDF である。林産研究所の章別 URL がこちらの要求を拒否したためで、上の参照は正典の場所を指している。ポケットホールねじの 15 度はよく引かれる値であって規格ではなく、治具によって異なる。木の継手の強さをねじの角度に対して測った、引用するに足る発表も見つからなかったので、強度の主張はしていない。この議論は二つの量のどちらが角度に対して速く動くかという話で、試験ではなく三角法の問題である。
お問い合わせ
作業空間の都合で締結部品を斜めに打たなければならない場合は、 角度と、ねじ山が二つの部材のどちらにかかるかをお知らせください。 どの頭部形状とどの先端形状が理にかなうかが変わりますし、 この種の制約は供給者のところへ、寸法としてではなく 「このねじはおかしい」という苦情のかたちで届くことが多いからです。